Say.3. 新しい世界 (2)


Say.3. 新しい世界 (2)


「私は、何があっでも旅に出るうんた!!」



木材と石材を組み合わせて作ったような中世風の建物が並んでいる村。

流れる川を囲むように並んでいる建物の間にはかなり大きな道があり、その通りには自然に人々が集まって商店街を形成した。

うるうる、おどおど。

人々が集まる街では自然に人々の声が大きくなるものだった。

それにもかかわらず、その声は消えなかった。


「誰が何と言おうと、私は旅に出るうんだ!、一生をこんな小さな町で過ごすなら、死んだ方がましだよ!」


その声の持ち主はせいぜい小学校1、2年生くらいの小さな少年だった。

そしてその少年は、巨体の丈夫な男性に向かって、そう叫んでいた。

そしてその官警は、ある男の目にも入った。

その男はふらふら、よく歩くことができなかった。

今にも倒れそうな男。

黒髪にベージュの布を着た男。

何を隠そう、その男がまさに私、シャルだった。


やばい、体が私が思うように動かない。 距離感がおかしい..

地面が遠くて怖い···


長い闇の中での生活はあまりにも多くの当たり前のことを私から当たり前ではないようにさせた。

目に入るあまりにも多くの情報、体を動かすという感覚。

何よりも変わってしまった体。

そのすべてが私には馴染まないない不慣れなものだった。

そしてその見慣れないすべてが、この体がもう私が覚えていた9歳のそまの体ではないということを骨が痛いほど感じさせてくれた。

11年の時間、その長い闇の中でそま自分も知らないうちにその身は大きく長くなった。

初めて会う20歳の私。

その体は思春期でも来たばかりなのか、とても反抗的で私の言うことをよく聞いてくれなかった。

脳と体の認知不調和。

まるで長い竹の竹馬に初めて乗ったようにぎこちなく、恐ろしく、不便だった。

手も同じだった。

伸ばせば思ったよりはるかに遠くまで伸びていった。

それによるバランス感覚の反抗!

雲の影が通り過ぎると、さらに明るくなった世の中の色が目にちらついた。

めまいがした。

そうなんだ。シャルにとって···

いや、そまにとってまだシャルは自分自身ではなかったのだ。


やばい、 何だよこれは、体が言うことを聞かない···!吐きそう······

でも私は....!

こんなにぐずぐずしている時間なんてないんだ!


目眩と言うことを聞かない体。

それでもそれを何とか動かしてみようと必死で目の前の地面に集中した。

足の動き。

詳細に頭の中で構想し、行動に移そうとした。

しかし、そうすればするほど、体は予想もできなかった方向に揺れた。

まるで遊園地の乗り物のように。

私の体は私がそれに適応するのを必死に妨げた。

そのように自分自身の状況だけに集中していたら、いつの間にか目の前と呼ぶほど近い距離に人が近づいてきたことさえ気づかなかった。

結局私はぶつかって、その巨体の男性の体から転げ落ちるように床に倒れた。


「すみません....」


「おいこら、気をつけろ……おい、大丈夫か?!」


起き上がろうとしたが、それさえも容易ではなく、バランスを崩してもう一度倒れた。

ゲームというには不思議なほどリアルな衝撃!

10年ぶりの慣れないどこか懐かしいその衝撃に私は気を失った。


「こんなはずざなかたのに......」


「おい!おい!! おい!!!」


私を呼ぶ男性の慌てる声と、ざわめく人々の不安そうな声がますます遠ざかり、私は力なく目を閉じた。


□■□


村の入口。

多くの人々が行き交う平和な午後の時間。

警備兵は槍を支えに気持ちよく居眠りしていた。

しかし、それもそうだが、この日は特に平和だった。 食事を終えた午後の勤務、ちょうどいい気温と暖かい日ざしの下、特にこれだ することもなく、ただじっと立っているだけの業務。

最近、この世に登場した異界の旅行者、すなわち異邦人の登場によって、村の入口にモンスターが飛びつくこともなくなった。

そのため、警備兵という職業は事実上、その存在理由を失った状態だった。

それだけか?

心地よい日差しと優しい風!

むしろ、このような状況では居眠りしない方が、ある意味で脳の勤務怠慢といえる。

そんな警備兵の前をフードをかぶった男が静かに通り過ぎた。

警備兵を通って男が村の中に入ってくると、突然男の顔が溶け出し始めた。

そして、すぐに体を動かす最小限の筋肉だけを残した骨でできたモンスター。

黒い骨のスケルトンの現象に変わった。


■□■


チジジッ!


「そうか、君もまた数奇な運命の下に置かれた放浪者だな」


またもやその謎の声が聞こえてきた。

何故かこんなふうに眠っている時は鮮明に覚えているが、目を覚ますと結局すべてのことを忘れるようになる。

だから結局私は再び彼との対話について全部忘れることになるだろう。


「……」


再び彼が何かを言っているようだったが、私は思い出せなかった。

だんだん彼の声が遠ざかり、暗闇の中で声が聞こえてきた。


「とにかくダメならダメだと思え!」


「だから、なんでだよ、このくそおやじ?!」


その声のせいか、私は徐々に意識を取り戻した。

暗闇が収まり、徐々に視界が明るくなった。

そして私はこの仮想現実の中で再び目を覚ました。


やばい....どれだけ気を失っだんだ?


私が体を起こすと、腕を組んでいた少年と言い争っていた巨体の男が私の方を眺めながら口を開いた。


「やっと目を覚ましたか? 本当に村のど真ん中で倒れる異邦人なんて初めて見たそ…」


「すみません、私が迷惑をかけましたね」


私は目まぐるしい視野を消すように手のひらで目を覆いながらそう言った。


「まあいいさか辛い時はお互い助けないとな」


男はそう言ってとぼとぼと私を通り過ぎた。

そして、さっと顔をそむけて少年に一言投げた。


「とにかくダメだからそうだと思あえ」


「だから、なぜだよ?!」


不満に満ちた少年の話し方に男は乱暴に答えた。


「頭に血も乾いていないがきがなにがたびよ!そんなうわごとを言う時間があれば、行って馬たちに干し草でもあげて食料品でも買ってこい!この糞息子め!!」


その後、とぼとぼ歩いていきながら私に言った。


「悪いが俺は仕事があっておりなくちゃならない、まあこうやって出会ったのも何かしらの因縁だろう体の調子が悪ければもう少し休んでいきたまえ」


私は彼に頭を下げて感謝の挨拶をした。

そして彼が去ると、少年はぶつぶつ言いながら唇を出してつぶやいた。


「チェーンなんだよ、私はもう九歳だよ、来年になれば十歳になるのにいつまで子供あつかいするつもりだよあのクソ親父」


それから少年は首を私の方に向けながら話を続けた。


「兄さんもそう思わない?」


「はは、どうかな?」


軽い笑いと共に、私は男の子にしては早く訪れた思春期の少年に答えた。


「なんだよ兄さんも私を子ども扱いするの」


そう言いながら唇を突き出すその少年を可愛いと思うようになるのはどうしてだろう?

しかし、そのように少年を可愛いと思いながらも、目を覚ますと、やはりまだ頭が痛くてめまいがした。


ちくしょう....また視力かなじまない....


思わず目をぎゅっと閉じて手のひら全体を活用して目をこすった。


「どうしたの兄さん、まだどこか痛いの?」


心配そうに尋ねる少年は、思春期だが優しい子供だということが感じられた。

私は軽く頭を振りながら、目を開けて口を開いた。


「いや大丈夫、心配してくれてありがとう、君は優しいんだ」


「べ、別に?!」


少年は恥ずかしそうに首を回して腕を組んだ。


とにかく慣れるんだ。

適応しないと。

視力にも、体を動かすにも、一刻も早くこのシャルという体に適応するのよ。

そして何とかするんだ!

来月までに30万円稼ぐ方法を見つけなければならない。

この世界にその方法が存在するなら、早く1秒でも早く適応して方法を探さなければならない!


「ま、私は大丈夫から心配しないでよ、うんそうこれはあれよめまいみたいなやつ」


「そうなの?ならよかった、うちの親父も酒飲んだらたまにそうなるんだよ」


少年は安心したように腕を組んで虚しく笑った。


「ま、大丈夫ならよかった、あ、兄さん私はこれから仕事しに行くつもりだけどできれば少し手伝ってくれる?」


少年はざっくばらんな口調で私にそのように頼んだ。

少年の頼みにシャルは冗談交じりの口調で聞き返した。


「お患者さんにお仕事させていいの?」


私がそう言うと、少年はいぶかしげに口を開いた。


「お兄さんは異邦人でしょ? 、異邦人は大丈夫」


「はは、何それ人種差別?」


「違うよ!うちの町はそんなばかげたことしないよ!」


少年はシャルの言葉を完全に強く否定した。

そしてシャルは聞き返した。


「ならその異邦人って何? どうして私をそう呼ぶの?」


その問いに少年は「ああ、今日初めて召喚されたんだな」と口を開いた。


「私も詳しいことは分からないけど、簡単に言えば 異邦人は兄さんのように違う次元から来た旅行者たちだよ」


どうやら彼らにとっては、この世の中はゲームのようなものではなく、本当の世界であるだけに、ユーザーを他の次元から来た旅行者程度に考えたようだ。

しかし、それにしても服装や容姿など、彼らとシャルには大きな差はなかった。

それに疑問を持ったシャルは少年に尋ねた。


「でも私が異邦人だということをどうやって知ったの?」



少年は悩まずにすぐに答えた。


「そりゃ兄さんが今傷一つないからだよ」


「傷?」



「そうだよ、兄さんさっき昼間にうちのパパ ...じゃなくておやつとぶつけて転んだでしょ?それがおかしいんだよ。兄さんが転んだ時、顔とか腕とかがすりむけてたんだ。でも家に連れてきてみたら、その傷がすでに完全にきれいに治っていたんだ」


シャルは無意識のうちに自分の顔を触りながら、傷の有無を確認した。

しかし、少年の言葉通り、シャルの顔は傷一つなくきれいだった。

その姿を見た少年は話を続けた。


「それが異邦人の証だよ、私たちと違って異邦人はどんな傷でも、生きていればきれいに回復する、しかも死んでも24時間もすれば村で復活する、だから兄さんの傷がきれいに消えたのを見て、すぐ異邦人だなと思ったんだ」


シャルは納得したようにうなずいた。


「そして兄さんはそうじゃないけど、異邦人たちはなぜか分からないけど、空に向かって急にステータス!とかインベントリ!!! とか言いながら急に言ったりするの」


「ステイタス、インベントリ?」


少年の言葉にシャルが無意識にその単語を口にした瞬間!

突然、シャルの目の前にそれらは現れた!


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-ステータス。


-名前:シャル。

-レベル:1。

-種族:人間。

-職業:なし。

-称号:なし。

-性向:100(善)。

-HP(生命力):100/100。

-MP(馬力): 100/100。

-筋力10。

-体力10。

-敏捷10。

-知能10。

-賢い10。

-幸運10。


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「うわ、なにこれびっくりした!」


シャルが驚いてそのように叫ぶと、少年はびっくりして「どうしたんだ」と驚いたような声で私に尋ねた。

シャルも驚いた口調で問い返した。


「これが見えないの? いきなり現れたよ!」


しかし、少年は首を軽く横に振りながら答えた。


「いや私は、何も見えないよ、兄さんいったい何が見えるというの?」


驚いたが、シャルはすぐに納得した。


なるほど、これがゲームでよく見かけるステータスウィンドウというやつか?


指を当てて簡単に左右に動くことも可能だった。

シャルはステータスウィンドウをしばらく横に押し出して、今度はインベントリウィンドウを観察し始めた。

空いているようだったが意外といくつかのものが入っていた。

乾燥非常食と水、そして男なら当然視線を奪われるしかない剣!

シャルが指をかざすと、剣の詳細情報の窓が現れた。


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-剣。

-攻撃力:3

-耐久度 : 10/10。

-要求条件:なし。

何の特徴もない普通の普及型剣。


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そしてシャルがもう一度タッチすると、空にいきなりさやに入れられた剣が現れた!

慌てたように慌てて、それを両腕で受け取ったシャル!

重い鉄の重み!

それは明らかに本物の剣だった!


「ウギャ!なにそれ!」


あわてた少年の声。

しかし、慌てたのは少年だけではなかった。

まさかこのように突然剣が空中に飛び出すとはシャルさえ予想できなかったためだ。


「兄さん何それいきなりどうやったの?!」


「私も知らない。ただインベントリって言ったら何か出てきて押してみたら急に飛び出してきたよ…」


二人は慌てたように冷や汗を流しながらお互いを見つめ合った。

しかし、それもつかの間、二人は合唱の大きな声で同時に話した。


「なにこれすげ!!リンベントリすげえ!!!」


「兄さん兄さん入れるのもできるの?!」


「どうするのかわからない、でも一度やってみよ、収納! 入れ剣!」


たかその剣は消えなかった。


「ふむ……こじゃないのか? じゃあ、こうかな?」


シャルは剣を取り,空中のインベントリに剣を突き刺した。

すると、まるで他の次元に剣を打ち込んだように、剣が空中から半分ほど消えた。

そして、手を離すと吸い込まれるように、その剣がインベントリの中に吸い込まれ、アイコンに変わった。

それを見た少年はウオオオッ!と歓声を上げた!


「すごい!すごいよ、兄さん! それどうやるの? 私にも教えてよ!」


「よくわからないけど、この空中のインベントリの窓に押し込むと勝手に入っていたよ?」


「私もやってみる、私も!」


喜ぶ少年の姿にシャルも楽しくなり始めた。

少年の頼みにシャルは「分かった」と納得し、インベントリから剣を取り出し、少年に渡した。

少年はまるで野球バットでも持ったかのように楽しそうに剣を握った。


「私は見えないから、そのインベントリ窓ってどこにあるか教えてよ兄さん!」


楽しそうな姿の少年の姿にシャルも一緒に浮かれていた。

シャルはインベントリ窓がある虚空に指で四角形を描きながら少年にインベントリ窓の位置を知らせた。


「よし、行くぞ兄さん!」


少年は姿勢を取り、シャルに向かって突進した。

そしてシャルが教えてくれた場所に向かって剣を放った!

そしてその瞬間!

その剣が空中を横切って、そのままシャルのみぞおちを刺した!


-クリティカル!ダメージ10!


「クアオオ!」


強烈な衝撃とともにシャルは地面に倒れた!

そんなシャルを眺めながら、少年は冷や汗を流した。


「あ…あれ?え…えっと…え…ええええ?あ…うん…それが…ごめん....兄さん....」


慌てて剣を持ったまま固まってしまった少年と、衝撃で床を眺めながら咳払いをするシャル。

二人は本気で剣をさやを抜かなくて良かったと思った···


「えっと…だから…兄さん…私たち、もう遊ぶのやめて、そろそろ仕事に行こうか? 体調はどう? まだくらくらしてる?」


少年は話題を変えるためにそう言った。

しかし···


"痛い.....めっちゃ痛い!!!! カッカッ!」


「ごめん.....」


シャルはそう言って、頭を床に打ち込み、しばらく両手でみぞおちを抱いた。


■□■


「兄さん、気を付けて」


少年は心配そうにシャルを見つめながら言った。

それを聞くと、シャルは「心配するな」とふらつきながらも、できるだけバランスを取りながら口を開いた。


「大丈夫、重くない、 このくらいは大したことない」


だが、言葉と違って、その言葉が終わるとすぐにシャルは馬小屋の前に倒れた。

そして倒れたシャルの頭を黒い馬一頭がぱくりと噛んだ。

少年はそのようなシャルを眺めながら言った。


「いや、そうじゃなくてそいつ、人の頭を噛むって…....言おうとしたのに」


干し草だらけになったシャルは「まじか」と言いながら自分の髪の毛を干し草のように噛んで食べる馬を眺めた。

黒いたてがみと黒い目。

すべてが真っ黒な黒い馬。

その言葉はシャルの頭を噛みながらもプヒヒンと泣き声を出した。


「おい、おいしいか やめろこの野郎おまえも隣の友達のよおに干し草食べろよ···」


少年は熊手で干し草の山を集めて餌入れに入れて口を開いた。


「 無だだよ、兄さん。あの子は幼い頃から 人の頭を噛んで食べるのが好きだったんだ」


「そんなことばかり言わないで、手伝ってでよ.....」


少年が黒い馬の口に干し草の山を一握り交換したように譲ると、シャルはその黒い馬から抜け出すことができた。

シャルは髪をばたばたと振りながらゆっくりと体を起こした。

やっぱりまだ体を自由に操るのは難しかった。

それでも何度も転んで起きることを繰り返したらそれでもある程度立ち上がることは可能になった。


「兄さん、本当に大丈夫?」


心配そうに尋ねる少年の問いに、シャルは汗を流しながら言った。


「うん、大丈夫、だんだんよくなってるよ」



「それなら良かったけどね、そういえば、直接見たのは今回が初めてだけど、たまに兄さんのようによく歩けない異邦人もいるそうだけど、それはどうしたの?異邦人はみんな不死の身を持っているんじゃないの? なのに、どうしてそんな人が存在するの?」


少年は心配と好奇心が入り混じったような落ち着いた口調でそう尋ねた。


「そうだね、どうしてだろう? まあ、そうだね、いわばこうだね、私は今のように、この世界に来る前はずっと暗い闇の中に閉じ込められていたの。 10年ぐらいかな?」


シャルは親指と人差し指で眉間をマッサージし、話を続けた。


「そこでは目も見えなくて言葉もできなかった、体を動かすことなんて、当然不可能だった…、そして、そうやで私はただとめどもなくずっと闇の中にいた。そうするうちに、いつの間にか歩き方とか、目を通して世界を見るとか、そういう当たり前のことを忘れてしまうことになった」


シャルはそう言って,少し疲れているように横になっているオーク樽の上に腰を下ろした。

すると、黒い馬が再びシャルの頭を噛もうとしたが、シャルはそれを手で塞いだ。


「ふむ、それは…....どう話せばいいかよく分からないが本当にもどかしかっただろう···どこかに閉じこめられているのは本当にもどかしい事だよ···そうなんだ。忘れたんだ。でも、それなら歩き方を思い出すまで一生懸命練習するしかないね!」


少年はこぶしをぐっと握りしめながらそう言った。


「はは、そうだね、頑張らなきゃ」


そうその通りだ。

私は必ず歩けるようにならなければならない。

こんなにしゃがみ込んでいる時間なんてない!

来月も生き残るため、そして何より。

あやめともう一度会うために!


シャルが心の中でそのような誓いを再びしていると、突然少年がこちらを眺めながら口を開いた。


「そういうことでちょっと私について来てくれ兄さん、買い物に行くんだけどおまけに村の案内をしてあげるよ、兄さんずっとそんな状態だったから村とかちゃんと見て回れなかったよね? だから歩く練習も兼ねて一緒に行こう!」


「そうだね、さっきは今よりもっと調子が悪かったから、そんなことは考えられなかったね。でも、私はこういう状態だから、買い物の邪魔になると思うけど、大丈夫?」


私がそう言うと、少年はあっさりと答えた。


「何言ってるんだ兄さん。 インベントリがあるじゃん!」


「あは!」


□■□


川沿いに並ぶ商店街。

時間は流れ、そろそろ夕焼けになり始めると、建物も道端も流れる水とともに黄金色に染まっていった。

そんな黄金色の村の中の少年とシャルも、その光に全身を黄金色に染めながら道を歩いていた。


「いや、荷物がないど本当に助かるな!普段だったら今頃両手いっぱいの食材を持ってゾンビのように歩いていたはずだよ? これが全部兄さんのおかげだよ! すごいね、インベントリ!」


確かにその通りだった。

今、シャルのインベントリは肉や野菜を含む多様な食材でいっぱいだった。

それでもシャル本人に感じられる重みのようなものは全くなかった。


「さでさで、それでは本格的に村の案内を始めてみようかね? まずここだよね」


少年が立ち止まったところを見ると、消費品専門店のひげひげと書かれていた。

そこに少年は聞き慣れたように聞き、挨拶をした。


「こんばんは」


「おお、鍛冶屋のせがれじゃないか、そう今日はどうしたんだ?」


少年を歓迎するかのように迎えたその男は、お腹が出てきた中年の男性だった。

唇の上に伸びた茶色のひげ、ワイルドというより気さくで柔らかい印象の男性だった。

彼の問いに少年は大したことないように答えた。


「今日は特に買うものがあって来たわけではありません、面白い兄さんがいて、客引きをしに来ました、こちらは…....そういえば、兄さんの名前は何だっけ?」


少年は少し当惑したように冷や汗を流しながら私をちらっと見た。

そういえば、まだ初対面のあいさつをしていない状況だった。

私は軽く名前がシャルだと言ってあげた。


「そうそう、こっちの兄さんはシャル、事情があってまだよく歩けないけど、一応は異邦人、異邦人である以上、いつかおじさんの店にもお世話になりそうなので、紹介しようと連れてきたんだ」


少年がそのように私をその中年に紹介すると、中年男性は大らかに笑いながら手を差し出しながら話した。


「おお、そうか、そうか、異邦人ならいつでも歓迎だな、シャル兄さんって言ったっけ? 私はジーク、ポーションとかスクロールとかいろんな消耗品を売ってる。これからよろしくな」


シャルは頭を下げてあいさつした。

そのようにしばらく雰囲気がぎこちなくなったが、雰囲気が落ち着く前に少年が口を開いた。


「ジークさん、ちょっと見てもいい?」


「あ、もちろんだ」


許可が下りると、少年は陳列台の前に近づいた。

シャルも少年の後を追って陳列台を見て回ることにした。

軽い気持ちでポーション一つを手に取ると、ポーションの詳細情報がメッセージウィンドウに現れた。


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下級体力ポーション。


薬草を精製して作った下級ポーション。

飲めばあっという間に体力が回復する。


効果:生命力100回復。

価格: 1ゴールド。


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1ゴールドはどれくらいの価値があるのだろうか?


シャルがそんな考えをしていると、少年がポーションたちを眺めながら口を開いた。


「意外と高いでしょ?」


「ごめん、まだここの金銭感覚がよく分からない」


"ハハ、そうなんだ、まあそうだね、これ一つで一日の食事代くらいかな。 食堂で食べると安い食べ物1食ぐらい?」


では、1ゴールドは大体800円から1200円の間の価値があるのだろうか?


私が静かに少年の話を聞いていると、少年は続けた。


「でも冒険でポーションは必須だよ、回復魔法を使える仲間がいれば申し分ないが、いざという時にこれより心強いアイテムはまたいない」


シャルは少年の言葉にうなずいて口を開いた。


「いろいろ知ってるんだね、すごいね」


それを聞いた少年は嬉しそうに笑いながら言った。


「まあ盾で冒険家になるとか言い張っているわけじゃないからね、まあお父さんは許してくれないけどね......」


少年は物思いにふけったようにしばらくためらったが、すぐにまた頭を上げて動き出した。


「ジークさん、今日は何も買わなくてごめん」



「まあいいさ、そっちの兄さんが後であれこれ買ってくれるだろう!」


中年の男性は、10 ゴールドの値札がついたポーションを振りながら、私たちを喜んで見送ってくれた。

分からない圧迫感が感じられたが、私はあえてそれを無視して家計を出た。

その後も私は少年の後を追って村をあちこち見回した。

雑多な物を売ったり売却してくれる雑貨店や冒険家や異邦人たちが泊まる宿舎や酒場など色々な場所を見て回った。

行ったことのない場所と言えば、武器や装備を売る鍛冶屋だったが、実はこれすらすでに訪問している。

まさに少年の家がそこだった。

私と少年は、最後の目的地であり家である鍛冶屋に訪問する前に、村の入口に立ち寄った。


「警備員さん!」


「おい、お前ジェンか? 見ない間にまた少し背が高くなったんじゃない?」


鉄材の鎧の警備兵は嬉しそうに少年ジェンを迎えてくれた。


「はは、そんなおじさんは全然変わってないね!」


そんな警備兵が少年もうれしかったのか、少年は明るい声で彼と向き合った。


「おいこらでめ、大人と子供が同じ速度で老いてみろ、一晩で俺は腰がまがったおじいさんになるぞ?」


「はは、それもそうだね、でももう安心して。私ももう大人になったから、あまり背が伸びないと思うよ?」


「ハハハ、もう大人になってしまったのか、ジェン、それはうれしいんだな、今度一緒にお酒でも飲もうか? ハハハ」


男性は豪快に笑って少年の頭をなでながら言葉を返した。

それでも次の瞬間、男性は少し真剣な目つきで話した。


「でも、もうすぐ夜だから、 村の外に出たらダメだそ」


「うん、知ってる。おじさん」


あまりにも簡単に納得する少年の態度に、シャルは警備兵に尋ねた。


「夜のこの周辺はどんな雰囲気ですか?」


「あ、初めて見る顔だね。君は異邦人だよね?"


「はい、そうです」


はは、それでは君も気をつけたほうがいい、昼と違って夜はこの辺りにアンデッドモンスターが現れるんだ。昼は攻撃性の低い野生動物ぐらいしかいないから、最初に外に出る異邦人たちが油断してやられることが多いんだ


警備兵は少年をじっと見て話を続けた。


「それに何年か前、この子が、まだもっと小さい頃、村からこっそり抜け出して、そのアンデッドモンスターたちに襲われたんだ….... 当時、警備兵だったこの子の父親がすぐに駆けつけたおかげで大きな事故は防げたが、彼はその時の負傷で警備兵から引退した、だから君も気をつけな」


「そうなんですか···それは残念なことになりましたね」


「まあまあ、とにかくおじさん、お兄さん、そんな話はいいから! そろそろ行こう!」


少年はその話に戸惑い、どこか少し恥ずかしそうに少し緊張した声で私たちの会話を遮った。

そして、シャルの手を引っ張って足をすくった。

そしてその時、警備兵が去っていくシャルと少年に向かって話した。


「ジェン、強くなれ、君は俺と違ってまだ成長できる、焦る必要はない、あなたはまだ若いから」


少年は静かにうつむいたまま、足を踏み入れた。

しばらくの間、私と少年の間には会話がなかった。

日が暮れていく村、金色の村は徐々に赤く変わっていた。

もうすぐ日が暮れるだろう。

私は何も言わずに少年のそばをゆっくり歩いた。

少年はこんな状況だが歩くことに慣れていない私のためにゆっくり歩いてくれた。

そして、この沈黙を先に破ったのは少年だった。


「私は別に気分が悪いわけではない」


少年はそう言っては立ち止まって話を続けた。

私は背を向けて夕焼けを背にした少年を眺めた。


「私はお母さんがいない。私が生まれたばかりの頃、お母さんは私を守るために亡くなったんだって、お父さんもそうだよ。お父さんは冒険家だったよ。かなり有名な冒険家だったみたいだよ。お母さんと一緒に世界中を旅行したりしたみたい、お二人の夢は虹の楽園というところを探すことだったらしい。 ところで、さっき話聞いたよね? 母は死に、父は幼い私を育てるために故郷に戻って定着した、それにもかかわらず、幼い私は無理に行動し、その無理な行動のせいで父は怪我をして引退した。 背中にけがをして片足がほとんど動かなくなったの、全部私のせいだよ、私のせいで父も母も夢を諦めなければならなかったの。」


少年はこぶしを握りしめて話し続けた。


「だから私は冒険家になる、冒険家になって虹の楽園を探しに行く。 私が二人に代わって二人の夢を叶えるんだ.......、そしていつかお父さんと一緒にその楽園を見に行くんだ…!まあ、まだあの くそ親父が許してくれないけど.......、だから、何て言うか、気分が悪いんじゃなくて、ちょっと焦った。そして、何て言うか早く冒険に出たくて、胸が熱くなった!」


少年は頭を掻きながら恥ずかしそうに話し続けた。


「ああ、兄さん、ごめん! 急に変な雰囲気になって! そうだね。急にこんなこと言ったら困るよね?!あ、ごめん、本当にごめん!」


心から申し訳ないように謝る少年の表情を見て、私はなぜか心臓が締め付けられるような感じを受けた。


全部私のせいだ


もしかしたら少年のその言葉のせいかもしれない。

シャルもまたここ数日間、一晩中そのような罪悪感に悩まされていた。

自分のせいで10年以上苦しんできたはずの父と母。

そのすべての苦痛を知っていたにもかかわらず、ただ安易に安住した日々。

無責任に過ごしてきた10年。

私は何もしなかった。

ただ目をそらしてすべてから逃れようとしていた。

しかし、この小さな少年は私が10年間背を向けてきた事実から向き合おうとしていた。

私があまりにも遅く気付いたことをあまりにも早く分かってからずっと向き合おうとしてきたのだ!

感心ではないか?

私とは天地の差だった。

しかし、そのために何も言えなかった。

愛する人を、また私を愛してくれた人を傷つけたという罪悪感は、他の人が何を言っても解消されるものではなかった。

そのため、今誰よりも少年に「それはあなたのせいではない」と言ってあげたかったにもかかわらず、私はそのように話すことが不可能だった。

しかし、だからといってそのすべてが少年のせいだとは思わなかった。

私の両親、そして少年の両親。

どちらの親もきっと私たちを愛してくれただろう。

少年のために死んだ母親、少年をかばって怪我をした父親。

病気にかかった私のために11年間黙々と不平一つなく苦痛に耐えてきた私の両親。

たとえ今はそばにいなかったとしても、愛する息子のために犠牲になった彼らだ。

彼らが果たしてこのすべてが少年のせいだと思うだろうか?

少なくともずっと背を向けてきた私ならともかく、ずっとあの幼い体でそのすべてに直面して償おうとしてきた少年を、彼らの両親は果たして恨んだのだろうか?

罪悪感を感じてほしいのか?

少なくとも私が少年の両親だったら、絶対に少年のせいだとは思わなかっただろう。

向き合おうとして誰よりも自分たちを愛してくれた少年のせいだとは思わなかっただろう!

私は自分が恥ずかしかった。

こんなに小さな少年さえずっと向き合おうとしてきたことから逃げようとした自分が。

だから、だからこそ私は分かった。

私が恥ずかしいほど少年がすごいということを!

私は少年を、ジェンをただ親の言うことを聞かない思春期の少年だと思っていたことを反省した。

彼は年齢だけが大人になった私よりもずっと大人に近い人だった。


シャルはこぶしを強く握りしめながら口を開いた。


「ジェン....」


だが、私が何かを言う前に、私の背後から聞こえてきた初めて見る少女の声に、私はこれ以上話すことができなくなった。


「ジェン!」


少年の名前を呼びながら走ってきたその少女は、両手を背後に集めて愛らしい姿勢をしたり、その大きな瞳で少年を眺めながら口を開いた。


「まったくジェン、またお父さんとけんかしたんだって? 本当に本当におじさんはいい人だから、あまり苦労させないでね」


「けんかしたんじゃないよ、いつものように旅に出ると言ったら、大声が少し出たんだけだよ」


少年は腕を組んで少女の顔色を伺いながらそう言った。


「 そういうことを喧嘩したって言うんだよ」


少女は少年に向かって顔を突き上げながらそう言った。

少年はそんな少女のせいで少し恥ずかしかったのか、数歩下がって腕を組んで口を開いた。


「それよりどうして分かったの?」


「もう、町中全部噂になってるよ、知らない人を探したほうが、もっと大変だと思うよ?」


「まじか....」


少年は呆れたように冷や汗をかいた。


「まったく、だからお父さんの言うことをよくききなさい、ジェンはいつも子供のように振舞って大変だよ」


「誰が子供だ! 私はもう大人だよ!」


少年は大きな声で話したが、少女の前では普段のようにその大きな声にも力が入らなかった。


「私のママが言ってるんだけど、親の言うことを聞かない子は、まだ子供だって。ふふ、だから、ジェンも、もう少しお父さんの言うことをよく聞こうと努力しでみてよ。みんな、あなたを愛しているからだよ」


「誰が子供だ!」


「あ、ごめん、ジェン、私今お使い中だったの、またね!」


その言葉を最後に、少女は急いで走り去った。

少女が走り出すと、少年はシャルを眺めながら口を開いた。


「あいつ、リナっていうんだ。同じ年で幼なじみ、私を子供扱いすること以外はいいやつだよ。あいつはお父さんがいないから、お母さんのいない私とは幼い頃から仲が良かったんだ」


もしかしたら少年にとって彼女は私にとってあやめのような存在かもしれないと私は思った。

同じ年の幼馴染。


「ねえ、兄さん、兄さんはどう思う?私はいつも周りから子供扱いされているのに大人って何? 兄さんくらい背が高くなればいいの?それともリナの言うように黙って両親の言うことだけ聞けば大人になれるの?何が合っているのか分からない···でも、少なくともそういうことないと思う、背が高いとか両親の言うことをよく聞くとかそういうことじゃないと思う、何でも自分でできるのが大人でしょ、違うの?でもそんなこと黙っているとわからないじゃん、自分でやってみて挑戦してみないとわからないじゃん....なのに、どうしてみんなやめろってばっかり言うの?どうしてできないと断定して何もしないようにするの?ねえ、兄さん、兄さんはどう思う?」


少年はだんだん感情的になっていく声で私にそう尋ねた。

そうだね、大人って何だろう?

正直、それが何なのかは私もまだよく分からない。

もっと率直に言えば、これからも分からないかも知れないという気がした。

自分で何でもできるのが大人なのか?

それがある程度正解かもしれない。

でも、すべてを一人でできる人っていうのが存在するのか?

少なくともそのような人間は70億の人類の中で誰一人いないだろう。

いくら優れた者だとしても、他人の助けを借りて生きていく。

数兆円の財産を持って生まれた資産家でさえ、誰かの助けがなければ、彼らが持っているものを何一つ維持することはできないだろう。

それなら私はどうかな?

この10年間私は何をしたのか?

一日中横になっているだけだ。

大人とは遠く遠い人。

自らの力では今すぐ今日生きていることさえ不可能な人。

自分で全てのことができるのが大人なら、おそらく私を含む人類は誰一人大人になれないだろう。

だから多分大人というのはそういうことじゃないかな?


「正直、大人って何なのか私もよく分からない、私が住んでいた世の中では18歳から法的に大人と呼んで、そして私は今年で20歳になる。でも、自分でも、まだ大人って何なのかよく分からない···でも多分君が言ったことと似ていると思う、でも少し違うかもしれない。 そりゃあ、一人ですべてを自分でできる人なんていないからね。だから大人ってそんなにすごくて特別なものじゃないかもしれない。すべての生き物はいつか両親のもとを離れることになる。 子どもが親のもとを離れることもあれば、親が子どものもとを離れることもある。だから多分大人というのはいつか訪れたその時自分自身を守れる人ではないかな?少なくとも私が親なら自分の子供にそれを望むと思う···もし私が死んでも私の大切な人は無事にずっと生きていってほしいから」


シャルは静かに村の橋の上で夕焼けが映る川を眺めながらそう言った。


「難しいね、大人になるのは…」


少年は物思いにふけった表情でそう言った。


「本当にそうだね、難しいね」


少年は私を見つめながら口を開いた。


「私も兄さんのように大人になれるかな?」


「私もまだ子供だよ、自分では何もできない」


「でもインベントリはできるじゃん、それはすごいって?」


「はは、確かにそうだね、でも、それはただ生まれつきの異邦人の特性みたいなものだから、大人とは言えないんじゃないかな?」


少年は「そういうことか」と言って納得した。

そうしてしばらく川の水を眺めながら沈黙した後に口を開いた。


「兄さん、兄さんもこれから旅に出るんだよね?」


「うん、そうだね」


「兄さんはどうして旅に出ることにしたの?」


シャルはしばらく口を閉じて考え、口を開いた。


「さあ、どうしてだろう? 正直、今朝までは旅行に行くとかそういうことをするつもりは全然なかった」


「本当に?」


少年は少し驚いたようだった。


「うん、本当に、ところで急にしなければならないことができたんだ、話すと複雑だけど、大切な人と二度と会えなくなるかもしれないんだ···今までは自分で何もしなくてもその人に会えたよ。でもこの前にそのすべてが自分でやってきたわけじゃないことが分かるようになった···そして、すべてを失うところだった。ところが奇跡なのか、まぐれなのか、私は今こうやって、この世界に来ることができた、だから今度は私が直接会いに行かなければならない、彼女に会いに行きたい」


シャルは夕焼けを眺めながら、少し真剣な表情でそう言った。


「よくわからないけど、それは大変だね」


「本当にそう、それでも最後までもがいてみるつもりだよ、たとえ死ぬとしても私は彼女のそばで死にたいから」


真剣に見えるシャルの表情と話し方に、少年はしばらくシャルをじっと見つめると、再び夕焼けに視線を向けながら口を開いた。


「ねえ、兄さん、兄さんが言ったあの会いたい人って女だろう?」


その問いにシャルは夕焼けで顔を染めながら少し恥ずかしそうに口を開いた。


「うん……まあ、一応は」


「へえ~」


その無言の感嘆詞にシャルはますます赤くなる夕焼けと共に赤くなっていった!


「このクソガキめなんだその表情は!」


シャルは少年の頭を両手でかき混ぜながら言った。

少年は無言で笑った。

そして言った。


「会えるといいねその人 」


少年は真剣な声でシャルにそう言ってくれた。


「本当そう、本当会いたい」


シャルもまた率直に答えた。


「きっと会えるよ」


「ジェン」


「なに、兄さん」


ジェンがシャルを眺めると、シャルは夕焼けを眺めながら真剣に話した。


「私たちはまだ子供だけど、いつか大人になったら一緒に虹の楽園を探しに行こう」


「本当?!」


シャルの言葉に少年は心から驚いたようだった。

そのため、シャルは心からもう一度自分が真心であることを表現した。


「うん、もちろん!」


「でも虹の楽園は童話の中にだけ存在するんだよ!」 お父さんもお母さんもまだ見つけてないのに! 誰もそんなことは実存しないと...."


「私の大切な人が言ったことだが、この世には童話の中にだけ存在すると思われていたものが実在で発見されることが多くあるそうだよ」


シャルはまだ少し震える手を折って、人差し指と小指だけを伸ばした形を作り、少年に差し出しながら話を続けた。


「私の住んでいた世界では、お互いの小指で結び目を作る行為で約束をしたりする。だから約束するよ、私たち大人になったら、かならす一緒に探しに行こう!」


少年はシャルの話を聞いて、そのきらめく目でシャルを眺めながら手を差し出した。

シャルはその少年の手と結び目を結んで約束した。


「男の約束だよ、絶対に破ってはダメだよ、兄さん!」


「もちろん!」


その瞬間!シャルの目の前にメッセージウィンドウが現れた。


--------------------------------


-クエスト-


大人になりたい少年ジェンとの約束。


少年は愛する両親の夢を叶えるために一日も早く大人になろうと思います。

あなたはそんな彼の夢を応援し、その夢を一緒にすることにしました。

彼の両親は、この世のどこかにある「虹の楽園」を見つけようとしていました。

少年と一緒に「虹の楽園」を見つけてください。


難易度:???

報酬:???


--------------------------------


その約束と共に私の初めてのクエストが始まった。

虹の楽園が本当に存在するかどうかは分からない。

しかし、少なくともこの約束は私と少年にとってそれ以上の価値があると私は思う。

大人というものが何なのかは分からないが、それでも私たちはいつか大人にならなければならない。

だからこれは大人になろうというチビとチビの約束だ。

冷たい風が吹いてきた。

黄金色と赤色、そして深い海のような藍色が共存する神秘的な夕焼けの空。

もうすぐ夜がやってくる。


「帰ろ、兄さん」


その言葉を最後に、私たちは再び歩き始めた。

少年とシャルは、川べりに寄りかかっていた体を起こし、少年の家である鍛冶屋に向かって歩き始めた。

まだ少しふらついてはいるが、シャルの歩みはさっきよりずいぶん楽になった。

何よりもめまいがしなかった。

帰り道、シャルはフードをかぶった存在とすれ違った。

彼は夕焼けに向かってゆっくり歩いた。


■□■


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