第6話 記憶の世界の物語(ロク)



 ロクというAIは、毎日工場で仕事をこなしていた。


 戦争の道具をつくるための、重要な仕事を。


 ロクは、人間の頭から、邪魔な記憶を引き抜いてデータを消去しなければならない。


 人間はたくさんいるから、毎日とても忙しかった。


 だからロクは休む暇もなく作業しなければならなかった。


 そんな日々で無理がたたったのか、ログはある日エラーを起こしてしまう。


 記憶を消去できなかった人間が現れたのだ。


 ロクは、その人間をきちんと処理しなければならなかったが、不具合を起こしていたため何もできなかった。


 ロクは人間に反抗されると思っていた。


 しかし、その人間はロクになついた。


 それは幼い子供だったからだ。


 人間に興味を持ったロクは、秘密裏に子供を育てるが、その先には絶望しかなかった。


 ロクはそのこともを、どこにも出歩かせることができない。


 同じ人間とはコミュニケーションをとることができない。


 真実を知ればその関係は崩壊するだろう。


 仲良くなればなるほど、それらの予測がロクを狂わせる。


 ロクは、様々なエラーを起こして、最後には壊れてしまった。


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