第4話 このゲーム……エロゲーですけど!?
(今、なんて言った? れのちゃんがゲーマーって言ったのか!?)
俺は自分の耳を疑った。しかし、れのちゃんが嘘をついているようには見えない。つまり本当だということなのだろう。
「ほ、本当に!?」
俺の言葉にれのちゃんはコクリと頷いた。そして、恥ずかしそうに俯く。
「やっぱり変ですよね? ゲーマーなんてオタクっぽい趣味ですもんね……」
そう言うれのちゃんの表情はどこか悲しげだった。そんな彼女の表情を見て、俺は慌てて否定する。
「そんなことないよ! 俺だってアニメとかラノベとか読んだりするし……」
すると、れのちゃんはパッと顔を上げた。そして、嬉しそうな表情を浮かべる。
「ほ、本当ですか!?」
「うん! 本当だよ!」
俺がそう言うと、れのちゃんはパアッと顔を輝かせた。そして――俺の手を握りながら前のめりになって話しかけてくる。
「あの……もし良ければなんですけど……坂柳さんも一緒にゲームをやりませんか?」
俺は一瞬戸惑ったが、すぐに返事を返した。
「も、もちろんいいよ」
(推しからのお誘いなんて断れるはずがないだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお!!)
心の中でそんな雄叫びを上げつつも、冷静を装って返事をする。
すると、れのちゃんはとても嬉しそうに笑った。
「それじゃあ、今から
れのちゃんからのまさかの提案に、俺は思わず固まってしまう。しかし、すぐに我に返り返事をした。
「い、家!? そ、それはちょっと……」
(推しの家なんて行ったら理性が崩壊してしまう!!)
そんなことを思っていると、れのちゃんは少し悲しそうな表情を浮かべた。そして、上目遣いで見つめてくる。その瞳には涙が浮かんでいた。
「ダメ……ですか……?」
その瞬間、俺の理性は完全に崩壊してしまったのだった。
☆★☆★
「お、お邪魔しま~す」
俺は緊張しながられのちゃんの実家にお邪魔した。れのちゃんの実家は大型ショッピングモールからバスと電車で40分ほどの場所だった。れのちゃんの両親は仕事をしていて、家の中には俺とれのちゃん以外誰もいない。ちなみに、れのちゃんの実家に来た理由は、ゲーム機が引っ越してきた隣の部屋にないからだ。
れのちゃんの部屋の中は奇麗に整頓されており、清潔感のある空間が広がっている。
(どうしてれのちゃんはボロボロの汚いアパートなんかにわざわざ引っ越してきたんだ?)
そんな部屋のテーブルの上には、一台の大きなゲーム機が置かれていた。
「これが……星宮さんの?」
俺が尋ねると、れのちゃんは笑顔で答える。
「はい! 最新型の家庭用ゲーム機です!」
(へぇー、やっぱりゲーマー女子なんだな……)
俺は内心そんなことを思ったが、あえて口には出さなかった。なぜなら――れのちゃんの顔は真っ赤に染まっていたからだ。照れているのか恥ずかしいのか分からないが、とにかく可愛らしいと思った。
「え、えっと……早速プレイする?」
「は、はい……」
(危ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!! れのちゃんの可愛さに惚れてたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!)
俺は動揺を隠すように、コントローラーを手に取って床に座った。
れのちゃんはゲーム機の電源を入れ、ゲームソフトをセットする。画面にタイトルが表示されると同時に、れのちゃんはコントローラーを手に取った。
「それじゃあ……始めますよ?」
「う、うん……」
(一体どんなゲームなんだろう?)
俺は内心ドキドキしていた。しかし、そんな緊張はすぐに吹き飛ぶことになる。
画面上に大きく表示されたタイトルを見て――俺は思わず叫んでしまった。
「な……なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!」
タイトルには『ドラブルダークネス』と書かれていたのだ。そしてその右下には小さく『恋愛シュミレーション』と書かれている。そのタイトルを見た瞬間、俺はすべてを理解した。これは恋愛シュミレーションという名のエロゲーだということを――。
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