第18話 大っきくなったんだよね

「おまたせ」


「おう」


 未奈の自宅前でスマホを見ながら待っていると、手櫛で前髪を整えながら玄関に出てくる未奈。

 ここまでは、いつもの未奈だ。

 しかし、俺の横に来るや否や、


「今日はデートってことだよね?」


 隠す気もない好き好きアピールをしてくる未奈。

 ピッタリ俺に肩を密着させてきている。

 服装も、服装も、黒のニットで胸を強調させていて、ピチッとしたジーンズはお尻と太ももをよりエロくみせている。


 俺、どうゆう反応すればいいんだ? いつも通りに接していいのか、少しくらい意識した反応を見せればいいのか、はたまたその感じに乗っかればいいのか。

 正解がまるで分からない。


「デートってか、ただ下着買いに行くだけだろ?」


 無難に、いつも通りを演じる俺。


「そうだよ? それも立派なデートだって」


「しかもなんで下着なんだ?」


「なんか、今まで使ってたやつが小っちゃくなっちゃってさ。ほら、前より大きくなったでしょ」


 と、胸元をチラリと見せてくる未奈。

 え? 大きくなったの? ただでさえ大きかったのに?

 さりげなく、横目でその胸を見る。


 上から見える谷間は、それはもう底深く、流石の俺も息を飲んでしまう。

 大きくなったかどうかは分からないが、大きいことには変わりない。なにせ、Fカップと言っていたからな。


 それ以上に大きくなったなら……Gカップということか。

 高校生の中だったら幻のカップ数だぞ? それ。


「おい、道端ではやめておけ」


 脳内ではそんなことばかり考えていたが、俺は何事もなかったかのように止める。

 ヤバいぞ……このままだと完璧に未奈のペースに飲まれてしまう。スルーし続けるのも流石に後半しんどくなりそうだ。


「そうえば最近、新しくヘッドホン買ってさ、それがめちゃくちゃ良くてずっと使ってるんだよな」


 話の流れを変えるべく、最近あった適当な話をする俺。


「へぇ、どんなの買ったの?」


「ちょっと奮発してさ、いいやつ買ったんよ」


「もしかして、軽くて音質いい系のやつ?」


「そうそう」


「おーいいじゃん。今度私にも貸してよ」


「いいけど、壊すなよ?」


「私を破壊王と思ってる?」


「昔、俺のゲーム機壊したの誰だっけ?」


「その節は、どうもすみませんでした……」


 こうして普通に話す分にはいつもと変わらない未奈。

 これでいつも通りのペースになったぞ。

 このまま、下着を買うまではキープしよう。


 どうせ、お店に入った瞬間に人が変わったようになるだろうからな。

 それまでは、体力を温存しておきたい。


 好き好きモードになった未奈の破壊力は図りしれない。

 ちょっと気を抜くと、俺でも顔を赤くしてしまうからな。不意打ちには要注意。



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