第26話 相当溜まってる

「どうせ一緒に来た女子にエッチな下着でも付けさせてたんでしょ。先輩の変態」


「着させてはない」


 むしろ、自分から着てきたからな。


「ま、いいですよ。一緒に選んでくれも、後で写真で送ればいいだけですから」


「選んだやつだけ送られても意味ないだろ」


「いいえ? ちゃんと私が着て、自撮りを送るに決まってるじゃないですか。すごいエッチな写真にしてあげますね」


 耳元でそう囁かれる俺であったが、


「それも満足してるから、大丈夫っす」


 手で絢音の顔をどけながら言う。

 一足遅かったな。残念ながら、つい数十分前に全部体験してるんだ。


 今日一回目だったら俺も興奮していただろうが、もう遅い。


「先輩、どんなエッチな女子一緒に居るんですか。更に気になって来るんですけど」


 野外プレイをしてるド変態を見るような、細い目を向けてくる絢音。


「はいはい。その話はもういいから、早く一人で買いものに戻りな」


 俺は椅子から立ち上がると、絢音の背中を押しながらどこかへ行くように促す。


「私はその人に会うまでここから動かないです~!」


「お前が動かなくても、俺が動かす」


「そんなことしたら、大声で痴漢変態野郎がここに居ます~! って叫びますけど?」


「この場では普通に正論だし、百パー信じられるからやめろ」


「なら、その手を退けてください」


「分かった。もしここで潔く帰ってくれるなら、明日の夜の予定は空けておこう」


 嘘でもいいから、その場をしのぐ方法があったのを忘れていた。


 俺と全然シていないと嘆いていた絢音は、多分相当性欲溜まっている。


 つまり、俺とシたいということだ。そうでなければ誘惑してくる意味がない。

 だから俺と明日ヤる代わりに、今日は帰ってもらうという交換条件にすれば完璧だ。


「え⁉ マジですか⁉」


 案の定、俺の言葉を聞いた絢音は目を丸くする。


「大マジだ」


「じゃ、じゃぁ……私の家に来てくれるんですよね?」


「まぁ、俺はどこでもいいけど」


「私の家で決定ね! あとはあとは――」


「はいはい、なんでも言ってくださいな」


「時間制限とか回数制限とかは……」


「全部、お好きにしてくださいな」


 興奮して体を上下に揺らす絢音に、俺はついため息を吐いてしまう。


 相当ヤりたかったらしいな。にしても興奮しすぎだろ。予想以上の反応でビックリした。


 まぁ都合がいいことに変わりはない。ただ俺は口車に乗せてそれを上手く利用するだけだ。


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