Stay Alive.Say.4.隠しクエストと初めての仲間メイ!(5)
Stay Alive.Say.4.隠しクエストと初めての仲間メイ!(5)
山脈に入ると、遠くからその日見た赤い眼光のモンスターの泣き声が聞こえ始めた。
しかし、夜と違って時々木の上にいるやつらを見つけても、やつらはすぐに逃げるだけだった。
よかった、昼間は攻撃してこないんだ....
かなり警戒していただけに、安堵感も大きく感じられた。
しかし、山脈の中のモンスターはあいつらだけではなかった。
まるで小型オオカミのような姿だったが、毛ではなくうろこに囲まれた赤黒いオオカミ型モンスターのタロンが時々飛びかかった。
そのモンスターの名前について知ることができたのは、ライラのおかげだった。
ライラは地理やモンスターに対する知識が豊富だったので、私たちがモンスターを発見すれば、そのモンスターについて詳しく教えてくれた。
タロンは敏捷性を基盤にしたモンスターで、常に少なくとも2匹が一緒に行動した。
しかし、レベルが10まで上がったシャルとメイにとって、タロンは初心者の村の近くにいたオオカミと大差がないほど簡単に倒すことができた。
だが、本当の問題はそれではなかった!
シャルがあっという間に飛びかかるタロン2匹を切り捨てるのを見た後方の1匹が突然頭をもたげた。
その瞬間、シャルは初めてタロンと向き合った時のことを思い出した。
ライラは言った。
「あれはタロンですね、気をつけてください 奴は窮地に追い込まれると群れを呼びます」
「なるほど」
シャルは真剣な表情でうなずいた。
しかし、ライラはまだ終わりではないかのように話し続けた。
「でも、本当に怖いのは、やつらの群れじゃありません。本当に怖いのは、やつらのボス、グリムタロンの存在です!」
「グリムタロン?」
「あいつは殺伐そのものです、タロンたちの王様という点もありますが、一般のタロンとは比べ物にならないほど巨大で凶悪な爪と歯を持っています、それに一番致命的なのはやつの凶暴性です! 目に見える全てのものを切り裂こうとします....!」
ライラはタロンを見つめながら話し続けた。
「もちろん、一匹一匹の強さから見れば、今のシャルさんとメイさんなら、負けず劣らず戦うことができるでしょう。しかし、グリムタロンは、タロンの王様、絶対に単独行動はしません…!つまり、一番怖いところは、狡猾さです!」
そして、そんな真剣なライラの表情を最後に、シャルの精神は再び戻ってきた。
そしてその瞬間! 奴は天高く泣き叫んだ!
アウウウウウウ----!
鳴り響くハウリング、メイがすぐに駆け寄って短剣を突き刺し、やつの息の根を止めたが、もう遅かった。
鳴り響いたハウリングを聞いて何かが走ってくる音が聞こえてきた!
森をかき分けて走ってきたそれの正体は、もう一人の個体のタロンだった!
しかし、今回は一匹や二匹ではなかった!
まるで昨夜の赤い眼光のモンスターを思わせるように、四方からタロンがその青い眼光をきらめかせて飛び出してきた!
シャルはすぐに奴らを斬り捨てながら叫んだ!
「ライラ!」
その言葉と同時に、ライラは上空に飛び上がり、周囲を見回し始めた。
そして、シャルとメイは背中を突き合わせて立った。
「シャル、ごめん、私が遅れた」
「いや、大丈夫、私ももう一匹いるとは思えなかった」
メイは短剣を振り上げ,真剣な表情に変わった。
シャルも大剣を振り上げながら言った。
「これはあの猿たちを相手にしようと練習したものだが、まあ、いいだろ、一度試してみようか、ライラ、準備はいい?」
「もちろんでしょう!」
だけど、ひとつ気になるのはグリムタロンの存在だった。
まだ奴は来なかったが、もし奴が本当にライラが言ったように危険な奴なら、この前のように退却することも考慮しなければならなかった。
でも、それはその時の話!
今はこいつらを1匹でも多く倒して経験値にしてあげるのが優先だった!
ライラの目は物体の影響を受けない目!
上空に位置したライラの目には、木や地形、地物による妨害なしに、タロンだけが鮮明に見えた。
「シャルさん、側面5メートル先、正面8メートル先、来ます!」
ライラの指示にシャルは軽く大剣で側面のタロンを押しつぶし、そのまま大剣を上げて正面のタロンを斬った!
ライラのブリーフィングと指示は続いた。
シャルは左側から飛びかかるタロンを素手でつかんで床に投げつけ、そのまま力を入れて踏みにじってしまった。
そして、そうやって踏み出した足に力を入れ、前方から飛びかかるタロンを真っ二つにしてくれた!
メイもまた決して引けをとらなかった。
飛びかかるタロンたちには投擲用ナイフを投げつけ、近距離まで近づいたタロンは短剣で頭頂部を切り落として脳をかき混ぜてくれた!
そして、すぐに短剣を振り払い、タロンの死体を床に捨て、すぐに近づいてくるタロンを斬った!
そして、その後すぐに飛びかかるもう一匹のタロンに向かって、空中で体を回して遠心力を込めた蹴りを飛ばしてくれた!
彼女の強烈な蹴りにタロンは数メートルは飛んで床を転がした!
この全ての過程において、シャルとメイの二人はタロンによる一撃の有効打も受けていない!
間違いなく、この5日間のレベルアップと戦闘訓練が光を放つ瞬間だった!
言うまでもなく圧倒的と言える状況!
しかし、ライラは焦ったように空中で周りを見回していた。
「やつはまだか」
そして、そのようなライラの不安に応えるように、山脈の向こうから巨大なタロン、グリムタロンがその姿を持ち出した。
巨大で傷跡だらけ、しかしそれは生き残った者の勲章。
彼を護衛するタロン2匹が限りなく小さく見えるほど長い間生き残ったタロンたちの王!
ハウリングの音に身を起こしたタロンたちの王は民の呼びかけに応えようと席に立った。
すると、一つの影が王を隠した。
そして王は自分を隠した無礼な者に向かってほえたけだ!
同じ瞬間、シャルはもう一匹のタロンを切ってしまった。
それが最後だった。
これ以上のタロンは現れなかった。
「これで、ある程度片付いたのかな?」
それを確認したライラは、シャルとメイのそばに戻ってきた。
そして、やや緊張した表情で疑問のように口を開いた。
「でも、おかしいですね、なぜやつが現れなかったのでしょう?」
シャルもそれが疑問だった。
NPCのライラが言うことなので、戦闘中に何かの事件が起きると思ったが、あまりにもアッサリタロンの襲撃が終了したからだ。
これに対してメイはこうした意見を示した。
「もしかしたらもお他のユーザーに討伐されたんじゃないかな」
確かにその可能性もあった。
だけど、ライラはその意見を否定した。
「しかし、それはおかしいです! タロンたちは王がいない時は人を襲撃しません!」
「ふむ……それじゃあ何だろ?」
「ふむ....そうですね、もしかすると..... これは私の個人的な推測ですけど、おそらく、今、この森で私たちよりも優先すべき敵がタロンたちに現れたのかもしりません」
ライラのその言葉は、まるで山脈の向こうで起こった激突を見守ったかのように正確に的中した。
タロンたちの王。
グリムタロン。
今、王の前に天からの回防軍が謁見していた。
巨大な真っ白な翼。
頭から背中まで続く皮膚が変質した固い軽甲。
それは妖精のペンダントを奪ったあのモンスターだった。
王の前。
そのモンスターは恐れもなく地面に降りてきて王の前に立った!
その無礼さを臣下たちは許さなかった!
タロンたちはその巨大な軽甲のモンスターに向かって飛びかかった!
だが、巨大な翼のモンスターがぐると回ると、刃のようなその羽たちから起きた風の前に、小さなタロンたちは跳ね返ってしまった!
これに王様が飛びかかった!
余裕を見せていた巨大な翼のモンスターでさえ、王の攻撃からの威圧感で飛び上がり、攻撃をかわした!
しかし、王は恐れもなく飛び上がり、巨大な鳥の首を噛み締めて床に突き刺した!
慈悲のない王の牙が、軽甲に囲まれたやつの首筋を壊そうとした!
もがく巨大な翼のモンスター!
その瞬間、やつが口をぽかんと開けた!
そして、軽甲の間から火が噴き出し始めた!
それと同時に、奴の口から巨大な火炎弾が飛び出し、王の腹部を襲った!
その衝撃にはじき出され、地面に落ちてしまった王!
巨大な翼のモンスターも王もすぐに体を起こして姿勢を取った。
一触即発!
巨大な翼のモンスターは泣き叫んだ!
それはもはや潮流のそれではなかった!
いわば龍!まるで龍のような鳴き声が響いた!
その瞬間、王がもう一度飛びかかった!
巨大な翼のモンスターは飛び上がり、回炎弾で迎撃した!
落ちた王様!
しかし、それでも火炎弾は止まらない!
王はすぐに姿勢を正して走った!
あちこち走りながら火炎弾を避ける王様!
しかし、臣下たちはそれを避けることができないまま、そのまま炎に包まれた!
王様は走った!
そして火炎弾が止まるその瞬間、木を蹴って宙に舞い上がり、巨大な翼のモンスターに向かって飛びかかった!
もう一度火炎弾を準備する暇もなく、巨大な翼のモンスターは首筋をかまれて地面に墜落した。
しかし、どちらも悲鳴はあげなかった!
王の牙に耐えながら巨大な翼のモンスターは再び火炎弾を放った!
そして、これ以上の慈悲はないように連発の火炎弾を一気に王の腹に打ち込んだ!
それによって発生した爆発は、王と巨大な翼のモンスターを同時に巻きつけた。
その爆発の中で先に姿を現したのは巨大な翼のモンスターだった!
空に舞い上がり爆発風から抜け出し大地を見下ろす巨大な翼のモンスター!
爆発風が消え、姿を現した王。
二人のモンスターはお互いから目を離さなかった!
そして次の瞬間、お互いに向かって咆哮した!
それは異なる二つの存在の怒り、それがぶつかり合うような轟音!
しかし、それが最後だった。
巨大な翼のモンスターは席を離れ、どこかへ飛んでしまった。
2人の強者の戦いはこうして終わりを迎えた。
だが、この戦いの余波はシャル一行にも届いた!
巨大な咆哮と爆発音!
シャルはすぐにライラを上空に送り、様子を見た!
そして、ライラの目に自分からペンダントを奪ったあの巨大な翼のモンスターが捉えられた!
"みつけた!!!"
■□■
山脈の向こうに向かって飛ぶ巨大な翼のモンスター!
山脈の木々の間を走りながら、シャル一行はそのモンスターに向かって走っていた。
「見つかったって本当?」
先頭に立って飛んでいくライラに向かって、シャルは確認のためにそう尋ねた。
これに対し、ライラは後ろも振り向かず、飛びながら答えた。
「はい、間違いありません! 確かにあいつです! それに...."
ライラは冷や汗を流しながら、不安そうな真剣な表情で話を続けた。
「今回見て確信しました、あれはエクソクォールという モンスターです、その中でオスのエクソクォールレギウス!」
「雄?」
シャルは首をかしげながら聞き返した。
「はい、メスはエクソクアリアと呼ばれて少し違う形をしています! 大きさや力はオスより小さく弱いですが、毒があってオスより面倒なんです。だからメスじゃないのが不幸中の幸いです」
そう言って、ライラは口をつぐんでやつを追いかけることに専念した。
しかし、それでも心の中には一つ疑問があった。
でもエクソクォールは普通この辺にはいないモンスターなのにどうして…?
でも、すぐに首を横に振り、目の前のやつに集中することにした。
「とにかく急ぎましょう!」
全力で走っているうちに、だんだん呼吸が荒くなってきた。
それと同時に体が熱くなり始めた。
しかし、さほど大きな暑さは感じられなかった。
まるで空気が凍りつくように次第に空気が冷たくなるのが肌で感じられた。
冷たい空気をいっぱい含んだら、肺が少し痛くなってきた。
背景が次第に雪に覆われ、真っ白に染まっていった。
だけど、そのためにさらにその異質な現象に目が向けられた。
真っ白な世界の中、まるで焼け焦げたように燃え上がった木たち!
視線を引いた跡に沿ってゆっくりと動くと、依然として燃えているタロンの死体と木たちが目に入った。
シャルは自分は知らないうちにその光景に目を奪われた。
だけど、確かにそれは単によそ見をしたりするようなものとは距離がある感覚だった。
そしてやがてシャルはそれが野生の感だったことを直感する。
焦げて燃え上がるタロンの死体と木たちの向こう。
そこにタロンたちの王様グリムタロンが静かにこちらを眺めていた!
血を流してかなり疲れて見えるグリムタロン!
しかし、それでもその眼は誇りを失わなかった。
彼と目が合った瞬間、シャルは一瞬その威圧感に体が凍りついた!
疲れた王の眼、 その中に殺気はなかったが、それでも野生の直感はその中に込められた誇りと力をシャルに伝えた!
凍てついた体。
お互いを見つめるグリムタロンとシャル!
時間で計算すると、ほんの数秒に過ぎない短い時間に過ぎないだろう。
それでもその一瞬の中にまるで永遠の時間が溶け込んだように、その時間はシャルに永遠に感じられた。
「シャル、何やてるの! 急いて!」
「このままじゃ逃しちゃいます!!」
聞こえてくるメイとライラの声に凍りついた時間が再び流れ始めた。
しかし、彼らの声がなかったら、二人は限りなく凍りついていただろう。
再び流れ始めた時間とともに、二人はお互いの道に向かって走り始めた。
やがて木でいっぱいだった山脈は終わり、真っ白な雪に覆われた広い平原と、その向こうに再びある雪に覆われた山脈が目に入った!
雪原をたくましく走る長くて豊かな毛を持つバッファローのようなモンスターの群れや雪兎、時にはキツネやオオカミたちが走り回る雪に覆われた雪夜。
視野が開けると、シャルの目にも巨大な鳥類型モンスター、 エクソクォールレギウスが遠くへ飛んでいくのがかすかに見え始めた。
しかし、それさえも次第に視野から消え始まった。
「やばい、このままでは本当に逃してしまう!」
メイは歯をかみしめて,困ったように真剣に言った。
これにシャルも嘆くかのように、顔をしかめながら言葉を流した。
「あも!....馬でもあったら…!」
シャルがそう言ったその瞬間!
ライラは感嘆とともに何かに気付いたように、ユーレカを叫んだ。
「それです!!馬!」
ライラはシャルに向かって顔を突き出しながらそう言った。
「でも、この辺りに馬がどこにあるというの?」
理解できなかったのか、ライラに聞き返すシャル。
ライラは長い毛のバッファローを指差して口を開いた。
「馬はいなくても、あいつらがいるじゃないですか!」
「正気なの? あれわモンスターだぞ?」
あわてたように冷や汗を流すシャル。
しかし、ライラは確信があるかのように自信を持って話した。
「モンスターといってもあれは草食性モンスターのムムナガゲです!人には友好的なんですよ!
心配しないでください。私がどうにかします! だから二人は私だけ信じてあいつらに乗り込んでください!」
冷や汗が流れたが、このままではエキソクアレギウスを逃すのは時間の問題!
こうなった以上、一か八かだった!
「しょうがないな!」
シャルとメイは、ライラの言うとおり、ムムナガゲに飛びついた!
しかし、ムムナガゲにシャル一行が乗り込むと、やつは慌てたように泣き声を流し、狂ったようにもがき始めた!
シャルは落ちないためにムムナガゲの毛を持つ力いっぱいつかみ、メイもシャルの腰に必死にしがみついた。
しかし、それもつかの間!
ライラはすぐにムムナガゲに近づき、優しく奴の眉間に手を当てて、分からない言葉でつぶやいた。
すると、ライラの体から柔らかい青い光が出始めた。
その瞬間、興奮したように暴れていた奴が平穏な表情でライラを眺めた。
穏やかに落ち着いた瞳孔で小さな妖精レイラを眺めた。
そんなモンスターから目をそらすことなく、ライラは優しくムムナガゲをなでた。
「ありがとう...!」
ライラは感謝の言葉とともに、ムムナガゲの頭の上に座った。
その瞬間、ムムナガゲが走り出した!
これに対し、メイは明るく微笑みながら口を開いた。
「本当にできたね?ライラすごい! はは、こうなると分かっていたら、私が前に乗ればよかった!」
「はは、ほら私かできると言ったですよね?」
「ごめん、私実は70くらい信じられなかった」
シャルの率直な言葉に、ライラは笑いながら話した。
「実は私も本当にできるとは思ていませんでした」
「まじか…?」
「でも目隠ししてスケルトンに突進する人の計画よりは現実味があったでしょう?」
シャルは冷や汗を流しながら、虚しい笑い声で答えるしかなかった。
シャルとメイを乗せたムムナガゲは速く走った!
速いスピードで雪原に陥ることなく、ムムナガゲは雪夜を走った。
太陽の光を反射する雪夜はまぶしく、また美しかった。
見た目と違って馬と同級のスピードを持つムムナガゲ!
あっという間に過ぎていく雪夜の風景を目に焼き付けて、ムムナガゲは全速力で走った!
そのおかげで、シャルとメイそしてライラは、クォールレギウスが視界から完全に消える前に、雪夜を越えて奴が山脈の上の洞窟の中に入るのを把握できた!
正確な位置把握のためにシャルとメイはムム、ナガゲを送りかえして山脈を登った。
どれだけ登ったのか、夕焼けになって時間が流れ、日が暮れる頃になってようやく、かなり大きな入口の洞窟が視野に入ってきた。
洞窟に向かって近づこうとしたその瞬間、突然メイがシャルの前を腕で塞ぎ、そのままシャルの頭をつかんで、まるで雪の中に潜むようにシャルと一緒に雪の中に入り込んだ!
その瞬間、青空から飛んできたクォルレギウスが洞窟の前に降りてきて中に入る姿が見えた。
雪の中でメイはシャルとライラに向かって言った。
「ねえ、シャル、今の時点であのモンスターがライラを襲ったのは確かだけど、だからといって必ずあいつを倒さなければならないわけじゃないよね?あくまでも私たちの目的は妖精王のペンダントだよね?でしょう?」
シャルは静かにうなずいた。
雪で顔が冷たかった。
メイはそのようなシャルを見ながら話を続けた。
「じゃあ、あえてあのモンスターと 戦う必要はないと言うことだよね?、今確認されたことから見るとあのモンスターかなり頻繁に洞窟の外に出て外部活動をしている、それもかなり長い間、私たちがここに来るまで2時間以上かかった、その間に、奴はもう一度外出して、私たちがここに到着してからやっと帰ってきた、つまり、少なくとも1時間以上、奴は周期的にあの洞窟を空けるということだよ、だから、私たちはその隙間を狙って洞窟を探索しよう、あえて避けられる戦いをする必要はない」
そう言うメイの意見にライラも同調するように近づいてきてうなずきながら言った。
「私も同じ考えです、正直、あえて危険を冒したくはありません。 避けられる戦いなら避けるのが得策です」
シャルは「分かった」と言ってうなずいた。
そして、まるで伸びをする時に体が震えるように、寒さのせいで体を震わせながら口を開いた。
「でも、まずここから離れよう···寒い…」
シャル一行は席を閉め、洞窟近くの木の後ろに身を隠した。
空を飛ぶクォールレギウスに見つかることができるので、火をつけることができず、かなり寒かった。
シャルは寒さを避けるためにインベントリから皮を取り出し、全身に巻いた。
そしてメイにも何も言わずに皮を差し出した。
メイはしばらくシャルを見て,優しく微笑み,革を肩にかけた。
しかし、革を巻いたにもかかわらず、依然として震えるシャル。
メイはそのようなシャルを見て笑った。
「はは、そんなに寒いシャル?」
「うん......小さい頃から寒さに弱かったんだ、そういう君は大丈夫?」
体を震わせながらシャルが尋ねると、メイは優しく微笑みながら言った。
「うん、私は大丈夫、小さい頃から体温が高くて寒いのは大丈夫だった」
「それはよかったね、ところでライラ君は服もないのに大丈夫そうだね?」
震えるシャルとは違って、ライラは平穏な表情で話した。
「そりゃあ、まあ、私は妖精なんですから、妖精は元素とは友達なんです、でもやはり過酷すぎる環境は私もさすがに大変ですが、それでも氷点下20度くらいまでは耐えられるんですよ」
「みんなうらやましい体質だね」
「ふふ、みんなそれぞれ長所と短所があるだけだよ、 私は逆に夏にすごく大変だからね」
メイがそう言った瞬間、洞窟の入り口にクォールレギウスが歩いてきて、その巨大な翼を広げた!
出た!
一瞬、みんなの視線がクォールレギウスに向かって集まった!
それを知っているかどうか、クォールレギウスは羽をばたつかせながら空高く舞い上がって消えた。
そして、奴が完全に消えたことを確認したシャルとメイ、そしてライラはお互いに視線を交わし、うなずいた。
そして雪をかき分けながら洞窟に向かって歩いた。
いざ洞窟の前で見ると、遠くから見たものを見た時よりはるかに巨大な洞窟の入口がシャル一行を迎えた。
思ったよりもっと巨大で暗くて陰気だった。
未知の闇からの恐怖。
一瞬、シャルは巨大な獣の口の中に自ら潜り込む小動物の気持ちを理解した。
しかし、それもしばらくシャルとメイは腰につけていたランタンを作動させた。
すると、明かりが優しくシャルを包んだ。
洞窟の闇を全て取り払うことはできなかったが、手が届く距離の闇からシャルを守ってくれた。
自分の手が見えるということが、改めてどれだけ安心できる感覚なのか分かった。
同時に、シャルは前回の赤い眼光のモンスターとの戦闘後、シャルとメイに快くこの魔法のランタンを与えたローグの顔を思い出し、心の中で感謝の挨拶をした。
特別なMp消耗なしに薪代用のアイテムを消耗することで一定時間光を放つ魔法のランタン。
きっとこれからの旅路でも大いに役立つはず!
メイはインベントリからたいまつを取り出し,より広い空間を照らしながら洞窟の中に入った。
「不気味ですね」
吹きつける冷たい風に身の毛がよだつライラはそう言った。
シャルも大丈夫なふりをしているが、警戒心を最大限に持ち、落ち着いて周辺を捜索していた。
クォールレギウスか狩りをした獲物をここに持ってきて食べたのか、あちこちに血がついた跡や骨のかけらのようなものが目に入った。
しかし、それは動物たちだけのものではなかった。
ところどころ、まるで人のものと見られる骨片も時々見えた。
不気味するな···
だけど、怖くて立ち止まるためにここまで来たのではなかった!
だから、シャルも次第に洞窟の内部に深く入った。
そしてついにシャルは奴の巣を発見した。
木の枝や木の破片が壊れたものを集めて、べたべたとした分泌物でくっつけておいたような巣!
ところどころきらめく石やガラスの破片のようなものもついていた。
そしてその中心には巨大な3つの卵があった。
卵一つ一つがすべてシャルの胴体ほどのサイズを持つ特大卵!
出所の分からない不思議な超自然的な感覚が、ここに妖精王のペンダントがいそうだという確信を与えた!
まるで金属すくいで金属を探知する時の感覚!
シャルはその直感を信じて巣をかき分け始めた。
内部の枝を切り取って壊し、巣の外側から内側まで綿密に調べた。
にもかかわらず、まだペンダントは見つかっていなかった。
それでもシャルはあきらめずにずっと巣をかきわけた。
そしてシャルが中央に位置した巨大な卵を両手でつかんで持ち上げたその瞬間!
シャルの目に毒々しい紋様を持ったキラキラしたペンダントが目に入った!
「見つけた!」
それが正確に妖精王のペンダントかどうかは確信できなかったが、その神秘的でありながら圧倒的な存在感が、まるで自分が妖精王のペンダントであることを強く主張しているように感じられた。
ライラは静かにそゆうなシャルを見守っていた。
いや、正確にはシャルが発見した巨大な卵を見守っていた。
おかしい!何かおかしい!
そして、その時になって漸くその違和感の正体に気づき、今の状況がかなり間違っていることに気づいた。
卵?
卵だって?
可笑しい。
なぜだって?
そりゃあ、クォールレギウスはオスだ!
だったらあの卵は誰のものなんだ?!!
死体と捕食の痕跡に満ちたこのクォールレギウスの洞窟の中で傷一つなく無事なあの巨大な卵は一体誰のものだと言うのか?!!
早くこの事実をみんなに知らせなければならない!
ライラがみんなに自分が感じたことを話そうとしたその瞬間!
ライラの背後から明るい光とともに熱が感じられた!
それに驚いて、ライラが振り返った瞬間!
すでにその光の源はライラを通り過ぎ、シャルに向かって飛んでいた!
熱い熱気!
明るい光とともに飛んできた火炎弾は、あっという間にシャルに向かって飛んで激突した!
爆発する火炎の直撃打!
爆発と共にシャルは卵を落としながら炎に包まれ、数メートルは飛んで地面の上を転がった!
瞬く間にシャルの生命力は20%以上消滅した!
そして、炎の根源地に首を向けると、巨大な黒い翼を持つ猛禽類のエクソ クォールリアが、口の周りで揺れる炎を宿して、ひらめく眼光とともにこちらを睨んでいた!
暗闇の中で炎とともに現れたクォールリア!
メイはそれを見て、すぐにペンダントを手に入れるために飛びかかった!
だが、やつは風圧をかけた翼をメイに振るい、メイは翼にはねられてふ飛んでしまった!
「ばかな!まさかもう群れをなしているとは!」
驚愕するライラ!
奴の登場とともに、あっという間にシャルとメイはふ飛び、床を転がすことになった!
圧倒的な強者!
言うまでもないこの地域の生態系の頂点!
天の王妃、エクソクォールリアがそこにいた!
でも、それがまあどうしたと言うんだ?!
目標は今目の前にある!
シャルは床をついて再び立ち上がった。
そしてまだ炎が消えていない体で
大剣を抜いてエクソクォールリアと向き合った!
どうせいざとなったら闘うつもりだった。
「エクソクォールレギウスなのか、クォールリアなのかは分からないけど、どうせてめも結局モンスターだろ? なら倒せるさ!」
シャルは殺気に満ちた表情でクォールリアを眺めながら、やつに向かって歩いた。
5日間の終わりのない戦闘と徹夜の修行が、シャルを以前より強くした。
レベルは上がり、ここに来る過程でさらにレベルが上がった。 今ではそのレベルは11に達した!
単純計算で2倍。
初めて巨体のモンスターを倒して山脈の入り口で屈辱を味わった日からシャルは2倍は強くなった!
さらに 今は一人じゃない!
メイがいる!
ライラがいる!
奴が群れをなす生き物なら、そんなモンスターなら!
今一匹が空白の今が絶後のチャンス!
「メイ、ライラ! 奴を倒して今日ペンダントを回収する!」
体を起こしたメイは、シャルを眺めながら視線を交わし、うなずいた。
巨大な大剣で地面を掻きながらクォールリアに向かって歩くシャル!
その瞬間、クォールリアは口を大きく開けてシャルに向かって突進した!
しかしシャルはその瞬間を狙ったように遠心力を込めて大剣を下から上に上げ打った!
まるで野球バットを振り回すような巨大な鉄剣のスイング!
痛快な衝突音と鉄が振動する激音とともに顎を打たれたクォールリアは、後ろに倒れ、何度も地面を転がり倒れた!
それと同時にメイはクォールリアの胴体の上に飛びかかり、連続で短剣を突き刺した。
残酷なほど無慈悲な短剣の高速突き!
噴き出す血とともに、やつが怪声を出して体を起こした!
しかしメイは慌てずに短剣をひねって抜いた、そしてわ、短剣を逆手に取って、やつの腹部を切りながら滑るようにやつの背面に戻った。
苦しみながらも姿勢を正したクォールリア!
前はシャルに後はメイに包囲されたクォールリア!
その時、メイの目に精霊王のペンダントが目に入った。
今なら手が届くくらいの距離!
しかし、巣の方に移動したメイを、クォールリアは優先的に追跡した!
振り向いて突進するクォールリア!
奴の口からの攻撃を避けようとしたメイ!
だが奴は空中で姿勢を変えて足を出した!
軽甲に囲まれた鋭い爪の足!
クォールリアは飛び上がり、足で力いっぱいメイを握り締めた!
そのものすごい力と鋭い爪がメイの肌に突き刺さった!
それと同時にメイの体が熱くなり始めた。
まるで全身が鼓動するような感覚!
毒だった!
爪に刺さることでメイの体内に侵入したクォールリアの毒!
ちょっとした麻痺とともに生命力が減り始めた!
しかし、メイがそのすべてを把握する前に、クォールリアはあっという間にメイを自分に向かって飛びかかるシャルに向かって投げ捨てた!
空気を切って高速で飛ぶメイ!
飛んでくるメイに衝動したシャル!
その反動で二人は一緒に巣とは反対方向に飛んでしまった!
クォールリアわそのようなシャルとメイに向かって火炎弾を吐き出す準備をした。
ふ飛んでいる途中、それを見たシャルを地面に着くと同時に素早く前に飛び出し、大剣を地面に打ち込み、全身で力を込めて大剣を支えた!
その瞬間、大剣と飛んでくる火炎弾が衝突して爆発を起こした!
思いっきり飛んでくる5発の火炎弾!
衝突するたびに激音とともにまるで全身を鉄槌で殴られるような重苦しい衝撃が響いた!
結局、大剣で防いだにもかかわらず、シャルはその熱気と爆発の衝撃によって相当なダメージを受けてしまった!
しかし、そのチャンスをメイは逃さなかった!
まだ火炎が揺れる爆風をかき分けて、メイはクォールリアに向かって走った!
「ライラ!」
メイの呼びかけで一緒に放物線を引きながら飛ぶライラ!
メイはそんなライラからクォールリアの視線をそらすために投擲用の短剣を投げ、視線を引いた。
それと同時に、ライラはメイとは別れて、まるで空中で割れた散弾片のように飛んでいった!
自分に短剣を投げたメイに向かって火炎弾を撃つクォールリア!
機敏に火炎弾をかわすメイだったが、いつまでも虚空だけを狙うクォールリアではなかった!
口に火炎弾を集めながらメイが移動する方向を予測し、メイに正照準するクォールリア!
その瞬間、毒によってメイの体が一瞬固まった!
それと同時に、メイは確信した!
今回の火炎弾は絶対避けられない!
クォールリアの口にある火炎の出力が高くなり、強く揺らいた!
最高威力の火炎弾!
もし当たるようになったら、いくらレベルが上がったメイだとしても耐えられないだろう!
メイの瞳に巨大な火炎を抱いたクォールリアが映し出した!
その瞬間、クォールリアの口から火炎弾が噴き出した!
いや!
火炎弾が噴き出しそうになったその瞬間!
シャルがクォールリアに向かって走ってきては、大剣でクォールリアの首を打ち下ろした!
まるで鉄と鉄が衝突するような重たい振動音!
渾身の一撃だったにもかかわらず、固い軽甲に囲まれたクォールリアの首を一撃で両断することはできなかった!
だけど奴は相当なダメージを受けたのか、奴の口にあった火炎弾が不発弾になり、火炎の代わりに悲鳴が上がった!
そしてその間に、ライラはそのままペンダントに向かって飛び、ペンダントを捕まえた!
シャルもそれを両目で確認した!
しかし、それはクォールリアもまた同じだった!
クォールリアは翼でシャルを振り払いながら、ライラに向かって首をかしげた!
そして口を開けてペンダントを握ったライラに向かって飛びかかった!
しかし、その瞬間、クォールリアの目の前に真っ白な光の球体が現れた。
そしてその瞬間、光の球体が割れ、膨大な光を放った!
光の正体はメイが投げた閃光弾!
その瞬間を逃さず、ライラは洞窟の入り口に向かって走り出した!
メイもまた、すぐに体をひねってシャルに向かって叫びながら走り出した!
「シャル!」
メイの声にシャルも剣をおさめ、洞窟の入り口に向かって走り出した。
まだ視力が戻ってこないクォールリア!
しかし、やつは怒りに満ちた火炎弾を吐き出し、シャル一行を攻撃しようとした。
しかし、視力のないその火炎弾はすべて虚空だけを裂いた!
それをクォールリアもまた、それを知っているのか激怒して咆哮した!
鳥類というより龍に近い咆哮!
戦慄とともに感じる怒りの感情が咆哮に乗ってシャルの全身に響いた!
それにもかかわらず、シャル一行は止まらず走った。
そしてやがて洞窟の外に抜け出した!
ペンダントを持っていたライラは、会心の笑みを浮かべながらシャルの肩の上に座った。
やった!
そんな確信と歓喜の感情がドーパミンと共に全身にあふれた!
このまま逃げ切りさえすれば言うまでもないシャル一行の勝利だった!
だが...!
そうやってシャルとライラが走っていたその瞬間!
上空から火炎弾が飛んできて、シャルとメイの進行路を遮った!
そしてシャルが火炎弾が飛んできた方向を眺めようと首を回して上空を眺めようとしたその瞬間!
「シャル、危ない!」
シャルの目に見えるのはオレンジ色と金色の風景だけだった。
そして、それが火炎であることに気付いた瞬間は、すでに火炎弾が全身を巻きつけていた後だった!
青空を纏うクォールレギウス!
クォールレギウスが噴き出した火炎弾がシャルに直撃で命中した!
爆発とともに燃えながら空中を飛ぶシャル!
その衝撃で、ライラのペンダントは遠くへ飛んでしまった!
また、無防備な状態で受けた一撃により、シャルの生命力は25%まで墜落した!
飛んでいくペンダント!
メイはすぐにペンダントを捕まえようとしたが、相次ぐ火炎弾によって道が塞がれ、前進することができず、ペンダントを眺めるしかなかった!
そしてその頃、洞窟から視力を回復したクォルリアが怒りの咆哮とともに飛び出した!
そして空を駆け巡っていたクォールレギウスも地上に降りて着地した!
そしてわ、奴らは同時に炎を含んだ口を空高く持ち上げながら空高く咆哮した!
その巨大な咆哮の音と風圧、揺れる火!
あまりにも大きな轟音によって聴覚が麻痺しそうだった。
そんな絶対的な強者を目の前にするメイは静かにスクロールを上げた。
そして二ひきのエクソクォールが 飛びかかった瞬間、膨大な光が広がった!
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