Stay Alive.Say.4.隠しクエストと初めての仲間メイ!(1)
Stay Alive.Say.4.隠しクエストと初めての仲間メイ!(1)
高い山脈を背にした森。
鬱蒼とした木々の上に手のひらほどの大きさの妖精が、ジシンの体ほどのペンダントを体に巻いては飛んでいた。
手を眉の上に乗せ、何かを探すようにあちこちを見回している妖精。
「どこだ、どこだ? だしかこの辺だと思うんだけどな?」
毒々しい模様のペンダント、そのペンダントの中央に埋め込まれたきらびやかな緑色の宝石はかすかに光っていた。
「ふむ、困ったね、まさか、道お迷ったのかな?」
精霊はあちこちをブンブン飛び回りながら道を探しているようだった。
「こうなった以上ペンダントの力で…!」
妖精がペンダントを持ち上げた瞬間!妖精の数十倍は巨大な固い殻に囲まれた鳥一匹が飛んできて、妖精をその巨大な爪で攻撃した!
その攻撃に驚いた妖精は、まともに飛べないまま深い森の中に向かって墜落していった。
■□■
空が見えた。
意識を失うようにだんだん遠ざかる空と光。
シャルは暗闇に落ちながら独白した。
「どこから間違た?」
まるで走馬灯のようにシャルの頭の中には過ぎた時間の記憶がよぎった。
「あの時か?」
シャルは、毒々しい模様の謎のペンダントを空高く持ち上げた瞬間を思い出した。
「それともあの時か?」
シャルは悲しそうに静かに頭を下げながら燃え上がる薪を眺める赤い髪の女性を思い出した。
そして最後に思い浮かんだのは、明るい笑顔とともに手を差し出す赤い髪の女性の手だった。
シャルは暗闇に落ちながら、だんだん遠くなる空と明るい光に向かって手を伸ばした。
そして、すべてのことを振り返ったその時になってようやく気づくようになる。
その日その瞬間の出会いがすべての悲劇の始まりだったということを。
しかし一つ確かなことはいくら後悔して恨んでももうすべてが遅すぎたということだ。
シャルは力なく、無力に闇の中に迷い込んだ。
■□■
緑の原野。
そよぐ風の中で、シャルが巨大な大剣に飛びかかるオオカミの頭蓋骨を粉砕すると、嬉しいメッセージが現れた。
-レベルが上がりました!
シャルは大剣を取り、背中に結び、オオカミの死体を拾い上げながら、とぼとぼと木陰の下を歩いた。
そうして木に寄りかかって、軽くささやいた。
「ステイタス!」
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-ステータス。
-名前:シャル。
-レベル:5。
-種族:人間。
-職業:なし。
-称号:なし。
-性向:100(善)。
-HP(生命力):200/56。
-MP(馬力): 100/100。
-筋力40。
-体力20。
-敏捷10。
-知能10。
-知恵10。
-幸運10。
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昨夜のスケルトンとの決戦から数時間たった今、シャルのレベルは再び上がり5に到達した。
その過程で初めて感じたのは、ますますレベルアップが難しくなるということだった。
もしかしたら当然の話のように感じられるかもしれないが、難易度の体感が全く違った。
初めてスケルトンを倒した時は、1、2匹だけ倒してもレベルアップをしたが、今になっては5時間以上500匹以上のオオカミを殴り、やっとレベル5になれたのだ。
そのようなレベルアップの経験値ギャップがわずか3レベルで発生したのだから、その難易度がパッと体感された。
たとえれば、3段ハードルを越えたら、いきなり10段ハードルを越えるように要求されたような気がした。
だが、そうだとしても立ち止まることはできなかった。
好むと好まざるとに関わらず、お金を貯めて病院費を稼がなければならないシャルの立場としては、好むと好まざるとにかかわらず、レベルを上げなければならなかった。
シャルはインベントリの所持金の欄を見ながらため息をついた。
そこには「0ゴールド1シルバー70コーパー」と書かれていた。
「あそこまでしてたったの1シルバー70コッパーか?」
ため息が混じったその声からは失望感と共に分からない焦りさえ感じられた。
シャルはここ数時間狩りをしていただけではなかった。
いや、正確には狩りばかりすることはできなかった。
いくらオオカミが弱いモンスターとはいえ、戦闘を持続すれば必然的に今のように生命力が落ちる状況が発生した。
そうなれば、望まなくても休息を取らなければならなかった。
そこにこの無駄にリアルな仮想現実ゲームは動くとお腹がすい喉も渇いた。
-飽満感100/28
そのような状態を無視して持続すれば、キャラクターの能力値が減少したり、生命力が回復しないデバフが発生し、空腹が持続すれば、最終的に死ぬことになる状況が発生した。
そのため、シャルはそのような状況を防止するためにも、時には休息を取り、時には食糧普及のために村を訪問しなければならなかった。
シャルは四角いキューブのような形をしたキャンディーほどの大きさのブロックを口に投げ入れた。
その味は客観的に見れば最悪だった。
食感は乾燥したスポンジを砂と一緒に噛む感じで、味は全く感じられなかった。
それでも比喩する何かを探そうとするなら、髪の毛とほこりを丸めたものをなめるような味だった。
だけど正直、そんな風に言っても、シャルにとってはそれは新鮮な刺激だった。
この10年間、シャルは何かを食べたり飲み込んだりすることが全くできない生活を送ってきた。
ただ生きるために必要な栄養分をホースを通じて血管に直接栄養分を注射することでエネルギーを得て生きてきた。
だからこそ、いつからか食べるという楽しみを失ってしまったシャルにとっては、こんなおぞましい非常食だとしても、それを噛んで飲み込めるというだけでも大きな喜びとささやかな幸せを感じた。
シャルはうれしそうにそれをかみしめて飲み込んだ。
それに何より、このブロックはとんでもなく安かった!
1コッパーに5個も支給された!
1個当たりの満腹度を20も上げているのに、たった1コパーに5個だなんて!
オオカミ一匹を捕まえてそのまま売ると、1コッパーだと思うととても堀りしい商品だった!
とにかく!
そんな残り時間、シャルはしばらくゲームから抜け出した。
そして、コクーンを利用してインターネットを見て回り、様々な情報を集めた。
そのうち有用な情報を羅列すると以下のようになる。
1. アナザーはサービス開始後、今日で3日目だ。
2. 現在のユーザの平均レベルは7 前後である。
3. レベルが15になると山脈越えの首都で職を得ることができる。
そして最も重要なのがこれだ。
4. アナザーの公式ホームページからマーケットが利用できる。
率直に言えば、今すぐシャルにとって、このほとんどは大きなメリットのある情報ではなかった。
しかし、4番は違った!
お金が必要なシャルにとって、マーケットとは本当に興味深い言葉だった。
そのため、4番目のマーケットに重点を置いて説明すると。
すべてのユーザーはそのマーケットを通じてオンライン上で他のユーザーとゴールドやアイテムを売買することが可能であった。
それもなんと現金で!
つまり、公式にオークションやゴールドの取引が可能だということだった!
今現在、誰よりもお金が必要なシャルの立場で、このマーケットの情報は言葉通り闇の中で明るい一筋の希望そのものだった。
まるで長い潜水をしていたダイバーが久しぶりに水の外に上がってきて息をするような感覚!
今すぐゲームがどうして機会なのか分からなかったシャルにとっては、これは本当に大きな糸口だった。
ゲーム財貨やアイテムを現金に交換するなんて、最近世の中は本当に良くなったようだと本気で思った。
シャルは直ちに通帳を作り、マーケットと連動させた。
しかし、その喜びもそれほど長くは続かなかった。
マーケットを通じてゲーム財貨を取引し、アイテムを売買することができる。
しかし、だからといってすぐに一攫千金が手に入るわけでもなかった。
取引が可能なだけで、シャルが今無一文だという事実は変わりがなかった。
それに気がついたら、喜びよりも焦りが押し寄せてきた。
これから29日以内に30万円を稼がなければならなかった。
そこに今すぐアナザーからこのゴールドというものを得るのはあまりにも容易なことではなかった。
直ちに、昨夜シャルがその多くのスケルトンを殴ったにもかかわらず、たった一匹もゴールド、すなわちゲーム財貨をドロップする奴はいなかった。
やってみたところで、さびた剣や骨片が床を転がるだけだった。
すなわち、他のゲームのように単純にモンスターを殺すだけではお金を稼ぐことができないという意味だった。
だからこそ、今シャルはこのオオカミの死体を大切に持ってきたのだ。
お金がなければ、お金を持っている人から受け取ればいいのだ!
「インベントリ!解体用ナイフ」
シャルは鋭い短刀を取り出し,邪悪な笑みを浮かべた。
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解体用ナイフ。
獣の皮や肉を解体するための剣。
戦闘には不向きだ。
攻撃力:1
耐久度:10/10
等級:ノーマル。
要求条件:なし。
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ここはまるで現実のようにリアルな仮想現実の世界。
そこでお金を稼ぐためには、シャルももっとリアルに行動しなければならなかった。
つまり、現実と同じだった。
現実で私たちが、お金を払って物を買うように、私たちがお金を望むなら、消費者または商人に商品を与えて取引すれば良い。
資本主義の基本は需要と供給!
お金を稼ぐためには、シャルもまた単なる狩人ではなく、誰かに商品を提供する生産者にならなければならなかった!
そのため、シャルは単純に敵を殴り殺すだけの巨大な剣をしばらく置いて、小さいが鋭いナイフを持った。
この世の中は、単に強いというだけで食べていける単純な世界ではなかったのだ。
それを知っているので、シャルは小さいが鋭いナイフを抜いてオオカミの死体と向き合った。
そしてオオカミの死体に向かってナイフを突きつけた。
慣れないことにしばらく手が震えたが、すぐ深呼吸とともに手を動かし始めた。
「まずは皮を分離する、だから最初はお腹に沿って長くナイフをつまんで皮膚と肉を分離する…」
シャルは少し緊張したように汗を流しながらオオカミのお腹にナイフを入れた。
意外と力を必要としたが、何度も力を入れると、だんだんオオカミのお腹が割れ始めた。
切るというよりは打つという感じで、下に打ち下ろすという感じよりは、前に押すという感じでナイフが動くと、かなりスムーズにオオカミの腹が割れた。
腹を切ると、オオカミの血と内臓が流れ出した。
"ウウウ...これは何どやってもなれないね..."
シャルはそう言いながらも、止まらずに手を動かし続けた。
20年の人生の中で生物にとって内臓がこんなに大きな比重を占めるということをこの仕事をして初めて目撃した。
例えようとすれば、生物は物がいっぱい入った箱だ。
皮とか骨は外側の薄い箱に過ぎない。
そして、その薄い箱をいっぱいに埋めた物は内蔵だ。
つまり、外見とほぼ同じ量の内臓が大量に出てきた。
肺とか大腸とか肝臓とかそういう内臓が想像以上に大きいことを知った。
オオカミの腹の中にナイフを入れて内臓の連結部位を切り取り、中身をすべて外に取り出した。
国によってはこの内臓も扱うところがあると聞いたが、残念ながらアナザーでは内臓はあまり価値がないようだった。
毒性があるため食用としても使用できず、腐敗が早くて保存においても不利であるためだという。
猛毒のフグの卵さえ発酵を通じて摂取できるようにする日本人の末裔としては納得できないことだったが、だからといって商品価値のない品物をいつまでも持っていることもできない。
そのため、シャルもその内臓をすべて捨てた。
とにかく!
その後はまずオオカミのすべての足首を切り倒すように切って隙間を作った。
そして骨を掻くという感じで足の内側から胴体方向にナイフで切って皮を分離してあげた。
4本の脚をすべてそのように処理した後は、腹を割った時と同様に、背中に沿ってナイフを引いて肉と皮を分離するための準備をしてくれた。
そして、首から皮を掻いて、肉と皮を分離させた。
その後は力の仕事だっだ。
シャルはしばらくの間、解体用ナイフを口にくわえて革をつかみ、力いっぱいちぎった!
ひっかかる部分はナイフで切り取って力を入れて引きを4~5回進めたら。
意外とスッキリと皮が手に入った!
そして、皮についた肉をナイフで上手に手入れすれば、ついに皮一つが完成した!
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質の悪い狼の皮。
狼から剥ぎ取った皮。
しかし、手入れ者のスキルが不足しているせいか、かなり壊れています。
等級:ノーマル。
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かなり熟練しているように見えたが,シャルもやはり初心者だった。
そのため、ほとんどの場合、このような損傷した革だけを得ることができた。
もっと上達したらもっといい値段で売れるのに···
心残りに舌鼓を打ったが、そう言いながら残念がる時間さえ惜しかった。
それに不幸中の幸いなことは得られるのは皮だけではなかった。
「さあで、これからお肉を手入れしてみようか」
肉の手入れ、話だけ聞くと難しそうだが、これは革に比べてはるかに簡単だった。
頭と足の胴体だけ分離すればよかったので、革よりずっと楽だった。
シャルはオオカミの足と耳のような突き出た部分を切り取った。
足のようなところを切る時はかなり力が必要だった。
しかし、結局シャルはオオカミの肉も得ることに成功した。
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質の悪い狼の肉。
狼から得た肉。
しかし、手入れ者のスキルが不足しているせいか、かなり壊れています。
等級:ノーマル。
--------------
しかし、やはり革に比べて簡単なだけで、シャルにとっては冷や汗が流れるほど難しいことだった。
シャルはそのようにして完成した肉と皮をインベントリに入れて汗をかいた。
前置きが長かったが、これがアナザーで金を稼ぐ方法だった。
アナザーではいくらモンスターを倒してもお金が出ない。
その代わり、倒したモンスターそのものを持って売ったり、今のシャルのように素材を得て商店に売った時、お金を得ることができるシステムだ。
煩わしいなら、そのままモンスターの原型を売ってしまえばいいが、質の悪い革と肉だとしても、手入れをすれば、最終的にはそのまま売るより5倍高い価格で販売することが可能だった。
そのため、シャルはこのように回復が必要な時間を活用して、最大限多くのオオカミを手入れし、時間を最大限効率的に活用していた。
シャルはインベントリからもう一つのオオカミの死体を取り出し、手入れを始めた。
そのようにして4時間、シャルは計300匹のオオカミを狩り、同時に手入れして皮と肉にしてくれた。
しかし、残念ながら手に入れた肉と皮は250匹分だった。
理由は、まあ、皆が予想するシャルの器用さが原因だった。
シャルの手先の問題によって粉々に砕けてゴミに変わっていくオオカミを眺めると、血の涙が流れるような気がしたが、それでもシャルが失うだけではなかった。
「それでもまあスキルができた後は 失敗することがなくなってよかった」
スキル!
それがシャルが失ったことを代価として得たものだった。
失敗は成功の母と呼ばなかったか?
その通り、シャルが50匹のオオカミをゴミにする過程でこのスキルを得た!
シャルは新たに得たスキルリストが書かれた窓を確認し、満足そうな笑みを浮かべた。
-----------------------------------------
お手入れ(パッシブ/初級)。
*モンスターの死体を手入れして素材を得ることができます。
*お手入れ時の成功率を上昇させます。
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本当に幸いなことに、このスキルができて以来、これ以上オオカミが肥料として大自然に撒かれることはなくなった。
シャルが崇高な生命をより貴重に扱えるようにすると同時に、シャルの収入を5倍以上増やしてくれたありがたいスキルであるわけだった。
そこに何よりも、まだオオカミ一つまともに手入れできない状況だが、スキルの熟練度が上がり、より良い質の素材が得られるようになれば、シャルの収入は今よりさらに上がることになることが明らかだった。
つまり、これからの未来がかかったスキルを手に入れたわけだ!
確かにこのスキルは少しでもシャルの未来を明るくしてくれるだろうとシャルは信じて疑わなかった。
いや、何があってもそうならなければならなかった!
とにかく!
過去の時間の中でシャルが得たスキルはこれだけではなかった!
-----------------------------------------
剣術(パッシブ/初級)
*剣を使った攻撃の威力が20%上昇します。
*剣の耐久度減少率が10%減少します。
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それがまさにこのスキル剣術だった。
オオカミの頭蓋骨を壊していたら、いつの間にかできていたスキルで、今すぐにでは手入れよりも実質的な役に立っているスキルだった。
特に、この耐久度の減少率の減少が本当に大きな助けになった。
シャルはログから受け取った大剣を取り出してみた。
------------------------
鍛冶屋ローグの大剣。
かつて世界中を旅していた鍛冶屋ログの大剣。
等級:レア。
攻撃力:25
耐久度:100/62
特殊効果:力+5、耐久度低下。
要求条件:力30以上。
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ローグから受け取ったとき、97 近くにあった大剣の耐久度は、現在では62 まで減少している状況であった。
武器に耐久度がある以上、この耐久度減少オプションは本当に大きな役に立つスキルと言える。
この世界にとって武器は何よりも重要だということを昨夜スケルトンとの戦闘で身にしみて感じたシャルだから、シャルはそのスキルに本当に感謝した。
「皮や肉もたくさん集まってきたから、そろそろ町に帰ろうか?」
シャルは皮と肉でいっぱいになって重厚になったインベントリを眺めながら、そう言って村の雑貨店を訪れた。
しかし、率直に言って、それほど大きな期待にはならなかった。
なぜかというと···
「質の低いオオカミ革と質の低いオオカミ肉、それぞれ3コッパー2コッパーで250個 合計1ゴールド2シルバー50コッパーだ、さあ受けな」
商人はシャルに金貨1個と銀貨2個、童話50個を差し出した。
そして、これがシャルが大きな期待をしなかった理由だった。
マーケットでの相場を確認した結果、ゲームマネーと現金との価値は以下の通りであった。
1ゴールド=1000円。
1シルバー=100円。
1コッパー=1円。
すなわち、コーパーが100個集まれば1シルバー、そしてシルバーが10個集まれば1ゴールドであるわけだ。
つまり、今目の前にある金額は1250円という意味だった。
決して小さな金額とは言えなかったが、問題はこの金額が4時間分の給料だということが問題だった。
時給で言えば300円を少し超える水準で凄惨だった。
今シャルに必要な金額は月に30万円。
例えば、シャルが24時間休まずにゲームができるとしたら、1日7500円、それを30日間続けるとしたら225000円。
つまり、目標金額にははるかに足りなかった。
そして、実際の状況はさらに悪かった。
なぜか?
それは、シャルは眠らなくても活動できるサイボーグ兵器ではないためだった。
それに寝ないで無理するほど体の調子がいいとも言えなかった。
人が生きるためには、1日に少なくとも6時間、最適8時間以上の睡眠時間が必要だという。
つまり6時間寝ると仮定すると、1ヶ月で稼げる金額は168750円。
つまり、30万円の半分を少し超えた程度という意味だった。
当初、時給300円で30万円を作るには1000時間が必要だ。 ところが、1ヵ月はせいぜい720時間しかない。
つまり単純計算から見ても、今の状況は絶望的としか言いようがなかった。
やばい···これは本当にやばい...!
本気でそう思った。
このまま行けば、来月までに30万円を用意することは絶対に不可能なことだった。
そのため、もっと早くレベルアップをして、少しでも高い素材を得られる場所に行かなければならなかった。
このようにお金が目の前にある状況であるにもかかわらず、安心とやりがいどころか、ますます焦っているようだ。
確かに金の袋を握っているにもかかわらず、その手は不安に震えた。
気持ち悪く騒ぐ心臓はすぐにでも不安に爆発しそうだった。
鋭いナイフが心臓をなでるような鳥肌が立つ感覚に狂ってしまいそうだった。
しかし、悪い知らせはもう一つあった。
それはアイテムの耐久度!
この世界で武器を使えば使うほど耐久度が消耗し、0になれば結局武器は壊れて消滅する。
そのため、0になる前に修理を行う必要があった!
もちろん、そのためにもお金が必要だった。
今の町では、武器を修理するには 1 シルバー つまり 100 円が必要だった。
しかし、これはログが昨夜の恩恵を与えるとして価格を大幅に割引してくれたおかげだった。
大きな町に行けば3シルバーから5シルバー程度を要求するだろうと言った。
シャルは大剣を取り出して調べた。
耐久度は62。
まだ大丈夫だよね.....ちくしょう
つまり単純な収入だけでなく、この世を生きるためには支出もまた必要だという話だった。
武器は壊れて動けばお腹は空いてきた。
努めて平常心を維持しようとしてみたが、お金と直面するとやはり不安感が沸き上がった。
たかがこんな金のせいでこんなに不安になるなんて、わずか数日前までも直面したことのない冷たい現実の重さに体が凍りつくようだった。
だが、こうしていても変わることはなかった。
今は少しでももっとモンスターを打って、一刻も早くレベルを上げなければならなかった。
この冷静で絶望的な状況を克服するためにはそれだけだった。
そう、今は悲観的にならないようにしよう、まだ29日も残ってるじゃん!
レベルが上がればきっと今よりもっとお金を稼げるようになる!
ギリギリだが、まだ勝算はあった!
希望論だけで根拠もなくそんなことを言うのではなかった。
なぜなら、現金に換えられるのはゴールドだけではなかったからだ。
今、シャルが持っているこの剣。
つまり、装備も現金で売り渡すことが可能だった。
それに噂によると、モンスターはゴールドはドロップしないが、低確率で装備アイテムをドロップするそうだ。
そして、そのような装備は2コッパーや3コッパーのような粗末な価格で取引されなかった。
基本的にゴールドから価格測定が開始された!
今シャルが持っているこの剣、鑑定依頼を当ててみたところ3万円で売れるのが確認できた!
つまり、もしモンスターから装備を手に入れることができれば、一気に全ての状況がひっくり返るかもしれないということだった!
そのため、あきらめて挫折する時間はない。
今は今すぐできることを一つ一つ積み上げていくだけだ!
今度はもう少し遠くまで行ってみよう、あの野原の向こうの森まで行こう。
シャルはためらわずに再び町を出た。
いや、シャルに迷う時間なんて少しも存在しなかった。
大丈夫、問題ない、できる、やれる。
いそ何も知らなかった数日前に戻りたいほどの巨大な不安と焦り。
地球の重力が軽く感じられるほどの圧倒的な現実の重圧感!
それにもかかわらず、シャルは進んだ。
そのすべてを胸に抱いて黙々と立ち向かった。
どうせ立ち止まったら死ぬ。
退いても前進しても恐怖は消えない。
既に知っている。
いや、分かってしまった。
どんなにみじめで怖くても結局私という生き物は生きたがるということを!
避けられない死へのカウントダウン。
迫り来る死神の足音。
そのすべてから抜け出すためには前を向いて走らなければならないことを!
だから抗えもがけ!
進め!
1秒も無駄に使うな!
立ち止まったら死ぬんだ!
シャルは走った。
不安と焦りから震える手を剣を握ることで押さえた。
鈍く空気を切りながらシャルは大剣を抜いた!
私は生きる!
どんな手を使っても関係ない!
1秒でも長くこの世界にしがむていられるなら、 君のそばにいられたら俺は....!
あやめの暖かい手を思い浮かべながら、シャルは走った。
飛びかかるオオカミを粉砕し、野原越しの森に向かって進んだ。
平野に住み着いた荒狼の群れ!
しかし、シャルは止まらなかった。
野生のオオカミなんかもうシャルの相手にならなかった!
草の色が次第に濃くなり、次第に木々が入り始めた。
風景が変わり、シャルは森に足を踏み入れた!
森に入ると同時に、目に入った巨体のモンスターに向かって飛びかかった!
そのモンスターは熊のような毛に囲まれた体をしていた。
しかし、少し違った。
二足歩行をしながら上半身は下半身より2倍程度にバルクアップしていた。
目は3つあり、まるでヘラクレスカブトムシのように顎と頭から斧のような角が突き出ていた!
それを熊と呼ぶべきかサイと呼ぶべきかは分からなかった。
そもそもそれが何であれ、シャルにとっては重要ではなかった。
やつを殺して金にする。
ただ、それでいい。
シャルはその脅威的な巨体のモンスターに向かって、気合とともに巨大な大剣を叩きつけた!
恐怖、不安、焦り、そのすべての震えを無理やり消すように、シャルは気合を剣に乗せて剣を振り回した。
噴き出す血がシャルを赤く染めた。
私は死なない、死なないで見せる!
恐怖を克服するために出てきたアドレナリンは、シャルの表情をゆがめた。
不安でいらだたしく震える心臓。
しかし、その表情はなぜか怒っているようにも見えた。
そのアドレナリンが感じる感情は何か?
怒りあるいは恐怖?
その正体をシャル自身もまだ正確に分かっていなかった。
■□■
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