魔法とダンジョン

やざき わかば

魔法とダンジョン

 俺達は、魔王を倒すべく結成されたパーティだ。俺は勇者。そして仲間に、攻撃や防御を一手に引き受ける戦士、攻撃魔法の専門家である魔法使い、神々の祝福によって、体力回復やサポート魔法を使いこなす僧侶。


 この四人で旅をしている。


 実は一度、魔王城までは辿り着いたのだが、扉を開けるためのキーアイテムを取り忘れていたことに気付き、序盤の土地まで戻って、探索している最中である。


 お陰で敵が弱く、経験の足しにならずに、辟易しているのだ。


 そうは言っても、見落としてしまったのは我々の落ち度だ。このくらいの試練なら、甘んじて受けるつもりである。とは言え、いかんせん鬱陶しい。


 さて、問題のキーアイテムはダンジョンの隠し通路の奥にあるという。


 冒険初頭に一度潜ったダンジョンである。ある程度の道は覚えているし、魔物も弱い。すぐに攻略できるはずなのだが、あまり糧に成らない、弱い魔物と戦うのがもどかしい。


 なので、魔法主体で戦うことにした。


 これは良い。当時は覚えていなかった魔法だが、今は敵を一掃できる。成長により、魔力も無尽蔵にある俺達は、魔法を駆使しながら進んでいった。


 もちろん中には魔法が効かない魔物がいたり、避けられたりすることも多々あった。だが、我々はお構いなしに魔法を打ち込んでいった。効率を重視した結果である。


 そして、お目当てのお宝を前にして、敵に魔法をぶちかましたところ、ダンジョンがゴゴゴゴと揺れだした。


 考えてみたら当たり前だ。このダンジョンは、いつできたのだ。相当昔に違いない。その証拠に、ありとあらゆるところにヒビなどが入っている。


 そこに遠慮なく魔法を叩き込んでいたのだ。しまった、と思うにはもう遅かった。ダンジョンは崩れ、我々は生き埋めとなり、死んでしまった。


 普段は、誰かが教会へと運び、蘇生してくれるのだが、こんな崩れた瓦礫の下から、我々の死体を回収し、運んでくれるあてなど…。

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