Say.3. 新しい世界 (3)


Say.3. 新しい世界 (3)


「ただいま!」


鍛冶屋に戻ってきたシャルと少年。

少年の声に巨体の男性は地下室から上がってきて、少し日焼けして汗を流す状態で淡々と口を開いた。


「来たのか、遅かったな」


「しばらく兄さんに村を案内してあげて 会話をしていたら遅くなった」


少年は大したことないようにそう言った。


「そうか、だが次からはもっと早く通いな、最近この辺で子供たちが行方不明になるという話がたびたび聞こえてくるのできがきざない」


「わかった、それより食材買ってきたよ」


「食材?」


「ああ、そうだ、そうだよね! 兄さん、お願い!」


少年の言葉にシャルがインベントリをタッチし始めると、机の上に食材がどんどんあふれ始めた。


「おお、なるほど、インベントリか? 何度見ても慣れない光景だな"


巨体の男性はシャルを眺めながら、シャルの肩にポンと手を上げて口を開いた。


「君が助けてくれたのか? やれやれお世話になったな、よかったら夕飯を食べて行きな、ジェンのやつのスープはなかなかいける」


「それより父さん、仕事の調子はどう?」


「あ、そうだ。ちょうど素材が足りないと思って 買いに行くところだった」


「じゃあ、私が買ってくるから、仕事続けてて、また一晩中、ハンマーの音がうるさいからって、隣のおばあさんに怒られないて!」


少年はあきれるような表情でそう言った。


「だがも時間が遅かおそい」


無口だったが、巨体の男性の言葉からは少年を心配する気持ちが感じられた。


「まだ日も暮れていない、大丈夫、雑貨屋なら5分ぐらいじゃないか、日も暮れる前に来るから早く行って仕事でもしでよ」


少年は手振りをして、男性にそう言って出かける準備を始めた。


「そうか、じゃあ頼む」


その時、シャルが「じゃあ、私が一緒に行く」と言ったが、少年は「早く行ってくるから大丈夫だ」と断った。

ドアがチャラチャラする音とともに少年はすぐに飛び出した。

巨体の男性は再び地下室に入り、シャルも彼の後を追った。


「なんだ、ついてくるのかい?」


シャルがついてくると、すーっとシャルを眺めながら、男性は尋ねた。


「はは、はい、まあ、やることもないので」


男性について地下室に向かう階段を歩いて降りると、全身に熱気が感じられた。

階段の両足には取っ手があったため、歩くのが大変なシャルもやや安全に降りることができた。

なぜこのようなものが配置されているのかと考えるのもつかの間、男性もまた足が不自由だという事実を思い出した。

階段を下りて工房に入ると、熱気とともに鉄の匂いがした。

暗い部屋だが、火鉢の明かりがほのかに作業室を染めて暖かい雰囲気を演出した。

狭くて熱かったが、それさえ居心地が良かった。


「まあ, 適当に座っていろ」


鍛えたての鉄は黒いな。

シャルはそれを初めて知った。

いや、もしかしたら鉄はそもそも黒いのかもしれない。

1200度から2000度の熱で加熱され、殴られて作られる鋼鉄の剣が床に転がっていた。

巨体の男性は黒くてごついハンマーを持ち上げ、かなしきの前で鉄を叩き始めた。


タン タン タン!


「体の調子は少しはどうかい?」


静かな沈黙の中、男性が先に軽く口を開いた。


「だいぶよくなりました」


「それはよかった、そういえば息子のやつが世話になったようだね」


「いいえ、むしろ私のほうがいろいろ助けてもらいました、息子さんが年齢の割にずいぶん成熟していました」


シャルは少年との会話を思い出しながらそう言った。


「フフッ、それでもまだガキだろ」


口ではそう言っても、巨体の男性は機嫌が良さそうに見えた。


「でも···そうだ、同年代より成熟したのは事実か、よく家事とか料理とかしてくれるからな、俺はそういうのはあまり素質がないからな、鉄を打ったりモンスターを打ったり一生そんなことばかりしてきただけで言い訳かも知れないがそうするうちに他のことができなくなってしまたな、まぁ、とにかくあいつがそういうのをよくしてくれて本当に助かった、まったく、俺はも、あいつのおふくろも、そんなこととは程遠かったしな、まったく、どこからあんな繊細なやつが飛び出したのかわからないものだ....」


「どんな人だったんですか?ジェンのお母さんは?」


聞いてもいいのかしばらく悩んだが、シャルはついでに聞いてみることにした。


「あいつのお母さんか? ああ、そうだな、強い人だっだ、だから俺は惚れたんだ…」


それからしばらくハンマーの音が止まったが、すぐに男性は再びハンマーを叩きながら話を続けた。


「ところが一緒に住んでみると時には少しは弱い人であることを願った、鉄と同じだ....、強く、堅いので、人々は期待する、殴って叩き、より良い武器になることを期待する、でもな、どんないい鉱石も叩きすぎると壊れるようになっでいる、そういう部分においては、鋼鉄も人も同じだと言える。だから適当な時に止まることが重要なんだ、それが鍛冶屋の力量だ、だかあの時俺は彼女を止めてあげられなかった、彼女は自分では止まることを知らない人だったからな、だから俺が止めるべきだった、でも俺はそれができなかった、本当あいつも悪い男に会ってしまったもんだ、俺には惜しい女だった」


私は沈黙した。

彼の悲しみと後悔が鉄を打つ音とともに私の心臓に響いた。

きっと彼は誰よりも真剣に彼女を愛していたのだろう。

愛して愛していたから、今でも鮮明に彼女を覚えている。

大きくてしっかりしているように見えるけど。

今も彼は愛する人を失った悲しみから抜け出せずにいるのだ。

こんなに初対面の私にさえすらすらと言ってしまうほど。

その大きな胸にしまっておけないほどの大きな悲しみを。

きっと彼もまた何かの答えを探しているのかもしれない。

そして、その過程で自分を責めるようになったのだろう。

もしかすると自分と一緒じゃなかったらもっと幸せになれたんじゃないかなと?

あまりにも愛しているから他の誰よりもその愛に対して大きな責任感を感じたのだろう........

だから彼は自分自身を罪人にした。

あまりにも大きな悲しみに他の誰かを恨まずには耐えられなかったのだ。

しかし、優しい人だからこそ、その恨みの対象は他の誰でもない自分自身になったのだ。

そんな人にどんな言葉をかければいいのか?

愛する人を失った男の心を癒す魔法の言葉が私には思い浮かばなかった。

でもきっと彼女はそうは思わなかったはずだ。

愛する夫と息子のためにその身を犠牲にした彼女なら、そうは思わなかっただろう。

だっで...

彼女にとっては彼が、そして息子が命と引き換えにでも守りたい大切な人だったはずだから。


「きっと.....彼女はとても怒っているはずです、私にはもったいない女だったみたいなことを言うと、そりゃ彼女が世の中で一番愛する人を侮辱する言葉でしょうから」


それを聞いた男性は、優しく笑いを流し、口を開いた。


「フフッ、異邦人は口がうまいな、でもそうだ、そんな女だった」


男性は愛する彼女の横顔を思い出した。

それは近そうにも遠くも感じられる様子だった。

近いのになぜか光が彼女の顔を覆っているような気がした。

それでも彼女の声が、交わした温もりがまだ心臓に留まっているような感じがした。


「そういえば彼女が私に初めて一緒に旅に行こうと言ったのもちょうど9歳頃だったね、そういうところは母に似てるみたいだな、あの時も私は反対したよな、それでもいつか去るようになるだろう 結局、子供は親のもとを離れるもので、私も彼女もそうだった、そだとしても、9歳は幼いすぎる!」


「ハハ、確かにそうですね」


「いつか去ることを知っているが、それでもいざ手放そうとすると、それがまた容易ではないもんだ、それでもきっとあっという間だろう、あっという間に大人になって俺のそばを離れることになるだろ。それでも捕まえられるまでは捕まえないとな!俺を振り切るほど強くなる前までは怖くてどこに出すことができるか! 親として!」


彼が愛する息子を思い浮かべながら笑った姿を見ると、率直に言って少し羨ましくもあり、分からない罪悪感を感じたりもした。

私の両親を思い出した。

少年が羨ましいと感じた瞬間、私のために11年も犠牲にしてくれた両親に罪悪感があった。

それでも、ただ私はもっと一緒にいたかったのかも知れない。

それが欲だということを知っているが、病気もなく平凡な子供に育ち、その平凡な瞬間を享受したかったのかもしれない。

きっと少年は、ジェンはこれからこの巨体の父と一緒にその平凡な日々を築いていくだろう。

私がこれからの人生の中でいくらあがいても二度と手に入れることができないそんな平凡な人生を生きていくだろう。

欲張りな私はそれがうらやましかった。


「羨ましいですね」


「何だって?では早く結婚して子供でも産めよ、何歳だけ?」


「20歳です」


「ちょうどいい時期だな。ジェンが生まれたのも 私が20歳の時だ」


いや、待って。じゃあ今この男は29歳だと言ってるの?

では、いったいあの重い歳月の貫禄はどこから出てくるのだろうか?


「いいえいいえ、待ってください私が言いたかったのはジェンがうらやましいということでした、彼はとてもいい父親を持っています」


会話の主題が変な方向に流れると、シャルは冷や汗を流しながら釈明した。


「男が気持ち悪くこびるな!そんなこと言っても50%しか割引してくれないそ、そういえば自己紹介もまだだっだな、俺はログ気楽に呼びな」


「私はシャルと申します。 よろしくお願いします」


初対面のあいさつをすると、10秒ほどしばらく静寂が流れた。

しかし、男性ログがその沈黙を先に破った。


「そういえば、昼間は何かあったのかい? 体の調子があまりよくないように見えたけど」


「話せば長くなりますけど...」


「まあ、言ってみろ、私も片足があまりよくないからな」


私は彼にすべてを話した。

私の体調について。

どうして歩けなかったのかについて。

彼が先に率直に本音を見せたせいか、私もまたなぜか、普段より率直に話がすらすら出てきた。

そして何より。

ずっとこんな風に誰かと対話することを夢見てきた。

この10年間、いつの間にかあきらめていた対話というものを、私は少しでも長くやりたかったのかもしれない。

そのせいで私はだらだらと自分のことを話した。

そして、その全てを巨体の男性はハンマーを叩きながら静かに聞いてくれた。


「それはまた複雑な事情だな、しかしこっちでは体に問題があるわけじゃないってことだな?」


私はうなずいた。


「心の問題、もしかしたら精神、もしかしたらそれらが存在すること自体が問題かもしらないな、例えば、そうだ、今俺が金槌を打つのがそうだ、俺はただハンマーを叩くという考えだけで今この行動をしているのだが、しかし君がこれをしたらどうだろうか?腕をどうやって動かせばいいんだろう? 指はどうやって曲げてどこまで折ればいいんだ? 君はそう思って活動しているように見える、それじゃいけない、複雑すぎる、だからうまくいくはずがない」


巨体の男性ローグは、完成した刃を押しのけて、火鉢から新しい鉄を取り出した。


「例えば、この鉄みたいなものだな、俺はこれからこの鉄で剣を作る、そのために何をすべきか? そう、打つんだよ、だけど、どこを正確に何回打ったり、何センチを増やさなければならないとか、そういうことを詳細に構想して行動したりはしない、もちろんある程度形を考えて作る時もあるけど基本的にはただ勘でやるんだよ、君のようにうまくやらないと、正確にやらないといけないと思って、あまりにも複雑に考えると、俺たちの脳はそれについていけない、歩くのも同じだ、それを意識してやる人なんていない、大事なのはどうしようじゃなくて何がしたいのかだ、遠くを見ずに近くにある障害物にだけ気を取られては道に迷うものだ、失敗するかもしれない、転ぶかもしれない。 しかし、そのような言葉だけを繰り返しながら何もしなければ何も成し遂げられない、何かをしていると失敗は当然ある、鉄も人も一度に望む形にはなってくれない、だから失敗は重要じゃない、それは当然のことだ、今すぐは歪んで見る価値がなさそうに見えても、殴り続けて走れば鉄も人も自然に最適な形になってくれるだろう」


男性は満足そうに完成した刃を見つめた。


「だからいつも重要なのはここだ」


男性は自分の心臓を指差して話し続けた。


「あまり頭だけで考えるな、理性は時には俺たちの体を固くする、そういう時は心の熱気で固まった脳を柔らかくしてくれるんだ、だからあまり意識しないで前だけ見ていろ、頭では今君がしたいことだけ考えればいい、 目標を決めてそれで近づくことだけを考え、あれこれ多いだろうが少なくとも君がここにいる限り君の体は自由に動ける、だから頭では作りたい形を作り心はいつも熱くいろ。 それを知らなければいつまでも同じところを回るだけだ、まあ近いうちに感覚がつかめるだろう、難しそうだけど一度感覚をつかめばこれより簡単なこともない、だからあきらめずに頑張れ」


そう言ったログは、その後しばらく静かに金槌を打ち続けた。


タンタンタン!


鉄を打つ音を静かに聞きながら、私は数十個の剣が作られる場面を静かに見守った。


近い所だけを眺め続けては道に迷う。


確かにその通りかもしれないと思い、シャルは心の中でうなずいた。


■□■


日が完全に暮れた時間。

少年は川沿いを走った。

あれこれ買って入れた買い物かごが揺れる音と走る度に地面を叩く靴の音が不規則に入り混じった。


「やばい思ったより遅くなった....」


異邦人たちが来てから夜も雑貨店が混むようになった。

そのため、運が悪ければ、時にはこのように軽く買い物をしただけなのに時間がかかる場合があった。

異邦人は私たちと違って3日に一度だけ寝てもいいので、彼らが来てからは夜も道端にはある程度の人々が通うようになった。

聞くところによると、彼らにとっては24時間が1日だという。

8時間が1日のこの世界とは違う世界の住民たち。

とにかく、そのせいか、村の夜はそんなに怖い雰囲気ではなかった。

それでも道路自体はかなり暗い雰囲気であることは変わらなかった。

それでもこんなに夜も道が混むのはまだ慣れていない。

とにかく今はそんなことよりも早く帰らなければならなかった。

これ以上遅れると、父は私の頭をあの岩のような拳で叩いてくれるに違いない!

急いでいたら私は不本意ながら人とたくさんぶつかった。

しかし、立ち止まる暇もなかったので、私は申し訳ない」と連発しながら走り続けた。

しかし、次にぶつかった瞬間には、分からない異形感を感じた。

人にぶつかったというよりは、固いが軽いそういうことにぶつかった感じがした。

そのためか、私は無意識に視線を上げて、それが何なのか確認した。

そして瞬間、時間がゆっくり流れるような不気味な感覚を感じた。

フードをかぶった彼はゆっくりと歩いていた。

巨大な包みを肩に担いでその存在は歩いた。

だが驚くのが当然だった。

そりゃあ、そのフードの内部には黒い骨の骸骨が人の形を持ったまま歩いていたのだから。

その存在は私を無視して黙々と歩き続けた。

私は立ち止まって彼が遠ざかるのを見守った。

私が何か見間違えたのかな?

そう、きっとそうだ。

それもそのはず、村の真ん中に骸骨モンスターのスケルトンがいるはずがないでわないか?

そう、きっとこのすべては私の錯覚だろう。

彼は静かに村の入り口に向かって歩いた。

私は振り向いて、また家に向かって歩き出した。

いや、正確には歩き出そうとしたその瞬間だった。

もしかしたらという気持ちで私はもう一度後ろを振り向いた。

そしてその瞬間、その存在が持っていた巨大な包みがまるで生物のようにうごめくのを見た。


チェンガン!


その瞬間、私は持っていた荷物を床に置いてしまい、その存在に向かって走り出した。

全身に不気味な電流が走った。

どういうわけか、その時に父の言葉が浮かんだ。


「最近、この近くで子どもたちが行方不明になるという話がたびたび聞こえてきてきがぎざない....」


勘違いかもしれない。

単純な勘違い、そうなることを願った。

それでももしあのものが本当にモンスターだったら?

そう考えたら止められなかった。

彼は町の入り口を通過していた!

私は背中の腰につけていた護身用の短剣を抜いて、その存在に向かって走った。

夜であるにもかかわらず、人が多すぎたので、私はあちこちに轢かれながら走った。

結局、その存在が村の入口を通過し、もう少し彼が歩いていった後になって、私はその存在に追いつくことができた。

私を止める警備兵のおじさんの声が聞こえたが、私は無視して走った。

そして、その存在が結んでいる包みを切った。

私の斬撃にその存在の包みはすーっと割れた。


どっかり!


そしてその中から出てきたのは私の幼なじみのリナだった!

表情が硬くなり、目がぱっと開いた。

そしてその場面を見守っていた警備兵もまた一瞬慌てたように黙って凍りついた。

そして私の奇襲にその存在は後ろを振り返った。

そしてその瞬間、私は黒い骨でできたスケルトンと向き合った。

黒い漆黒の骨、最小限の筋肉だけが残った死体。 しかし、それでもなぜか輝くその瞳に私の体は凍りついた!

体が震え、まるで鋭い刃で肌の上を掻くように全身の毛が逆立った!

しかし、ためらってはいけない!

今迷ったら死ぬ!

私は短剣を強く握りながら叫んだ!


「モンスターだ!!!!」


私がそう叫んだ瞬間、黒いスケルトンは私を蹴飛ばしてしまった!

虚しく宙に舞い上がったのもつかの間、3-4メートルほど飛んだ私の体は、すぐに床と衝突して転げ落ちた。

その間、黒いスケルトンはリナをひっくるめて村から背を向けた。

その場面を見て警備員はすぐに黒いスケルトンに飛びかかった。

だが、突然地面を突き破って真っ白な骨が這い出てきて、警備兵の槍を阻んでしまった。

一つや二つではなかった。

数十体の新しいスケルトンが地面から現れ警備兵を遮り、その間に黒いスケルトンは消えていった。

スケルトンに守られて村を出た黒いスケルトン!

まるで彼に仕えるように、別のスケルトンが黒い骨の馬を連れてきてひざまずいた。

黒いスケルトンは馬に向かって歩いた。

一歩踏み出すたびに黒いスケルトンが着ていた服とフードマントがまるで泥のように溶けて床に流れた。

そして黒いスケルトンが骨でできた馬の前に立つ頃には、その体にかけたすべての服が溶けて消えて、彼の心臓部位にある赤いコアが見えた。

黒いスケルトンが黒い骨の馬に乗ると、黒い馬と黒いスケルトンの骨がまるで機械部品のように動き、黒い馬の頭蓋骨が消え、黒いスケルトンがその部分を代替した。

その姿はまるで神話の中に出てくる半人半獣カンタウロスのような姿だった。


「リナ....」


視界がぼやけていた。

みぞおちを打たれたのか、息をすることさえ容易ではなかった。

痛い···

視界のぼやけたあたりに黒いスケルトンが見えた。

今すぐにでも駆け出しそうな黒いスケルトン!

私は歯をかみしめた。

そして、今にも引きちぎれそうな意識をつかんで、地面をつかんで体を起こした。

スケルトンたちが遮った町の入り口が目に入った。

数多くのスケルトンの群れ!

幸い騒ぎによって異邦人たちが集まってきてスケルトンたちを遮り、村の入口は突破されていなかった。

しかし、だからといってスケルトンの群れを追い出せる状況でもなかった。

しかし、私は躊躇しなかった!

精一杯剣を持ってスケルトンの間を走り回った。

9歳の小身。

その小さな体のおかげで、スケルトンの群れの間を通り抜けることができた。

私は鋭い短剣を振りかざして、まっすぐ黒いスケルトンに向かって走った!

そして、やつの体の中心にある赤黒いコアに向かって飛び込んだ。

しかし、黒いスケルトンは飛び込んだ私の首をつかんで持ち上げた。

首を絞められる苦痛に無意識にもがいた。

手に持った短剣でスケルトンの手首に向かって容赦なく切り抜けたが、肌も筋肉もないスケルトンはびくともしなかった!

首を絞める力がだんだん強くなってきた。

私は開いた目で必死にもがいた。

しかし結局、臨界点を迎えた。

黒いスケルトンは、残った手で拳を握り、私のみぞおちに強力なパンチを食らわせてくれた。

その瞬間、私の全身の力が抜けて、私の短剣は力なく床に落ちた。

黒いスケルトンは少年と少女を片手で抱え込み、平野に向かって走り出した。

そしてその知らせは一瞬にして村全体に伝わるようになった。

ポーション店の店主ジークは鍛冶屋に駆けつけてドアを叩いた。

そしてドアが開くと、ログとシャルに向かって荒い息遣いとともに叫んだ。


「ジェンが…! モンスターにさらわれた!」


□■□


「ジェンが…! モンスターにさらわれた!」


モンスターが村に入ってきて子供を誘拐したというニュースは一瞬にして村全体に広がった。

そして今この瞬間にさえも村の入口ではスケルトンとの戦闘が続いていた!

巨体の男性ローグは、自分の足の補助具のネジを強く締め、押入れに飾られていた巨大な剣を取り出した。

その剣は巨大だった。

160センチ。

それがシャルの身長だった。

そして同時に、それがその剣の刃の長さだった!

大きくて、厚く、それはいわば巨人の剣だった。

しかし、ログはまるでそれをおもちゃを扱うように当たり前のように持ち上げて背中につけた。

そしてすぐに鍛冶屋を出た。

そのあとすぐ馬小屋に来て茶色の馬に乗った。

そんな彼にシャルが近づいてきて口を開いた。


「私も行きます!」


私の言葉にログは真剣な表情でシャルを眺めながら言った。


「悪いが、体もまともに支えられない君が行って、何ができる? 不老不死の異邦人といっても動けなくては荷物のかたまりにすぎない」


「でも…!」


「気持ちは分かるが、戦場は負傷者が行く場所ではない。すぐに戻ってくる」


そう言って、ローグは馬を出発させて戦場に向かって走った。

シャルはそのようなログに向かって走ろうとしたが、再び倒れてしまった。

頭を上げると、遠くに馬に乗って走っていくログの後ろ姿が見えた。

彼は強い。

知っている。

あんな大剣を軽くふるう人だ。

私より強いのが当たり前じゃないか?

だから、だから私は見守るだけでも大丈夫なのか?

ずっと見守ってばかりいた。

思い出せ!

見守っていただけの人生を!

ただ楽にベッドに横になって待って見てただけの人生を!

その果てにどうなったのか?!

すべてが崩れ落ちなかったか?

10年間ただ見守っていただけの結果がこれではないか?

なのに、またこのように寝転んで見守ってばかりいるつもりか?

今度はまた何の言い訳をするつもりだ?

あそこに今走っている男、あの男でさえ足の補助装置なしでは歩くことさえ不可能な男だ。

そんな男が今、息子を救うために私の友人を救うために走っている!

なのにおまえはまたこうして躊躇ばかりしているつもりなか?!

立て。

今立たないと、この両足に何の意味がある?

立て!


「立て!」


シャルは両腕で地面をつかんだ。

そして立ち上がろうとした。

ゆれる体。

きしむ体は今この瞬間にも私が歩くことなと、走ることは不可能だと叫んでいた。

なら帰るか?

その闇の中へ。

今回はあやめさえいない本当の闇。

死の中へ!

立て。

知ってるじゃん。

ゲームの中でさえ友達一人も救えない弱い者がこの先の未来を生きていけるはずがないということを!

今立ち上がれない奴は、遅かれ早かれ死ぬことになる!

30万円?立つこともできずに土を這う私が稼げるはずがないじゃないか?!

だから立って、立って!


「私はもう…!」


シャルは、体を起こすために地面を叩きつける強く打ち取った!


「私はもう、ただ見守るだけのそまじゃない! そんなのわも飽きた! 今度は私が走るんだ! 君のそばへ!」


チジジッ!


その瞬間、軽いスパーク音とともにシャルの瞳が七色に輝き始めた!

鉄を打つ音が聞こえた。

それは心の中の声。

冷たい鉄を打つ音。

鉄と鉄が向き合うと火が飛ぶ。

体は鉄であり。

心は火であり。

ずっと願ってきた形はいつも君の形をしていた。

あの時私が思い出したのは君が握ってくれた手だった。


あやめ。

私はあなたのそばに帰れるなら何でもできる。

何でもやり遂げでみせる!

だから....

今立つよ。

今走るよ。

もう見守るだけのそまとしては生きない。

君が手をつないでくれることだけを待っているそまとしては生きない。

私が捕まえに行く。

今度は私がこの手で あなたの手を捕まえに行く!


その時、頭の中から謎の声が聞こえてきた。


「シャル、どうしようもない時は、目を閉じて何でもできると想像してみて、この世界はそれを可能にしてくれる」


謎のスパークはシャルの全身を巻きつけた。 同時にその謎の声は続いた。


「それが何より難しいのは分かる。だから今度は私が力を貸してあげる」


その瞬間、シャルの体をさまよったスパークが神経に乗って全身に広がった!

そしてシャルは地を踏んで立ち上がった。

七色に光る瞳。

閃くスパーク。

そまはしばらく目を閉じた。

そして目が覚めた時。

今度こそそれは間違いないシャルだった。


何だ、この感覚は?


体が変なほど軽く感じられた。

七色に輝いた瞳も元の色に戻った。

スパークもまた落ち着いて消えた。

それでも確信が持てた。

今ならこの身を思い通りに動かせる!

まだその声の持ち主が誰なのかは分からなかった。

しかし、今重要なのはそういうことではなかった!


ひぃぃぃぃぃぃぃぃん!


シャルは馬の鳴き声が聞こえる方向に目を向けた。

そしてシャルはそこにある黒い馬に向かって近づき、優しく馬の頭を撫でながら口を開いた。


「ねえ、君の助けが必要だよ、君の主を救いたい、たぶん私一人では追いつけない、だから君の助けが必要なんだ、私を助けてくれる?」


シャルは馬小屋の扉を開けた。

すると、黒い馬は馬小屋の外に出て、「ヒイーン」と鼻息を吹きかけ、シャルを静かに眺めていた。


「ありがとう」


シャルはためらうことなく馬に乗り込んだ。

それと同時に馬は前足を上げて泣き叫ぶと、全速力で走り出した!

変な感覚、生まれて初めて馬に乗ったにもかかわらず、まるで最初から馬の乗り方を知っていたかのような感覚。

しかし、今はそんなことはどうであれ関係なかった。

ただ進むことができるなら、今はそれでいい。

風と共に瞬く間に村の風景が過ぎ去った。

そしてこの時、初めてシャルとしての私の冒険が始まった。

もう目の前まで村の入口が見えた。

シャルはインベントリから剣を取り出し、引き抜いた。

それと同時に叫んだ!


「警備兵さん、ジェンは、ログさんはどこだ!」


シャルの声に、警備員はスケルトンの群れから目を離さずに叫んだ。


"北だ!!!"


それを聞くと同時に、シャルは村の入り口を塞いでいるスケルトンや警備員たちを飛び越え、野原を走り始めた。

その平野でさえスケルトンでいっぱいだったが、シャルは止まらず走った!

近づいてくるスケルトンは一気に斬り捨てた!

馬の推進力が加わった刃の前で、腐った骨は粉々に砕け散った。

そうしてシャルはスケルトンを斬りながら走った!

するとレベルが突然上がったというメッセージとともに、ステットポイントが10が支給された。

普段ならもう少し悩んで投資しただろうが、今のシャルにはそのような心の余裕がなかった。

だからこそ、今のこの状況で一番役に立ちそうな力に、そのすべてのステットを投資した!


-レベルが上がりました!


----------------------------------


-ステータス。


-名前:シャル。

-レベル:2。

-種族:人間。

-職業:なし。

-称号:なし。

-性向:100(善)。

-HP(生命力):100/100。

-MP(馬力): 100/100。

-筋力20。

-体力10。

-敏捷10。

-知能10。

-知恵10。

-幸運10。


----------------------------------


シャルがステットを上げて、すぐにもう一匹のスケルトンを切ってしまった時だった。

スケルトンを切って頭を上げると、目の前まで拳より少し大きい石ころが飛んできた状態だった。

防ごうとしたが、すでに石ころはシャルの顔と激突した後だった!

そのため、シャルは顔から血を噴き出し、馬から投げ出して床を転がした。

なんとこの一撃で生命力が10も飛んだ!

しかし、シャルはすぐに立ち上がり、自分に向かって石を投げるスケルトンに向かって走った!

布に石を入れてぐるぐる回すスケルトン!

次の瞬間、まるで鞭の音のように空気が殴られるような軽快な音とともに、シャルに向かって石が飛んできた。

シャルはそれを見つめていた。

自分に向かって飛んでくる石から一瞬も目を離さなかった。

そして、石が自分に激突しようとしたその瞬間、空中に体を飛ばして回転しながら石を避けた!

そして床に着地すると同時にシャルはスケルトンに向かって跳躍した!

やつに次の石を用意する時間なんてなかった。

跳躍したシャルの剣はそのまま、あいつの肋骨を壊してコアに打ち込まれた!


-クリティカル!


そんな気持ちいいメッセージとともに、やつは苦痛に身もだえながらコアから赤い液体を抱いた。

そして、シャルが剣を抜くと、やつは力なく崩れ落ち、床と衝突すると同時に砕け降りた!

しかし、シャルはそんな悲惨なスケルトンに目を向けず、剣を抜くと同時に走り出した。

そして、立ちふさがるスケルトンを容赦なく斬った!

スケルトンのほとんどは剣か槍を持っていた。

そんな槍や剣を避け、または突き出してシャルはスケルトンを斬った!

それは言わば圧倒だった。

透析後、シャルはこのスケルトン兵士たちの攻撃を一撃も許さなかった。

どういうわけか体が軽かった。

さっきとは全然違って体が好きなように動いてくれた。

体を動かす快感に、分からない全能感まで感じた。

だがそれにうぬぼれてはいなかた。

あくまでも目標はジェンを救うこと!

いや、もしかしたらそれよりもっと遠いところ、大切な人に届くこと。

今シャルの心の中にあるのはそれだけだった。

そのために体を動かすのは当然だ。

そう思うほど、まるで設計図どおりに物を組み立てるように体が変なほど軽くて精巧に動いた。

しかし、いくら体が自由自制で動くとしても、シャルが彼らと立ち向かうことができるのは全て武器のおかげだった。

シャルの剣は、スケルトンたちの剣や槍よりも丈夫だった。

そのため、シャルの剣がスケルトンの剣とぶつかると、奴らの剣と槍は粉々に砕け散った。

しかし、それも長くなかった。

シャルの剣とスケルトンの剣が激突した瞬間、シャルの剣とスケルトンの剣が同時に砕け散った!

一瞬戸惑ったが、シャルは正気を取り戻した!

そして、スケルトンが反撃する前に、スケルトンの頭をつかんで引っ張りながら、スケルトンの頭に頭突きを飛ばしてくれた!

3程度のダメージが入ったが、奴の頭蓋骨が砕け落ちた!

それと同時にシャルは、やつの胸にパンチを飛ばして、やつの肋骨を砕いて入り、やつのコアを引き裂いて摘出してしまった!

そうしてわすぐに走り出し、地面に刺さっている錆びた剣を抜いて、前方にあった2匹のスケルトンを切り落とした。

そしてすぐに跳躍して前方を塞いだ最後の一匹のスケルトンに向かって剣を打ち下ろした!

しかし、鉄が衝突する衝撃音とともに、スケルトンは自分の剣でシャルの剣を防いだ。

しかし、シャルは立ち止まるつもりはなかった。

そのまま剣を持った手に全力を込めて、純粋な力でスケルトンを打ち下ろそうとした!

立ち止まるのも一瞬、シャルは力でスケルトンの剣を砕いてそのままスケルトンのコアまで裂いてしまった!

その衝撃でシャルのさびた剣が崩れ落ちた。

しかし、同時に再びそのメッセージが現れた。


-レベルが上がりました!


シャルはためらうことなく、すべてのステットポイントを筋力に投資した!


ヒイーン!


タイミングよく帰ってきたシャルの黒い馬。

シャルはスケルトンが使っていた槍を抜き取り、ためらうことなく馬に乗り、再び北に向かって走った。


■□■


ローグを乗せた馬は平野を走っていた。

大地を蹴飛ばしながら前進する度に土ぼこりが揺れた。

走る彼を遮るスケルトンたち!

ローグは背負い目にあった巨大な大剣を捕らえた。

その剣はあまりにも巨大でさやのようなものは存在しなかった。

引き抜いた160センチ以上の巨大な刃を振り回すと、一撃で正面のスケルトン五体の上下体が不利になり粉に変わった。

切ったというより、それは粉砕だった。

それでも正面にはまだ数百体以上のスケルトンがうようよしている。

しかし、それがログが止まる理由にはならなかった。

飛んでくる透析を大剣で防いだローグは、全力を込めて大剣を振り上げながら打ち上げた。

そしてその度にスケルトンは無残に粉砕されていった。

そして、その視線の先に、ついに走り去っている黒いスケルトンが入ってきた!

ローグは目を光らせ,スケルトンを粉砕しながら突進した。

馬は激しく唾を垂らして走ってくれた。

ログはポケットからベージュ色の紙が赤黒い線で巻かれているスクロールを取り出した。

そしてだんだん黒いスケルトンに近づいたその瞬間、ログはスクロールの紐を歯で噛みちぎって広げた。

ひらひらと広がるスクロールは、次の瞬間、光の球体に変わった。

それをローグは黒いスケルトンの正面に向かって投げ、大剣を正面に突き出して自分の目を覆った。

その瞬間!

球体は壊れ、爆発のように膨大な光を放った!

その光で黒いスケルトンは驚いて前足を上げたり止まったりした!

そして、その瞬間をログは逃さなかった!

ローグは馬から飛び上がり、大剣を持って黒いスケルトンの背後を狙った!

疲れて床に倒れたログの茶色い馬!

黒いスケルトンがどんなに強かったとしても、ローグの大剣の前では一撃で崩れるだろう!

気合と共に剣を打ち下ろすログ!

大剣が黒いスケルトンの体を両断しようとしたその瞬間!

黒いスケルトンは持っていたゼンを盾の代わりに持ち上げ、大剣の前に立ちはだかった!

それによって地面に落ちた少女リナ。

すでに加速度と重さがかかった大剣を止めることは不可能だった!

にもかかわらず、ローグは全力を尽くして辛うじて軌道を変え、何もない地面に落とした。

しかしその瞬間、スケルトンは剣を抜き取り、ローグに一撃を加えた!

すぐに避けたかったが、片足が自由でないログの反応が少し遅かった!

やむを得ず正面から斬撃を受けたローグの体!

その体の正面から血が噴き出した!

しかし、彼は引き下がらず、剣を抜いて振り回した。

打ち下ろす大剣を避けてバックスタッフに退いた黒いスケルトン!

追撃して剣を打ち抜くと、黒いスケルトンはもう一度ジェンを盾に突き出した!

ためらっているローグに向かって剣を振り回す黒いスケルトン!

ローグはその剣を大剣で食い止めた。

しかし、攻撃はそれだけではなかった。

黒いスケルトンは振り向いてその馬の後ろ足でログを大剣のごと蹴飛ばした。

それによって数メートルは押し出されたログ!

ログはすぐに地面を蹴って、黒いスケルトンのところに走ろうとした。

だが、その瞬間、突然背後から飛び出した他のスケルトンたちが背後からログを捕まえた。

両腕と両足。

スケルトンはログのすべての部分をつかんだ。

特に壊れて補助具をつけたローグの右足をもっとしっかり握っているような感じがした。

ログがスケルトンの群れに捕まると、黒いスケルトンはしばらくログを見ては無心にリナに向かって視線を向けた。

そしてリナに向かって手を伸ばした。

その瞬間、ログは気合いの声を上げた。

そして、ただ力だけで自分を握っているスケルトンたちの腕を引きちぎって拘束から抜け出し、大剣を黒いスケルトンに向けて投げた。

そして投げた大剣はリナの前に出て黒いスケルトンがリナを捕まえられないようにその前を遮った。

同時にすぐに黒いスケルトンに向かって走るログ!

黒いスケルトンは逃げなかった。

剣を振り上げながら、自分に向かって走ってくるログに向かって持ち上げた!

ローグは走りながら腰につけていた短剣を抜いた。

走ってくるローグに向かって、黒いスケルトンは剣を伸ばした。

しかし、ログはその剣を避けずに自分の体で受け取った。

黒いスケルトンの剣は、ローグの鎖骨と胸の間を刺した。

だが、それでもログは引き下がらずに近づき続けた!

そして血を噴き出しながら手に持っている短剣を黒いスケルトンのコアに向かって伸ばした!

それに驚いた黒いスケルトンは慌てて剣を抜いて退いた!

しかし、その時すでに黒いスケルトンの手にジェンはいなかった!

ローグは剣に刺されながらも、その手で息子を離さずにしっかりとつかんだのだ!

そして黒いスケルトンが身を引いた瞬間、その邪悪な手から息子を取り戻したのだ!

ログは取り戻した息子を胸に抱きながら、自分の大剣を背もたれにして座り込んだ。

出血がひどかった。

ひょっとしたら肺に穴があいたかもしれない。

息をするたびに。

激痛が全身を纏った。

黒いスケルトンはログに近づいた。

そして剣を振り上げた。

絶体絶命。

ローグは確信した。

次の一撃は必ず致命傷になる!

しかし、ログは静かに頭を下げながらささやいた。


「スケルトンよ 命を持てないおまえには聞こえなかっただろう…」


そして、ログは会心の笑みを浮かべながら話し続けた。


「俺は確か来るなと言ったはすだか…」


ローグのその言葉と同時に黒いスケルトンの背後からシャルが現れた。

そして登場と共に持っていた槍を黒いスケルトンのコアに打ち込んでしまった!

苦しむ黒いスケルトン!

シャルはその隙に地面に着地し、それと同時に地面を蹴ってジェンを抱えているローグとリナを持って走った!

ローグの目に見えるのは顔から血を流すシャル、そして倒れた2頭の馬、そしてコアに刺さった槍を抜いては怒る黒いスケルトンだった。


「ログさん、大丈夫ですか?」


ログは苦しそうに口を開くことができなかった。

そしてシャルはその姿を見て覚悟を固めたように両手に地面から拾ってきたスケルトンのさびた剣を持った。

それとともに、シャルは黒いスケルトンに向かって歩き始めた。

すると、さっきログによって腕が粉々になった真っ白なスケルトンたちがシャルに向かって駆けつけた。

だが、すべてのステットを力に投資したシャルの剣に、彼らは虚しく崩れ落ちた。

それに激怒する黒いスケルトン!

彼はさっきの衝撃で剣を落としたが、それを再び拾うことはなかった。

剣を拾う代わりに自分の肋骨を引き裂いた!

すると、その二つの肋骨はねじれ始め、それぞれ骨の剣と盾に変わり始めた!

そして今、巨大な大剣を境に黒いスケルトンとシャルが向き合った。

一触即発の緊張感が吹きつける平野。

一瞬の沈黙!

次の瞬間、空気と刃の衝突によってその沈黙は破られた!

黒いスケルトンの剣が空気をかき分けながら、正確にシャルの首に向かって走った。

シャルは体をかがめて片足は太もも、片足は咲いて地面をつまんで黒いスケルトンの攻撃を避けた!

それと同時に跳躍し、黒いスケルトンの馬のような部分の胴体を切りながら走った。

次の瞬間、スケルトンは体を回転させながら剣を振り回した。

しかし、シャルは空中でバク転をしながら、もう一度黒いスケルトンの攻撃をかわした!

だが、黒いスケルトンの体は他の真っ白なスケルトンとは格が違って頑丈だった!

まるでチョークで黒板を掻くように、その体に傷はついたが、ダメージは与えられなかった。

しかし黒いスケルトンもまだシャルにこれだ する有効打を与えられずにいた。


なぜだろう?

さっきから体が私の想像通りに動く。

さっきの感覚は何だ?

私のものではない記憶。

あれは誰の声だ?


しかし、シャルがそのような変な感覚に心酔する余裕などなかった。

黒いスケルトンは剣を取ってシャルに向かって殴りつけようとしていた!


でも今はそういうのはどうでもいい!


黒いスケルトンの剣が落ちた瞬間、シャルは体を回して回転しながら攻撃を避けると同時に、黒いスケルトンの懐に潜り込み、遠心力のかかった回転斬りでスケルトンの胴体を剣で斬った!


今はこいつを倒す!


そんな覚悟とは裏腹に、シャルの錆びた剣は無力にも黒いスケルトンの体と衝突すると同時に粉々に砕けた!

そして黒いスケルトンは、懐まで入ってきたシャルを盾で弾き飛ばすために盾を振り回した!

シャルは残った一本の剣でそれらを防ごうとしたが、シャルの剣は粉々に砕かれ、シャルの体とスケルトンの盾が衝突した!

たかがそれだけだったが、鋭いトゲの生えた骨の盾は、それだけでもシャルにダメージを与えた!

残りの生命力である88が一気に78まで下がり、2~3メートルは押し出された!

手に残った武器がない!

しかし、シャルは押し出されると同時に、地面に埋め込まれている錆びた剣の位置を把握した!

シャルはためらうことなく剣に向かって走った。

しかし、黒いスケルトンがそれをじっと見ているだけではなかった!

あいつの下半身は馬の骨で構成され、シャルより圧倒的に速く動けた!

そのため、シャルは剣を握った瞬間と同時に、体を転がして攻撃を避けなければならなかった。

走り出した黒いスケルトンは、Uターンしてすぐシャルに向かって走り出した。

やつの体は堅く、シャルの剣はもろい。

かといっていつまでも逃げるわけにもいかなかった!

もろいスケルトンたちのさびた槍といってもあいつのコアには刺さった!

つまりこの錆びた剣だとしても、奴のコアにだけ突き刺さることができれば勝算はある!

シャルはスケルトンに向かって歩いた。

そして、スピードをどんどん上げて走り出した!

スケルトンが再び斬撃を放ったその瞬間、シャルは空中に身を投げて飛び立った。

そして同時に黒いスケルトンの肩をつかんで後ろに倒れ、奴の背中に乗り込んだ!

黒いスケルトンは速く走りながらシャルを振り払うためにもがいた!

しかし、シャルは奴の頼もしい背中に抱かれ、離れないように抵抗した!

そして隙が見えるとすぐに黒いスケルトンのコアに剣を突き刺すために剣を持ち上げた!

しかし、その瞬間、黒いスケルトンは持っていた骨の剣を自分の腹部に突き刺した!

それによって、やつの背中にぶら下がっていたシャルの腹部が、やつの鋭い剣に刺された。

深くはない傷!

しかし、その会心の一撃によって、シャルの残りの生命力は48まで減少した。

同時にシャルはその衝撃によって落馬し、地面を転がった。

今回はかなり衝撃が大きい。

同時に減少した生命力によって体が重く感じられた!

だからUターンして走ってくる黒いスケルトンの攻撃を避ける余裕がなかった!

剣で地面を掻きながら走ってくる黒いスケルトン!

シャルは防ごうとしたが、剣が砕けると同時に対角線の斬撃がシャルの体を割った!

噴き出す大量の血!

残った生命力はたかが1!

しかし、抵抗する暇もなく、シャルはひざまずいた!

剣を持って走る黒いスケルトン!

奴は曲線を描きながら、Uターンしてシャルに最後の一撃を与えるために走ってきていた!

そして黒いスケルトンの剣がシャルの首に向かって飛びかかった!


「おいおい..、こんなところでやられんざねよ…..!」


身を起こしたローグは血を流しながら自分の大剣の前に立った!

そして最後の力を振り絞って剣を持ち上げ、シャルに向かって大剣を投げた!

それと同時に、力なく倒れるログ!

しかし、その飛んできた大剣は、黒いスケルトンの攻撃を遮り、シャルの生面線をつないだ!

いきなり舞い込んだ大剣を避け、同時に驚いたように上半身を持ち上げた黒いスケルトン!

そしてその瞬間、シャルは飛んできた大剣を捕まえた!

とんでもない重さの剣!


ログさん、今までこんなとんでもないものを軽く振り回していたのか?


その大剣はシャルが持ち上げるにはあまりにも重くて巨大だった!

しかし、それでもシャルは剣を抜いて両手で持って振り回すための姿勢を取った!

黒いスケルトンも上半身を下げると同時にその反動で剣を打ち落とそうとしていた!

まるで野球バットを振り回すように、シャルは前足に力を入れて踏み出した後、巨大な大剣を振った!

鈍い空気が裂ける音とともに、大剣は黒いスケルトンの骨の剣と激突した!

いや、それは激突と呼ぶことさえ悲惨な場面だった。

シャルの一撃に当たった瞬間、黒いスケルトンの骨の剣をくり抜いた!

そして、大剣の刃は黒いスケルトンの骨を粉々に砕き、コアを粉砕した。

そのすべてが一撃だった!


-レベルが上がりました!


コアが壊れた黒いスケルトンは、その形を維持できないまま蒸発し、風に飛ばされて消えてしまった。

そして同時に、シャルは大剣の刃先を地面に落とすように置いた。

そして、やっとシャルは我慢していた息を吐いた。

やっと呼吸を整えたシャルは、剣を引きながらローグに向かって歩いて口を開いた。


「ログさん、生きてますか?」


「いや、死んだ…」


その言葉にシャルは解脱したように鼻で笑いながら言った。


「それはよかったですね、この大剣が欲しくなってきたところでしたので」


「本当に死にそうだから冗談はやめて、子供たちから気つけろ!」


シャルは怪我をしたログを支えながら子供たちに向かって歩いた。

しかし、その瞬間! 地中から骨でできた人の手が飛び出した!

そしてあっという間に周辺一帯を包囲した!

前面も背面も、左右どちらを見てもスケルトンだらけ!

剣と斧を持ったスケルトンたちがシャル一行に向かって近づいていた!

それに比べてシャルの残り生命力はわずか1!

彼らの攻撃に触れるだけでもゲームオーバー!

言うまでもない絶体絶命!


「おい、若造まだ戦えるかい?」


シャルを眺めながら尋ねる苦しそうなログ。

シャルは正面のスケルトンを見つめながら答えた。


「まあ、何にかほかの方法でもあるんですか?」


シャルは大剣を握りしめながらそう言った。

そしてスケルトンたちに向かって突進した。

シャルは確信していた。

多分ここで私は死ぬ。

それでも、一匹でもたくさんスケルトンを殺さなければならない!

そのためにシャルは大剣を持ち上げた!

大剣を持って走ってくるシャルとそれを遮るスケルトン!

その瞬間、夜の向こうから黎明が浮かんだ!

浮かんだ太陽があっという間に世界を明るく照らした!

すると、その光に触れたスケルトンたちが苦しみながら燃え始めた!

そして周りにいたスケルトンたちは一瞬にして燃えて蒸発してしまった!

そしてその時になって、シャルは浮んだ黎明と向き合った。

全身を暖かく照らすその日ざしの米がシャルドログドそしてぐっすり眠った子供たちにも生き残ったことを確信させた。

そして、そんなシャル一行の姿を丘の上から眺めていた赤い髪の女性は口を開いた。


「へえ~、あのこ結構やるな」


□■□


スケルトンたちとの激戦があった夜から少しの時間が流れた。

日の光によってスケルトンが消滅すると、訪ねてきた警備兵のおかげで、私たちは無事に鍛冶屋に戻ることができた。

私も前回の戦闘で負ったダメージが全て回復するまでは静かに休息を取った。

だからといって、いつまでもここに留まるわけにはいかなかった。


「やはり行くのか? もう一晩休んでいけばどお?」


「できれば私もゆっくり休みたいのですが、必ずやらなければならないことがあるんですから」


シャルは非常に残念そうな口調でそう言った。

しかし、私にはしなければならないことがある。

一刻も早く金を稼ぐ方法を探さなければならなかった。

ぐずぐずしていたら1ヶ月ぐらいはあっという間に過ぎてしまうだろう。

だからこそ行かなければならない。

少しでも多くこの世界のことを知っていき、生きていく方法を見つけなければならない!


「あ、そういえば、この剣お返しします」


シャルは昨夜彼が投げた大剣をログに差し出した。

すると、ログは拒否するように手を差し出しながら口を開いた。


「それはもういい、それが欲しいと言ったよな?だから君が持って行きなさい、その剣は旅人に似合う、俺のように部屋の隅で金槌を打ったりするものには似合わない、そして何より昨夜私とジェンを救ってくれた恩返しだと思って持っていきな」


そういえば、確かにシャルは昨夜、すべての武器を失った。

旅において、まともな武器があってなくては天地の差だということを昨夜シャルは確かに感じることができた。

そのため、ログの言葉にシャルは拒否感なく頭を下げて納得した。


------------------------

鍛冶屋ローグの大剣。


かつて世界中を旅していた鍛冶屋ログの大剣。


等級:レア。

攻撃力:25

耐久度:100/97

特殊効果:筋力+5、耐久度低下。

要求条件:力30以上。

------------------------


「それでは遠慮なくいただきます、ログさん、お体に気をつけてください」


シャルが振り向いて去ろうとしたその時、ジェンが近づいてきて口を開いた。


「兄さん、も行くの?」


「うん」


シャルはジェンに近づき、彼の頭をなでながらうなずいた。

すると少年はそんなシャルの手を軽く振りながら口を開いた。


「私、約束忘れないから、また来て」


「うん、必ずまた来る、約束だよ」


シャルはジェンが静かに差し出す小指を握ってくれた。

そして、後ろを向いて立ち去った。

明るい日ざしを受けながら、シャルは広い世界に向かって走った。

ジェンは手を振りながら立ち去る彼を見送った。

ログは立ち去る彼を見つめながら静かにつぶやいた。


「だが不思議なことだ、普通、太陽の光で蒸発し、知能のないはずのスケルトンが燃えず、昼間に村に忍び込んで子供たちを拉致するとは?そらに一度にこんなにたくさんのスケルトンが同時に現われるのはどうも気にかかる.....何か悪いことが起こる徵兆か?何事もなければいいものだか......」


■□■


暗くて暗い漆黒の中。

黒いスケルトンで作られた骨の玉座に座った赤い髪の毛を持った陰気な雰囲気を漂わせる青白い女性。

彼女は不吉な笑みを浮かべながら口を開いた。


「フフフッ、誰だかしらわたくしの愛らしいスケルトンたちをいじめるやつわ?」


-Say.3.新しい世界.END。

-To be continued......

-Next say.隠されたクエストと初めての仲間メイ!



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