終章

#1

 メイを救出して地上に戻ると、正午を過ぎていた。外で待っていたコース長は、労いもそこそこに、村へと魔法で移動させてくれた。


 無事だったメイを見た父のアルヴァルは、いかにも山男だという風貌に涙を浮かべて、娘を抱きしめた。母のケイトは、なにも言わず、娘にキスをして、抱きしめた。


 その光景を見て、なんとも言えない気持ちになる。自分は、確かに、メイを助けて、両親の元へと返すことができた――そう思うと、自分は闇の純血種ではあるが、胸の中に、優しい光を抱いているような気分になれた。


 その後は、ちょっとしたパーティが催された。


 村の広場には大きな木のテーブルが準備され、その上には、飲み物や、料理がどんどん並べられていく。準備の間に、コース長は学校へと戻って、留守番をしていたグレイシスを連れてきた。


 ひとまず顛末を説明すると、私抜きになかなか面白いことになっていたようだな、と嫌味を言われた。その後で、皆が無事でよかった、とも。


 昼食はまだだったし、すっかり疲れていたので、班全体で、村の好意に甘えることにした。一番疲れていたアストルは、凄まじい食欲を発揮して、ロシェはそれを白い目で見ていた。コース長はエールを片手に昼間から酔っ払い、ローファスが呆れ顔をする。グレイシスもやれやれと言いながら、蜂蜜酒を傾けている。

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