第22話 似合ってる

「んん⁉」


 言葉にならない声を上げた俺であったが、スマホを伏せることはない。

 送られてきた写真を、鼻息を荒くしながらガン見している。


 これは……イイぞ。


 リアルで見るよりもエロさが際立ってる。

 写真で送られてきていること自体が非日常で、なんかいけないことをしている気分になる。


 どこからか高揚感と背徳感が湧き出て、背筋がゾクゾクする感じ。

 これも悪くない。


 しかし未奈のやつ、ガーターを最初に着てくるのはセンスがいい。

 少しムチっとした太ももにガーターは反則すぎる……! エロいエロい!


 しかも、斜め45度という自撮りをするのに一番盛れる角度で撮っている。

 盛れるのは顔だけではない。胸も、くびれも、太ももも、足先も。

 全て最高の位置から撮られているこの一枚。


 これが、何種類も別の角度で後何枚も送られてくるとなると……俺の心臓が持つか心配だ。


 心配と言えば……。

 ふと下半身を見てみると、息子に血行が漲ってる。バッキバキになっている。

 おいおい、あと何回かで暴発しそうだぞ? これ。


 こんな状態、絶対に未奈にバレてはいけない、絶対にだ。

 茶化されるに決まってる。なんで顔赤くなってるのー? とか、なんでもじもじとしてるのー? とか。


 そんでもって、我慢できなくなった俺が未奈を襲うか、逆に未奈にエロい下着のまま襲われるか。


 待て待て、本当にAVの導入みたいじゃん。


 何度か見たことあるぞ? こういう展開。


「ねぇ? そんなに見られると恥ずかしいんですけど」


 ずっと見ていたスマホからハッと顔を上げると、カーテンから顔をだけひょこっと出している未奈の姿。


「だって、見られたいから送ってきたんだろ」


「でも……流石に見過ぎでしょ」


「いや、見るだろ。こんなエロいの」


「エロっ……⁉ ふーん? 蓮馬はこうゆうエッチで過激な下着が好きなんだ」


「まぁ、嫌いではないかな」


「どう? 私は似合ってる?」


「似合ってなきゃ、こんなまじまじと見てないだろ」


「……っ⁉」


 その言葉を聞いた未奈は、甲高い声を上げてかぁっと顔を赤くする。

 俺を見ては目を逸らして、見ては逸らしてを数回繰り返し、最終的にバっとカーテンの裏に隠れてしまった。


 似合ってるって、恥ずかしいものなのか?

 自分から見せてきたのに?


 いいだろ。似合ってるものは似合ってるんだから。この言葉を期待してたんじゃないのか?


 もちろん、本当に似合っている人にしか俺は言わない。

 ああいう下着は、似合う人が着ている分には最高の代物になる。

 言わなくても分かるだろうが、未奈は超絶に似合ってる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る