第20話 見慣れすぎていた爆乳

 そうだよな⁉ それだと色々納得がいくぞ⁉

 頑なにその場で俺に言わなかったことも、寧々との一件で吹っ切れてアピールし始めたのも全て辻褄が合う。


 なんだよそういうことだったのか。深く考えて損したぜ全く……。

 案外可愛いところもあるんだな、未奈って。

 乙女というか、うん。可愛い。


 ホッとため息を吐くの元へ、しょんぼりと肩を竦めながら帰ってくる未奈。


「なんだ? なかったか?」


 これだけ種類があってないことなないと思うが、この顔を見るになかったらしいな。


「いや……ドンピシャであったんだけど……」


「けど?」


「私のサイズがなかった」


 そっち? え、そっちなの? 柄とかどうこうじゃなくて、サイズがなかったの?

 確かに、大きい人はサイズが無いから可愛いブラを選べないという話は多々ある。


 しかし、それは巨乳を通り越して爆乳の人だけだと思っていた。

 Gカップは爆乳……いい勉強になった。いや、よく考えれば爆乳だろ。


 日常生活でお目に掛かれることなんてそうそうないぞ? とか言ってる俺は、いつも隣にその持ち主が居たんだけどな。


 俺が近くでGカップを見過ぎていたから目がおかしくなっているに違いない。寧々にそんなこと言ったら多分殴られる。


「じゃ、じゃぁどうするんだ? 別の選ぶか?」


 動揺しながらも、平然を装う俺。


「そうだね……とりあえず店員さんに私のサイズあるやつ聞いてくる」


「だな。そうしてくれ」


「色とか柄とか、何があるか分からないけど」


「何個か選んでもらえばいいんじゃないか?」


「そっか。それで試着して蓮馬に見てもらえばいいのか」


「ん? 俺は店員さんに選んでもらえって言ったはずだが?」


「私は蓮馬に選んでもらいたいの! お望みのものがないなら、見て決めてもらうしかないじゃん!」


「別に付けてるのを見なくてもいいと思うけど⁉」


 やっぱり、試着を見るというのは避けて通れないらしい。

 けど、店員さんに止められたりしないのか? いくら見るだけとは言っても公共の場だ。男子が女子の下着姿を堂々と見るなんて、昼間から破廉恥すぎやしないか?


 頼むから店員さん、俺を止めてくれ。「お客様はちょっと……」と、気まずそうでいいから、俺を試着室の方へ近づけさせないでくれ!


 一人で悶々とそんなことを考えている間に、既に未奈は行動していた。

 店員さんにその旨を話し、下着を用意してもらっているうちに、俺の方へと駆け寄る。


「蓮馬! 色々種類を用意してもらったから、試着室の前で待ってよ!」


「お、おい……ホントにいいのか? 俺」


「大丈夫だって~。何も言われなかったし」


「言わないだけでさ……」


 チラりと店員の方を見る俺。

 手を引っ張られる俺に向けられているのは、仲のいいカップルね、と聞こえてきそうなおしとやかな微笑み。


 おい店員! 下着のお店でこんな破廉恥な展開が起きてるんだぞ⁉ 止めろよ!

 なに営業スマイルで見てるだけなんだ⁉ こんな展開AVでしか見たことないぞ⁉


 もしそうだとしたら、そのまま声を抑えながら更衣室でヤる流れだ。

 俺が一番興奮するシチュエーション……って、いきなり性癖を晒してどうする。


 ただ試着を見るだけだ。似合ってる似合ってないの有無を言うだけで他は何もない。


 AVみたな展開には絶対に持っていかないからな!


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