第30話 聞き捨てならない
「でさでさ、これは何の集まり? 初めて見る組み合わせだけど。あと、なんで私の話してたの?」
止まらない寧々の質問攻め。
さて、何から話せばいいのやら。
悩みどころではあるが、未奈と寧々よりも早く話さなければ。
口を滑らせないか心配で仕方がない。
なんでせっかくの休日にこんなに肝を冷やさなきゃいけないんだよ! ずっとソワソワして仕方がないし、気が休まる時間が一切ない。
「寧々と絢音ちゃんって接点あるんだー、って話をしてたんだよね」
俺の先を越して、そう話すのは未奈だった。
「私と絢音ちゃんの接点ね。まぁ、そんなに深いものじゃないけどね……いや、ある意味ズブズブかも」
「蓮馬繋がりでズブズブか……」
一瞬にして、未奈の視線が俺の方へと向く。
ほら、意味深な言い方をするから俺に疑いの目が向けられる。
未奈だってあながちそれで想像くらいできるんだぞ? 俺と寧々がシていることを知ってるから、それ関連で安易に想像ができてしまう。
もし、俺が未奈と同じ立場だったら、同じ顔をしてしまうしな。
「ていうか、このメンツ。今思えばすごいよね」
俺たちの顔をジーっと見た寧々は、ニヤニヤとしながら顎をさする。
そうなんですよ。絶対に集まってはいけない人たちが、今日偶然にもこのショッピングモールに集まって、下着屋でまず一人に会って、次に話をややこしくする人が現れたんだ。
「私、結構いいところに現れたと思わない? やっぱ蓮馬と出会う運命? 的な?」
俺の前で人差し指を回しながら、スピリチュアルな話をしてくる寧々。
「嫌な運命だな」
「やっぱ蓮馬に引き寄せられちゃってるのかなー私」
「俺は突き放してるはずなんだけどな」
話の流れ的にベストタイミングだったけども!
別にお前の登場は求めてなかったよ!
まさか、まさか現れるとは思わなかったよ本当に!
「運命? 今聞き捨てならないんですけど、それ」
寧々の言葉が引っ掛かったのか、絢音は鋭い目つきをして寧々を見る。
「私と蓮馬は運命共同体なんだよ? 知らない?」
「知らないですね。私の方が運命感じちゃってるんですけど?」
「へぇ~。私みたいに同じクラスで隣の席でもないのに?」
「……私は出会い方がそもそも運命なんですよ!」
「あれのどこが? ただ蓮馬を襲っただけじゃん」
「それもまぁ……趣があるよね」
「なんで、また一番の被害者が俺なんだよ……」
意味分からなない結論を出すな! 確かに、俺からしたら後輩に襲われたのは趣があったとはいえる。
けど、今ここで話す話題では絶対にないだろ!
「運命? 蓮馬と親密じゃないのに運命を感じちゃいますか」
二人の争いに、険しい表情の未奈まで乱入してくる。
……ややこしくなってきたよ全く。これだから三人は混ぜたら危険なんだよ。
はぁ……。
自惚れたくはないが……モテ男は困るぜ。
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