第10話 えむ視点

花火大会が終わって10日が過ぎた

早くも7月が終わって、8月に入っている


私は代り映えのしない生活を送っていた

朝の7時に起きて、9時に図書館に行く日々


そこで小林さんに会って、土日と同じように一緒に過ごした。お昼まで図書館で過ごして、お昼過ぎからはファミレスで過ごす

学校にいる時よりも、小林さんと一緒に過ごせる時間が長い。図書館で隣に座って

ただ一緒の時間を過ごすことも、一緒にお昼を食べてだらだらとおしゃべりをすることも、何でも小林さんと過ごす時間は今までよりも楽しく感じた


でも最近は、段々その生活に物足りなさを感じるようにもなった

せっかくの夏休みなんだから、何か特別なことをしたい。そう思うようになった。この前の花火大会みたいな。そしてできれば、小林さんとハグをしたり、そういうことをしたい。あの日以降、私は小林さんに触れることが出来ていない


でももう一回お祭りに行くのも何か違う気がする。海とかプールに行く?それもいいかもしれない。夏らしいし、小林さんのスクール水着以外の水着姿を見てみたいという気持ちはある


でも小林さんは、運動が苦手だと思う。学校のプールの授業も、ほとんど溺れているみたいな泳ぎ方をしていた。そんな小林さんをプールに連れて行くのは、少し可哀そうな気がする


そんな風にここ最近私は、小林さんをどうやってお出かけに誘おうか考えている

もう8月になっていて、きっとあっという間に夏休みは終わってしまう。出来るだけ早く小林さんをお出かけに誘いたい


そんなある日、図書館に行く前に部屋でスマホを眺めていると、あるニュースが目に入った。とあるラノベの出版社のイベントが秋葉原で開催されるというもの


そのPRの絵にはたくさんのキャラクターが描かれていて、その中の何個かには見覚えがあった

小林さんが貸してくれたラノベの絵が何個かある。そしてそのうちの1つに私の目が止まった


小林さんと一緒に過ごすようになって、それなりに時間が経った。毎日小林さんと会って、私はほとんど毎日小林さんにラノベを貸してもらっている。もう結構な数のラノベを、私は読んでいると思う


そしてそのたくさん読んできたラノベの中でも、この作品は特に印象に残っていた

面白かったというのもあるけど、この作品のことを話す時の小林さんのテンションがいつもよりも高かったから。よっぽど好きなんだなって思ったことを覚えている


その時のことを思い出して、私はこれしかないと思った

これなら、小林さんは楽しんでくれるはず


そう思った私は、図書館に行ってさっそく小林さんを誘うことにした


「あ、ごめん。そのイベント、雫と一緒に行く約束してるんだ」


そして見事に断られてしまった

朝から上がっていた気分が、一気に落ちていくのを感じる


「ご、ごめんね」


小林さんが慌てているのがわかる。小林さんがそうなるほどに、私はわかりやすく落ち込んでいるらしい


そっか。斎藤さんと一緒に行くんだ。しかも2人で

そのことは、私の胸の内をもやもやさせる

一緒に行けないのは残念だし、斎藤さんと2人で小林さんが出かけることも嫌だった

私は小林さんのただの友達だから、そんなこと言う資格もないことはわかっているけど


「その、雫と一緒でよければ、上井さんも一緒に行く?」


私のことを気遣ってか、小林さんがそう言ってくれる

優しい。その優しさに甘えたくなる


「いや、止めとくよ。2人で楽しんできて」


私が行ったら、きっと斎藤さんは気まずいと思う

学校でもほとんど話したことはないし、そこに私が入って行くのは、ちょっと空気が読めてない気がする。小林さんが斎藤さんと2人で出かけるのは気に食わないけど


「大丈夫だと思うけど。雫はあんまり気にしなそうだし、上井さんと話してみたいって言ってたよ」

「え、そうなの?」


初耳だった


「この前、私が上井さんと一緒に帰るところ見たんだって。その時に言ってた気がする」


なるほど

まああれだけ毎日一緒に帰っていれば、そういうこともあるだろう


「私のこと、友達だって言ってるの?」

「ううん。たまたま会って、ちょっと話しただけだって、その時は言った。上井さんが良いなら友達だって言って、そのイベントにも一緒に行けると思う。何か色々聞かれそうなのは面倒くさいけど」


私は構わないと思う

もともと隠す意味なんてほとんどなかった。小林さんが困るかもって思って誰にも言わなかっただけ。小林さんもそれは同じみたいだった。そもそも毎日一緒に帰るようになったのは小林さんがきっかけだし、そうしていれば、いつかは美玖にも志歩にも、斎藤さんにも知られることだ

だから斎藤さんが私と話してみたいと言ってくれているのであれば、特に遠慮する必要はない。気がした

この結論には、私の欲望が多分に含まれている気がするけど、そこには目を向けないことにする


「それじゃあ、私も一緒に行っていい?」

「うん。雫に言っておくね」


こうして、私と小林さんと斎藤さんという、なかなか変わった組み合わせで、秋葉原のイベントに行くことが決まった


小林さんと2人きりでどこかに行くという、私の思い描いたお出かけではないのは残念だけど、楽しみだと思った



イベント当日

私と小林さんは最寄駅に集合して、一緒に新宿駅まで行く

斎藤さんの最寄り駅は私達の駅とは離れていたから、新宿で斎藤さんは合流することになっていた


「お待たせ」


駅で待っていると、小林さんが来た

スマホを見ていた顔を上げる。すると、予想しなかった光景が飛び込んできた


「...?なに?」


小林さんを見て固まった私を見て、小林さんが首をかしげる


「服、いつもと違うんだね」


私がそう言うと、小林さんが自分の服を見降ろした


「ああ、うん。お出かけだしね」


そう言って、小林さんが恥ずかしそうに笑った

小林さんが着ている服には見覚えがあった。一か月ちょっと前に、私が小林さんに選んだ服だった


私は小林さんに選んでもらった服をあれから何度か着ていたけど、小林さんがこれを着ているのを見るのは、これを買った日と今日で二度目だった


「可愛い」


あの時も思ったけど、凄く似合ってる

ほとんど無意識に、こぼれるように言ったその言葉を聞いて、小林さんが頬を赤く染めた


「なに?急に。早く行こう」


小林さんが私の横を通って、先に改札に向かう


「待ってよ」


そう言いながら、小走りで小林さんの後を追う

私の言葉で小林さんが照れてくれたのが、何だか嬉しかった


午前10時に来た電車は、通勤ラッシュが終わって結構空いていた。2人で並んで椅子に座ることに成功する

新宿まで40分くらいあるから座れてよかった


「今日のイベントで行きたいところあるの?」

「うん。買いたいものいっぱいあるんだ。このストラップと、缶バッチと、あとこのクリアファイルでしょ。それから...」


小林さんがスマホを開きながら、今日の目当ての商品を教えてくれる。そのグッズに描かれているイラストの半分くらいは私も知っているキャラクターだった

小林さんのテンションが今までで一番高い。目がキラキラしていた。気が付いたら、私の視線はスマホの画面から小林さんの顔に向いていた


「上井さんは何か買いたいものあるの?」


小林さんはそう言うと、私の方を向いた。至近距離でバッチリ目があって、少しドキッとする。それから何もなかったかのように、スマホに視線を戻した


そうだな...


「この人のイラスト好きなんだよね。だからここら辺のグッズのどれかは欲しいかな」

「あ、この人の絵いいよね。私も欲しい。でもお小遣いがなー。どうしようかな」


ずっと小林さんが楽しそうで、私はそんな小林さんをずっと見ていた。これだけで、今日一緒に行くと決めて良かったと思える

こんな時間がずっと続けばいいのに、ずっと新宿になんて着かなければいいのに。そんなことを思いながら、私は短い小林さんとの2人きりの時間を楽しんだ




新宿に着く。もうすでに斎藤さんは着いているみたいだったから、急いで待ち合わせ場所に向かう


「瑠香ー」


そんな声がどこからか聞こえて来た。人が多すぎてここからは斎藤さんは見えなくて、人ごみをかき分けて声の方に向かうと斎藤さんが手を振っていた。部活のせいか、斎藤さんの肌はこんがりと焼けていた


「雫、お待たせ」

「ううん、そんなに待ってないよ」


小林さんと斎藤さんが挨拶を交わす。そして自然と、私と斎藤さんが目を合わせることになる。少し気まずい空気が流れた


「えっと、今日はよろしくね、斎藤さん」

「あ、うん。えへへ、何だか変な感じだね。上井さんと一緒に遊びに行くなんて」

「ね」


そう言って、2人で笑い合う

こんなこと、夏休み前は想像もしてなかった


3人で並んで、ホームを目指す


「瑠香から少し話は聞いたけどさ、2人ってそんなに仲良かったの?」

「まあ、毎日一緒に帰るくらいには」

「へえ、すごく意外。あと上井さんがラノベを読んでるのも凄く意外だった」

「小林さんに勧められて読み始めたんだ」


案の状、私は斎藤さんの質問攻めにあった。小林さんは事前にある程度質問されていたみたいで、殆どの質問は私に飛んできた

それを楽しそうに小林さんが見ていた。ちょっとは助けて欲しい


「そう言えば、瑠香がそんな服着るの珍しくない?今日すっごくおしゃれじゃん」


そう思っていたら、会話の矛先が小林さんの方に向いた。小林さんが困っているのがわかる


「まあ、偶にはいいかなって」

「ふぅん。その服瑠香が選んだの?」

「ううん。上井さんが選んでくれた」

「へえ」


斎藤さんが意外そうに、目を大きく見開いた


「2人で買い物したりするんだ」

「まあ、一回だけだけどね」

「他には2人でどこか行ったの?」


斎藤さんの質問が止まらない。私が知っている小林さんと、斎藤さんが知っている小林さんは髄分違うみたいで、斎藤さんは凄く面白がっていた

一生続くような気がした質問攻めだけど、新宿から秋葉原までの電車はあっという間で、秋葉原に着くと質問が止んでくれてホッとする


秋葉原なんて初めて来た

駅から出てすぐに広がる変わった光景に、思わず目を奪われる


たくさんの特大のアニメのポスターがあちこちに貼られている。ビルの壁には、どこを見てもアニメの絵が見える。そして視線を下に向ければ、たくさんの人とチラシを配っているメイドの恰好をした女の子がいる


中々そこら辺では見られない光景だと思う


「秋葉って初めて来た」

「あ、そうだったんだ。じゃあ私が色々案内してあげる」


私のつぶやきに、小林さんがそう答えて笑った

2人はよく来ているのだろう。迷わずにどこかに向かって歩いていて、私はそんな2人にただついて行った


そうしてしばらく歩くと、見覚えのあるポスターが張られている建物を見つけた。


「あそこが会場?」

「そうだよ。やっぱり人いっぱいだねー」


私と小林さんがのん気にそんな話をしていると、斎藤さんがどこかに行こうとしていた


「じゃあ私はニカプリのブースに並んでくるね」


斎藤さんはそう言うと、どこかに向かって走り出した。そしてあっという間に人ごみの中に消えていった

あれ、別行動?


「じゃあ私たちも行こっか」


斎藤さんの行動に困惑していると、何も気にした様子のない小林さんは、別の方向に向かって歩き出した


「ニカプリって?」

「ん?あれだよ」


小林さんの指の先を見ると、大きなポスターにアイドルみたいな恰好をした4人の男の子のイラストが描かれていた


「雫は今あれにお熱だからね。私はあんまり興味ないから、ここからしばらくは別行動になるかな」

「へえー。いつもそうなの?」

「まあ、いつもってこともないけど、それなりにそういう日もあるかな。一緒に行動してると、買いたいものがあっという間に売り切れちゃうからね」


私は友達と遊ぶときにそういうことをしたことがなかったから、ちょっと困惑しちゃったけどそういうものらしい


「上井さんが欲しいって言ってたグッズはたぶんあっちかな」


小林さんはそう言って、斎藤さんが進んで行った方向とは別の方向を指指す

もしかして、私もここからは1人で行動することになるのかな

そうなったら嫌だな。グッズなんて買えなくてもいいから、小林さんと一緒に行動したい。こんなことなら、電車で欲しいグッズを聞かれた時、小林さんと一緒のが欲しいって言っておけばよかった


「えっ」


そんな後悔をしていると、突然小林さんに手を握られた


「早く行こう?急がないと売り切れちゃうよ?」


小林さんは楽しそうにそう言うと、私の手を引っ張って走り出した


「ちょ、ちょっと」


私も慌てて走り出す

電車の中でも思ったけど、小林さんのテンションがいつもよりも高い。きっと今手を繋げているのは、そのおかげだろう


会場の中はたくさんの人がいて、あちこちにあるブースからは店員さんの大きな声や、PVの音声が流れていた。でも今、私の頭はそんな情報を一切受け取っていない


繋がれた手が熱い。小林さんの楽しそうな笑顔から目が離せない。今私の世界には、私と小林さんの2人しかいなかった



「いやー、買った買ったー」


一通り買い物が終わった私たちは、ハンバーガー屋さんで一息ついていた

斎藤さんの横の椅子には大きな紙袋が二つも置いてある

私と小林さんの買ったものを合わせても、斎藤さんのものより少ないと思う。買いたいものが全部買えたらしく、斎藤さんは凄く満足気だった


しばらくお互いに買ったものを見せ合いながら、その作品の話をする

2人の話には時々付いて行けなさそうになるけど、そのたびに小林さんが色々教えてくれた。私は小林さんが教えてくれた作品くらいしか知らない。そのことを小林さんは知ってるから、私がわからない話を察してくれた


「2人ってさ、私が思ってたよりもすっごく仲いいよね」


そうしてしばらく話していたとき、斎藤さんが突然そう言った


「何?急に」

「いや、今日一日2人と過ごしてさ、そう思ったんだよね。今だってさ、瑠香と上井さんの距離凄く近くない?私の隣に座るときは、たぶんそこまで近くないと思うんだけど」


え...そうだったの?

小林さんは仲良くなるとこれくらいの距離感になる人だと思っていたけど、そうじゃないらしい。一番仲が良さそうな斎藤さん相手にそうじゃないってことは、もしかしたら私にだけなのかもしれない


「え、そうかな。大体こんなもんじゃない?」

「いや、絶対に近いって」


言われている小林さんはあまりピンと来ていないみたいだった

私のことを見ながら、首をかしげている

少し腕が振れるくらいの距離。気が付いたら普通になっていたけど、私も他の人とこんな近くに座ることはあまりない


小林さんはしばらくすると、少しだけ私から距離を取った

まあこれくらいが普通だよねって感じの距離になる

だけど、これが普通なはずなのに、小林さんの熱が遠ざかって、何だか落ち着かない。体の一部が欠けてしまったような気持ちになる

遠ざかった距離分、私から近づいてみる

やっぱり、私と小林さんの普通の距離は、これくらいだと思う


小林さんの目が私を真っすぐに見上げる。不思議そうな顔をして、それから少し微笑んで前を向いた


「やっぱり仲良いじゃん」

「まあそうだね」


今度は斎藤さんの言葉に、小林さんが恥ずかしそうに頷いた



その後も色々ショップを回ってから、夕方の5時に新宿で斎藤さんと別れた

行きと同じように、2人で並んで座る

電車を一本見送ってから乗ったから、私たちは座ることが出来たけど、電車の中はたくさんの人が乗っていた


あんまり話せる雰囲気じゃなかったから、私たちは殆ど話さずに無言で電車に揺られていた

無言で電車に揺られていると、段々眠くなってくる

電車でそれなりの時間移動をしていたし、秋葉原の人でいっぱいの街中を歩き回って来たから、さすがに少し疲れたみたいだった


暫く眠気と闘っていると、急に肩に何かが乗っかった


「すぅー、すぅー」


それと同時に、そこからそんな寝息が聞こえて来た。小林さんはどうやら寝てしまったらしい

肩に感じる熱と、首に少しかかる吐息が、私を変な気持ちにさせる。眠気が一気にどこかに行ってしまった


小林さんを起こさないように、少しだけ首を動かす。小林さんの寝顔が良く見える。花火大会の時は、もうしばらく見れないと思っていたけど、意外とすぐに見れてしまった


安心したような表情。に見える。斎藤さんとハンバーガー屋で話した話を思い出す。小林さんがこういうことをするのは、私にだけなのだろうか

少しは私に気を許してくれているとは思う。だけど、私のことを少しは特別だと思ってくれているのかどうかっていうのは、よくわからない


心臓の動きは相変わらず激しくて、心の中には嬉しい気持ちと、もやもやした気持ちが一緒にあって、何だか落ち着かない


叫びだしたくなるけど、電車の中だし、小林さんを起こしたくもないからできない

そういう自分を何とか抑えて、窓の外を眺めたり、小林さんを見たりするのを繰り返しながら、最寄り駅に着くのを待つ


しばらくして、電車が調布駅に着いた。ここまでたくさん乗っていた人たちが一気に降りて行って、電車の中が割と空いて来る。ここまで来ると、やっと半分だなって感じがする


「んん...」


ちょっと大きめのアナウンスが流れたのと、人が動く音とかのせいだと思うけど、小林さんが目を覚ました

眠そうな目をこすりながら、私の肩から離れていく


「今どこ...?」

「調布だよ」

「調布か...ふぁぁ。良く寝た」


小林さんが大きく伸びをする。もう私の肩には寄りかからないみたいだ。ちょっと残念


「そう言えばさ」

「うん」

「今日上井さんが好きだって言ってたイラストレーターさんの画集持ってるけど、見たい?」

「え、そんなのあるんだ。見てみたい」

「じゃあ明日、私の家来る?」

「え...」


小林さんのお家?

突然の提案に驚いてしまう。そういう話になると思わなかった。図書館に今度持ってくるとか、そういう感じになると思っていた


その提案は嬉しい。すごく行ってみたい。小林さんの部屋がどんな感じなのか見てみたい

でも、良いのかな

小林さんにも私と同じように、家に居にくい事情があるんだと思ってたんだけど


「行って良いの?」

「うん。平日の昼間だったらたぶん誰もいないし。画集大きくて重いから、図書館まで持って行くのも大変だから」


そっか。誰もいないんだ

そのことを聞いて、今度は別の心配が湧いて来る

好きな人の家で2人きり。私はそんな状況で、自分を抑えきれるのかな

私の家に来てくれた時も2人きりではあったけど、あの時はまだ、私が小林さんのことを好きだって自覚していなかった。だからあの時とは私の気持ちが全然違う


「行く」

「わかった。じゃあ明日待ってるね」

「うん」


不安はある。だけど楽しみな気持ちの方が大きい。このチャンスを前に、私は断ることなんてできなかった。スムーズに、明日小林さんの家に行くことが決定する


「家にグッズとかラノベがいっぱいあるから、色々見せてあげるよ」

「うん。楽しみにしてる」


空いた電車で、残りの時間は色々話しながら過ごすことが出来て、それからいつも通りの場所で別れた。1人になってから寝るまで、私の頭の中は明日のことでいっぱいだった


明日何を着て行こう。お菓子とか買って行った方がいいかな

下着、可愛いやつ着ていこうかな。いや、それはさすがに早まりすぎだよね。でも、万が一があるし...

そんなことを考えることがやめられなくて、この日はなかなか眠ることができなかった

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