Stay Alive.Say.4.隠しクエストと初めての仲間メイ!(3)
Stay Alive.Say.4.隠しクエストと初めての仲間メイ!(3)
いたた....
ううう、頭が······
大きな衝撃によって、ある程度精神があったにもかかわらず、体がうまく動かなかったその時。
誰かが私の頭を軽くたたいているような気がした。
まるで巨大なボールで誰かが私の頭を押すような感覚と共に徐々に私の精神が戻ってきた。
うぅ、誰だよもぉ…?
目覚めたその時、そこには巨人がいた!
黒髪の巨人と赤髪の巨人!
突然目の前に現れた巨人たちに驚いた妖精は、メイの手のひらの上で驚き、揚がるポップコーンのように飛び上がった!
だけど、その勢いのまま、真上にあった木の枝に頭を打ち込んだせいで、風に飛ばされる紙の落下傘のように、ゆらゆらとメイの手のひらの上に戻ってきた。
しかし、今回は気絶せず、すぐに驚いて慌てたような声で、シャルとメイに向かって哀願するように話し始めた。
「ウギャッ!お願いします 食べないでください! 私はこう見えても故郷に妻と娘がいるんです!」
妖精はメイの手の上で両手をこすりながら必死に訴えた。
「フフ、びっくりさせでしまたね、大丈夫。私はモンスターじゃないから、君を食べたりはしないから」
メイはまるで子供を扱うように優しく妖精を撫でながら柔らかい声でそう言うと、妖精はしばらく警戒するようにこちらをちらっと見たが、すぐに安心したように落ち着いた声で姿勢を正して口を開いた。
「あれ?皆さんはもしかして異邦人ですか?」
私たちが異邦人だということを知ると、その妖精は目を輝かせながら本人の話をし始めた。
遠い地の果ての島、現実と異界の間に位置する妖精界。
その中心にそびえる巨大な世界樹は、「すべての生命の母」と呼ばれる。
そして妖精はかたっだ。
その大自然の源が生まれ育った精霊たちの地に起こった異変について…···
そこは本当に豊かな森でした。
高い空に向かって高く伸びた木だちはさわやかで息をするだけでもすべての万病が治るほど生命力が溢れる場所でした。
そして、その中心にある最も大きくて生命力があふれる木が、この世界のすべての森の母である世界樹です。
世界樹の加護の下、邪悪な魔物たちは森に入ることさえできず、善人たちはただそこにいるだけで万病を乗り越えて傷は治り、健康を取り戻す祝福を享受することができました。
世界水に乗って流れていく水の流れを見て、その平和が永遠に続くと思いました。
しかし、ある日からか突然、世界樹に乗って流れる水源地から毒気のこもった赤黒い水が流れ始めました。
水と呼ぶにはあまりにも強くて、魔が差していました。
地面は割れ、その水を飲んだ大地の上のすべての動植物が腐り始めました。
すべての生命に祝福を与える世界樹が一瞬にしてすべての生命を死なせる死の木になる瞬間でした。
割れた大地から這い出た魔物たちに追われ、私たち妖精は皆、故郷である世界樹の森を離れなければなりませんでした。
これに対し、妖精たちの王である妖精王様が動き出しました!
まだ毒気が広がっていない外殻に妖精たちが集まって暮らせるようにし、結界を開いて毒気が侵食できないようにしました。
そしておっしゃってました。
このすべての事件は遠い昔、太古から伝えてきた予言によって予定され、避けられないことだったそうです。
避けられない絶望の予言。
しかし同時に希望もあると言いました。
予言によると、遠くない未来、ここではない別の世界、異界から訪れた旅行者が、太古の英雄の力を受け継いで世界樹を救援すると言います。
妖精王様はすぐにも彼らを探しに行きたかったのですが、結界を維持し、毒気の拡張を防ぐためには妖精界を離れることができませんでした。
だからこそ、妖精王様の指揮の下で選ばれた私が、その伝説の英雄の後継者となる異界の旅人、最近現れ、この世で異邦人と呼ばれ始めた者たちを求めて旅していたのです!
そやで、ぶつぶつとなぜ今自分がここにいるのか説明した妖精は、こちらを見ながら話を続けた。
「きっと今こうして二人に出会ったのも運命かも知れません! いいえ、きっと運命だと思います! だから皆さん! もしよろしければ、私と一緒に妖精界に来ていただけますか? きっとこれも妖精王様のペンダントが導いてくださったのだと思います!」
妖精は興奮したように鼻息を吐き出しながらそう言った。
そして、くるくる回りながら両目を閉じて嬉しそうに踊りながら歌うように言葉を続けた。
「そのペンダントを手に入れる異世界の旅人、太古の恩人、英雄の力受け継ぎ病に落ちた世界樹を救うのに、さあ旅だそぅ妖精の子供たちよ~」
まるで歌うようにリズムに乗って話す妖精。
妖精はにっこり笑って話し続けた。
「こうして出会で、親切にしてくださったお二人に私は運命を感じました! 是非このペンダントをもらって私と一緒に妖精界に.........」
妖精は何かを探すように自分のむなもとをたどった。
しかし、そこで触られるのは平らな妖精自身の中性的な胸だけだった。
「ウギャアアアアアアアアアッ!!!!」
その瞬間、突然悲鳴とともに妖精は舞い上がった!
そして、全身を触りながら悲鳴を上げた。
「いない、あない!どこに行ったんだ?!妖....妖精王様のペンダントが?!!!ダメダメダメ!ダメ!!!絶対だめ!!!」
ほぼ、悲鳴に近い妖精の声。 妖精は両手で自分の頭をかみちぎって当惑した。
そして、まるで銃弾でできた蜂のようにあちこちをブンブン飛び回りながら草むらを切り取り何かを探し始めた。
「ダメ、ダメ、ダメだよ、あれがないと妖精界は......、私は........どこだ?どこで失くしたんだ?!」
そのように森の中を探していた妖精の顔が一瞬にして青白くなり、怯えたように冷や汗と共に凍りついた。
「うそでしょ......?まさかあのときのモンスターが?!」
妖精は力なく地面に座り込んで頭をかきむしった。
「ダメ、ダメ......そのペンダントがないと......私は......」
挫折する妖精に向かって近づいてきたシャルとメイは、膝を曲げながら妖精に話しかけた。
「どうしたの?大丈夫? 何か失くしたの?」
メイが優しい声でそのように尋ねると、妖精は青白い表情でこちらを眺めながら口を開いた。
「それが…...さっきモンスターに襲われた時に妖精王様のペンダントを失くしたようです......"
「それがそんなに大事なものなの?」
シャルが無心に聞くと、妖精がかっとなって叫ぶように鬱憤をぶちまけた。
「当たり前じゃないですか!それがないと妖精界にわ戻れないんですよ! そのネックレスは道を案内してくれるだけでなく、妖精界と人間界を行き来できる鍵なんですよ! それがないと何をしても妖精界には帰れないんです!!!!"
「なるほど、そうか? そんなに大事な物だと言うことだよね??」
シャルはさりげなく腕を組んで言った。
「なるほど、そうか? じゃないんですよ あなたはこのことがどんなに深刻なのか分からな.....…」
シャルは興奮したような妖精に突然大剣を抜き出して口を開いた。
「そのペンダントってどんなものなの? この剣よりいいものなの?」
シャルの突然の質問に妖精は呆れるようにかっと腹を立てるような口調で叫んだ。
「そりゃ、当たり前でしょう!どこで無礼に、そんな安物の骨董品と妖精王様のペンダントを比較するんですか!!!無礼さにも程度があります!妖精王様のペンダントは古代の英雄が使っていた神器!そんなどこにでも転がっている安っぽい鉄のかけらと比較しないでください!.......ウアアアアン私、もぉらどうしよう!」」
そう叫んだ妖精は自責の言葉を吐き出し、子供のように泣き出した。
その時、シャルが無味乾燥な口調で口を開いた。
「じゃあ探せばいいんだろ、手伝ってあげる」
シャルはさりげなくそう言いながら話し続けた。
「私もちょうど何でもいいから気を配ったかったの、そして何より…....」
震える手を見つめながら話すシャル。
その瞬間、無関心だったシャルの目が真剣に変わった。
「あのペンダント、妖精王のペンダントって言ったっけ? それを受けろって言ったよね?つまり、それを見つけたら私が持って行ってもいいんだよね?」
装備アイテムは基本的に高価で売れる。
そして町の平凡なおじさん(?)であるローグの剣さえ3万円で取り引きされた。
ところが、今回はなんと妖精王のペンダントだと出てきた!
そこにこの妖精は、今レアアイテムのローグの剣を見て、どこにでもある安物の骨董品だと叫んだ!
つまり、それが何であれ、どんな力を持っていても、最低でも3万円以上の価値があるということだった!
今はたったの1円でももっと必要な状況!
それならこの宝探し、つきあってくれるのが当たり前じゃないか?
乾いた空からゴールドが、それも少なくとも3万円以上のゴールドがこぼれたわけだから!
そう思うと、無心だったシャルの表情が、いつの間にか殺伐とした笑みに変わっていた。
その表情を見た妖精はしばらくためらったが、すぐ口を開いた。
「もちろんです!そのペンダントはもともと、異邦人に差し上げる予定だったものです もちろん差し上げます!伝説によると、ペンダントは自らが因縁を導くそうです! あなたがそれを見つけたら、それもまた運命、当然差し上げます!だからお願いします、どおか、ペンダントを取り返してください、 そのペンダントは妖精界の最後の希望そのものなんですよ!」
妖精が涙声でそう言った瞬間、目の前にクエスト窓が浮かんだ!
-隠しクエストを発見しました!
-ヒドゥンクエスト発生!
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-ヒドゥンクエスト-
妖精界に迫った危機!
あなたは偶然出会った妖精から妖精界の危機について聞きました。
しかし、妖精界に行くための妖精王のペンダントがどこかに消えてしまいました!
妖精を助けて、妖精王のペンダントを取り戻してください!
難易度:E
報酬:精霊王のペンダント。
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-注意!ヒドゥンクエストは、アナザー全体に巨大な影響を与える重大なクエストです。
ですから、一度クエストを途中で諦めたり失敗したりしたら、二度と元に戻せないので慎重に決めてください!
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メイも同じクエストを受けたのか、しばらく慌てたようにシャルを眺めた。
そして、何も言わずにうなずいた。
隠されたクエスト、それもアナザー全体に多大な影響を及ぼすヒドゥンクエストって?!
突然の急転界にシャルもメイも言葉が詰まった。
率直に言って、シャルはただそのペンダントさえ手に入れることができればよかった。
だけど、ヒドゥンクエストに今後のアナザーに多大な影響を及ぼすと出てくれば、これはまた話が違った。
クエストをクリアした後も、何か大きな事件に巻き込まれそうな予感がして、自分も知らないうちに乾いた唾を飲み込んだ。
そのような戸惑いの中で、先に口を開いたのはメイだった。
「ねえ、妖精さん。君の名前は何?ペンダントもペンダントだけど、まずわお互いのことお知ろう、その後からどうするか考えてみよう」
傷心した妖精を思いやるような優しい口調で話すメイ。
そんなメイを妖精はちらっと見て、多少泣きそうな声で口を開いた。
「私はライラと申します。どうかよろしくお願いします」
「うん、よろしくね、ライラ、私はメイ、そしてこちらはシャル、さっきも言ったように私たち二人とも異邦人だよ」
ライラは静かにすすり泣きながらメイの手のひらの上に座った。
そしてメイはそんなライラに聞いた。
「ねえ、ライラ、その失くしたと言ったペンダント、どこで失くしたか覚えてる?」
その質問にライラは悲しそうな表情で口を開いた。
「はい、覚えています、今先モンスターに襲われたのですが、きっとあの時のやつに奪われたと思います」
「モンスター」
シャルがライラに聞いた。
「はい、鳥のような巨大なモンスターでした、たしか気を失う前に、やつがこの先の山脈の方へ飛んでいくのを見ました!」
ライラはそのモンスターの外見を思い浮かべながらそう言った。
鳥と言ったが、羽で包まれたのは羽だけだった。
大きくて巨大な翼を包んだ真っ白な翼と対照的な暗い色のくちばし。
翼を除いたすべての部位がまるで皮膚が変質して形成された軽甲のような外骨格で重武装したように硬い姿を持っていた。
特徴として言えば、軽甲には小さな爪の跡のような穴があるという程度だった。
それを聞いたメイは頭が痛いような口調で話した。
「山脈か?それは困ったことになっだな......」
シャルはそんなメイに向かって尋ねた。
「なぜですか?そのモンスターはそんなに厄介なんですか?」
「いや、そのモンスターについてはよく知らない。 でも問題はそこじゃない」
メイはあごに拳を突きつけて話し続けた。
「村から出る前に平野を通ってきたよね? 例外もあるが、基本的にこの辺りは前に進むほどモンスターのレベルが高くなる、今私のレベルが6なのに, 正直まだこの森のモンスターたちも手に余るましてあの山脈はこの森よりずっとレベルが高い、正直今の状態では無理だよ、なんか圧倒的に強いというより狡猾って感じで、それで単純が力によって手に余る森よりもっと手に余る」
レベル6なら確かにレベル5のシャルよりも高いレベルだった。
そのような彼女が手に余るなら、確かにシャルにも甘い環境ではないことは明らかだった。
でもそれは彼女が一人だったからじゃないのか?
しかし、今はシャルとメイ、このように2人が存在する。
たとえ一人には手に余るかも知れないが、二人なら話は違うだろう。
そう思ったシャルは彼女に自分の意見を述べた。
「でも、それはひとりの時の話ではないんですか? 私とメイ···さんがパーティーをして一緒に行けば、なんとかなるのではないでしょうか?」
その言葉にメイはしばらく悩んでいるようだったが、すぐに悩みを止めて口を開いた。
「確かに君は普通の人より強いけど.....、よし、わかっだ!こうやって、じっとしているより、直接一度経験してみるのがいいと思うだから行ってみよう! でもその前に…」
その瞬間、シャルの目の前にメッセージウィンドウが一つ現れた。
-メイ様がシャル様をパーティーに招待されました。
-受諾。
-拒否。
シャルは喜んで「受諾」を選んだ。
するとシャルの目にメイの残った生命力とレベルのような基礎的な情報が見えてきた!
「さあ、行こうか!」
メイは優しく微笑んだ。
そして、何かを思い出したようにシャルにスクロール一つを渡した。
「あ、それからこれ、念のため一つ持っていて」
ベージュ色の羊皮紙を巻いて赤黒い線で巻いておいたスクロール。
シャルがそれを受け入れると。
スクロールの説明が浮かんだ。
-----------------------
閃光スクロール。
羊皮紙を開き、使用時に強い閃光で一時的に周辺一帯の対象の視野を麻痺させる閃光弾を支給します。
等級:ノーマル。
-----------------------
その瞬間、感謝の言葉より当惑感が先に飛び出した。
「こんなのもらえません! これお高いものじゃないですか?!」
当惑するシャルの反応にメイは大したことないように口を開いた。
「いくらしないよ、やってもたかが5シルバーぐらいだから遠慮しないで」
メイは笑顔を失わなかったが,少し真剣な表情で話し続けた。
「それに、それがないと、君多分死ぬよ?だから持っていてくれる?、それに率直に無意味に死んで24時間も失いたくない 君もそうでしょう?だから持っていてくれ きっと必要な瞬間が来るよ」
かなり真剣な表情だったので、シャルは彼女の言葉に納得せざるを得なかった。
シャルがうなずくと、メイは真剣な表情を和らげ、優しく微笑んだ。
そして自然に前を向いて歩きながら、ライラを呼んだ。
「ライラ、この先で必ず危険なことが起こる、私が呼んだらすぐ私の胸の中に飛びかかって、分かったよね?」
「はい、そうします!」
そのように万全の準備をする彼女の姿を見たにもかかわらず、シャルはまだ率直に言ってそれほど大きな危機意識を持っていなかった。
一種の安全不感症。
アナザーに来て以来、まだ一度も死を経験していないシャルは、自分も知らないうちに少しうぬぼれた状態にあった。
そして、まもなくそれが軽率さだったことをシャルは身にしみて感じることになるだろうということを、この時のシャルはまだ知らなかった。
「さあ、出発しよう!」
メイの案内に従って森の中を歩き始めた。
かなり広い森だったが、すでに探索を終えたメイが最短ルートで案内してくれたおかげで森を抜け出すには20分程度しかかからなかった。
いつの間にか丘に変わった道を登ると、向こうから本格的な山脈が目に入った。
しかし、その山脈に目を奪われる間もなく、次に目に巨大な絶壁が目に入った。
まるで神様が大地を引き裂いたような、はるかな風景が目に入った。
いわば、地中につながった巨大な亀裂だった。
しかし、その先が見えなかった。
その絶壁は険しくあまりにも深いので、太陽の光さえその先までは届かず、ある時点からはまるで誰かが故意に真っ黒に塗っておいたように、ただ暗くて深い闇だけが見えるだけだった。
シャルが果てが見えない闇を見守っていると、ライラが横に飛んできて口を開いた。
「噂によると、ここは奈落の入り口と呼ばれているそうです、そしてここに一度落ちたら二度と戻れなくなるどすたわれでいると言います、それで、この下には地獄があると言う人もいるそうです、まあ多分それだけ深い絶壁という意味でしょうね、実際に翼のある私でさえ最後まで下りられないほど深いんですよ」
シャルは特に高所恐怖症があるわけでもなかったが、その高さと深い闇になぜだか鳥肌が立った。
絶壁を伝って転げ落ちる土や石片。
しかし、シャルにそれが床にぶつかる音が聞こえることはなかった。
シャルとライラが絶壁を見下ろしていると、隣でメイが呼ぶ声が聞こえた。
「早く行こう、こっちよ!」
深い亀裂が山脈への道を切っていたが、幸いに遠くないところに山脈側につながった橋があり、反対側に渡ることができた。
しかし、その橋さえ1km程度になったので渡るまでかなり時間がかかった。
橋を渡りながら、シャルは広大な風景をその目に収めた。
正面には高い山脈、裏面には豊かで鬱蒼とした森!
シャルは行ったこともないし、見たこともないが、多分あやめが言ったアレスカの風景がこれと似ているという気がした。
時々揺れる足は、その度にシャルの全身にピリピリとした電流を流させた。
そして、その下でまるですぐにでも私たちを食べるように口を開けている深い亀裂の闇がシャルの恐怖感をより一層育ててくれた。
シャルがこのような絶壁の上に橋を建てた人類の偉大さに感謝する頃、橋の向こうに到着した。
なぜかシャル自身も知らないうちに安堵のため息が飛び出した。
メイもまたそうだったのかシャルを眺めながらぎこちなく微笑んだ。
足が震えると緊張を緩めた様子を見せるメイ。
帰る時、この橋をもう一度渡らなければならないという考えで本能的に足が震えてきたが、一応それについては考えないことにした。
夕焼けの頃に到着した山脈。
青い山だちが、幾重にも重なっているその広大な風景は、近くで見るとかなり鬱蒼とした風景に変わった。
その厚い木の口を夕焼けの細い日ざしを通過できず、森の中はかなり暗くて陰気だった。
原始的な恐怖を誘発する闇の中に、シャル一行は自らの足で歩いて入った。
「ハハ、緊張するよね?」
メイは変わらない笑顔でシャルを見ながらそう言った。
しかし、その声はやや真剣で緊張感が感じられた。
「でも、そのくらいがちょうどいい。ここからもう少し踏み込めば、私にとっても未知の領域だよ。いつ、敵が現れてもおかしくない」
メイは周囲を警戒しながらシャルに言った。
「シャル、危なくなったら合図して、すぐに閃光弾を投げて、分かるよね?」
シャルは頭を下げてうなずいた。
その後はしばらくは緊張感で対話が交わされなかった。
日が沈み始めた頃、メイはインベントリからたいまつを取り出し、周辺を照らした。
それからどれだけ山脈の中を歩いたのだろうか?
日が暮れてすべてが闇に沈む頃。
突然、メイは静かに口を開いた。
「そういえば、きっと前に襲われたのもこの辺りのばずなだけど……」
彼女のその一言に全身の毛が逆立った。
そしてシャルがメイを眺めたその瞬間!
暗闇の中から赤い眼光が現れた。
最初は一つ。
その一つを見つけた瞬間、あっという間に周辺一帯が赤い眼光で囲まれた!
それと同時に、ライラはメイに抱かれ、シャルは背中に巻いた大剣に向かって手を伸ばした!
しかし、シャルが大剣を抜くより先に闇の中から赤い眼光の何かが飛び出してきて、爪のようなものでシャルの左目を切りながら飛んでいった!
右の額から左の目をかけて左の耳まで、まるでカッターナイフのような傷を刻みながら素早く通り過ぎた何か!
シャルは大剣を抜いた!
早く本能的に目を閉じたおかげで視力を失うことはなかったが、流れる血がしきりに左側に入って視野を妨害した!
大きなダメージや傷ではなかったが、目の周りをやられたことは大きく働いた!
松明を持ったメイは攻撃に多少の不便を感じた。
それでも剣を抜いてシャルと背中を合わせた。
もう一度闇の中から飛びかかる赤い眼光!
シャルは大剣で一気にそれを斬った。
超人的な集中力と運良く、あいつがシャルの視界から飛び出してきたおかげで、それを切り取ることができたシャル!
しかし、メイは違った。
火を守らなければならないという強迫感と同時に、むしろその火に視野が遮られ、奴らの攻撃を防ぐことができなかった。
無防備なメイに向かって、赤い眼光のモンスターたちは再び飛びかかった!
その瞬間、ライラが叫んだ!
「メイさん、右です!」
ライラの言葉のおかげで視野を変えたメイは松明に飛びかかる赤い眼光をうちおとすことができた。
松明にひかれると、赤い眼光のモンスターの姿が鮮明に見えた。
まるで猿に似た小型モンスター。
肌も毛も黒く、顔は凶暴には見えなかったが、闇の中に溶け込む姿は悍ましいばかりだた。
特に、最も目立つのは奴らの手だった。
爪が鋭いのはもちろん、指の内側の手の節ごとに刃のようなものが飛び出していた。
それだけでなく手の甲の上にも刃のようなものが位置を取るのに非常に威嚇的だった。
そのような奴らの手の構造のせいか、シャルの顔にできた傷はまるでカミソリの刃に切られたようだった。
「ライラ君、どうやって?」
闇の中でやつの攻撃を正確に把握して反撃できるようにしたライラ。
メイはそんなライラに聞いた。
「妖精の目は光で世界を見ていません、見えるものは生命の根源的なエネルギー、だからいくら闇が深くても私の目を隠すことわできません」
そう言いながらも、ライラは緊張したように冷や汗を流した。
暗闇の中でも全てが見えるライラ!
数が多い!
しかし、さらに無力なライラには、それが恐怖として迫ってきた。
そんな状況の中、今度は2匹の赤い眼光のモンスターが同時に飛びついた!
「メイさん、今度は正面から二匹来きます!」
一匹はたいまつで弾き飛ばすことができたが、もう一匹はそのままメイが短剣を持っていた手を攻撃し、素早く闇の中に忍び込んだ!
シャルの状況はさらに悪かった。
最初の一撃でやつらを切り裂いたシャル。
シャルの剣なら奴らを一撃で始末できる!
なら、こいつらは昼に相手にしたオオカミたちと大差ない!
そう思いながら、シャルは剣を強く握り締めた。
しかし、そんなにうぬぼれたのもつかの間!
シャルは奴らの敏捷さと狡猾さに戸惑いを隠せなかった!
正面から飛びかかる赤い眼光に向かって、シャルは剣を振り回した!
だか、やつは空中で体を回してシャルの大剣を踏んで跳躍し、あっという間にシャルの頬を引き裂きながら飛んでいった。
それだけか?
不意打ちを食らって自由でない左目、それによって隠された左目の視界!
やつらはそこを執拗に攻撃してきた。
まるでシャルがどこが見えなくてどこが見えるのかはっきり分かるように!
やつらはシャルが見ることのできない場所から飛び出して、シャルの柔らかい肌を軽く裂いては逃げることを繰り返した。
メイも状況が良くないのは同じだった!
目の前まで来る前には見えない奴らに短剣を投げることはできなかった。
しかし、メイはだんだん奴らの動きに適応し、奴らの素早い動きにも対応し始めていると思った。
でもそう思ったのもつかの間!
結局手首を切ってたいまつを落としたメイ!
その瞬間を逃さず、奴らのうちの一匹がたいまつを口にくわえて闇の中に消えた!
一瞬で光を失ったシャルとメイ!
光を失ったシャルの大剣はもうあいつらに届くことはなかった!
これはメイも同じだった!
四方から高速で飛びかかる赤い眼光のモンスター!
絶体絶命の瞬間、ライラは叫んだ!
「メイさん、シャルさん、落ち着いてください! 私が奴らの位置を…....!」
ライラはブリーフィングのために目を大きく開けたが、近づいてくる死の恐怖、あまりにも多くのモンスターによって何から話すか言葉を続けることができなかった。
それをためらった1秒足らずの刹那の時間。
四方を包み込んだ赤い眼光のモンスターたちの攻撃はまるで雨のように降り注いだ!
避ける暇のない刃の嵐!
シャルとメイの生命力は一瞬にして壊滅的な打撃を受けた。
200もあったシャルの生命力はあっという間に20まで減少した!
20.
18.
17.
14.
12.
10.
9!
抜け出した生命力ほど、シャルとメイの血が充満した霧のように虚空を埋めた。
これ以上は耐えられない!
シャルが歯を食いしばって叫んだ!
「メイさん!」
そう叫びながら、シャルはスクロールを取り出した!
やつらの攻撃に破られたスクロールが微弱な光を放ち、野球ボールほどのサイズの「光の玉」になってシャルの手に握られた。
シャルがその玉を力いっぱい握りしめて壊すと轟音と共に四方に莫大な光が広がった!
その目が見えなくなるほどの莫大な光にシャルの視界が一瞬真っ白に染まった!
それによって赤い眼光のモンスターたちの視界も麻痺して攻撃が止まった!
それと同時にメイは片手でシャルをつかみ、もう一方の手でスクロールを広げた!
その瞬間、スクロールから光が出て、閃光弾の光を突き抜けて空高く一本の光が降り注ぐ!
そしてすぐそのすべての光が消えると同時にシャル一行もどこかへ消えた!
□■□
遠い始まりの村の噴水台の前、突然光とともに彼らは現れた。
黒髪に大剣を持った血まみれの検事シャルと美しい赤毛の女性メイ、そして愛らしい妖精ライラ。
視野が戻ると同時に、シャルは自分が始まりの村に戻ってきたことを確認し、戸惑いを隠せなかった。
「ここは?いったい何が起こったんだ?」
シャルの質問にメイは座り込んで答えた。
「緊急脱出スクロール、私が事前に登録した安全地帯に移動するようにしてくれるスクロール、その代わりに条件は敵の視野に感知されていない状態であること」
シャルがメイを見つめると、メイは優しく微笑みながら話を続けた。
「ふふ、言ったでしょ、 それがないと死ぬって」
その言葉を聞いて力が抜けたのか、シャルは大剣を落として両手で地面を掴みながら座り込んだ。
メイもまた微笑んでいたが、緊張が解けたのか、かなり疲れたように見えた。
すぐに地面に横たわり、メイは話し続けた。
「それで実際に経験してみてどうだった?」
「一匹一匹はそんなに強くな......」
シャルは暗い星空を見上げながら、先ほどの戦闘を思い出した。
ああ、そうか、私、今死ぬところだったんだ。
わずか数十秒前、シャルはこのアナザーの世界で初めてその命を失うところだった。
そうだ。
やつらは確かに強くなかった。
一匹一匹は大したことなかった。
....果たしてそのように言う資格が私にあるのか?
あとわずか数秒。
その数秒が遅かったら死んだはずのシャル。
そんな私にその群れに弱い、大したことないと侮る資格があるというのか?
メイの助けがなかったら、今この瞬間息を引き取り、24時間も無意味に捨てることになったシャル。
自らの力ではそこから抜け出すことさえできなかった私にはそのように言う資格がないということを悟った。
シャルはしばらくの間,唇をかみしめて話し続けた。
「いいえ…....そうですね、 くそ強かたです、 手の施しようもありませんでした」
「ハハ、でしょう?」
笑顔とともに答えるメイに向かって、シャルは問い返した。
「これからどうしましょう」
「そうだね、まずはレベルから上げなくちゃね?」
「確かにそうですね、それともこれを機に人数を増やしてみたらどうですか?」
「うん……確かにそれが定石だね、私も最初はそうするつもりだったけど、今は事情が少し変わったから、それは避けたい」
メイは彼女の胸の上で輝いているライラを見て、悩ましいようにそう言った。
「確かにそうですね」
シャルはすぐに納得することができた。
ヒドゥンクエスト。
たった一つだけのペンダント、今の状況で人数を増やすということは、それだけ競争者が多くなるということだ。
それに何より、新しく入ってきた人数がペンダントを獲得するために何をするかも分からなかった。
だから彼女の言葉は妥当だった。
そもそも、ヒドゥンクエスト、共有したときより独占した方が大きなお得につながるのが当然だった。
現時点でどんな手を使っても手が届かないような30万円。
だから何があってもシャルはそのペンダントが欲しかった。
今すぐそのペンダントの価値を知ることはできなかったが、それでもできなければ初めからシャルに次はなかった。
だからこそ、それにかけてみるしかなかった。
そのため、これ以上競争者を増やすことはできなかった。
そして何よりあきらめることはできなかった。
シャルはこぶしを固く握りしめた。
「それでわ、とりあえずしばらくはレベルを上げて対処法を探そう、どうせ今の私たちのレベルではあそこを突破するのは無理だよ」
メイは上半身を起こしながらシャルにそう言った。
「そうしましょう」
「じゃあ、私は今日はここまでにするね。ごめんね、今日は夕方から外でちょっと仕事があるの」
「はい、大丈夫です。 そうしてください」
「うん、ありがとう。明日の朝8時頃にここで会おう」
そう言ったメイがログアウトをすると、メイの体が光の粒子に割れて消えた。
すると、それを見たライラは驚いてシャルのところに飛んできてくっついた。
「ウギャー!何ごとですかこれは!」
「大したことじゃない、簡単に考えれば異邦人は眠る時は光の中に溶け込むと思えばいいんだ。そう思うのが頭痛くないと思う」
ライラは怯えたようにシャルにくっついて消えていくメイを眺めながら話した。
「ふむ……不思議ですね。見た目は普通の人間族なのに......、それより、シャルさんももう寝ますか?」
「うん、いや、私はまだ、まだもうちょっと働かないといけない時間だからね、あ、そうだ、試してみたいことがあるんだけど、手伝ってくれる?」
シャルはある程度生命力を回復した後、村の外の平野にやってきた。
昨夜ほどではなかったが,そこにはかなりの数のスケルトンがあった。
「よお、5時間ぶりだ、骸骨ども」
好戦的な声でスケルトンたちをにらみながらシャルはスケルトンに向かって歩いた。
そして、布一つを取り出して、自分の目を覆って隠した。
そんなシャルの姿に、ライラは冷や汗を流しながらつぶやいた。
「本当大丈夫かな.....」
シャルのそのような行動は深夜12時を過ぎて日が昇るまでほとんど深夜中続いた。
病院費の支出まであと28日。
現在、シャルの所持金4750円。
病院費の充当まであと295250円。
■□■
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