第5話 青の世界の物語(青磁)



 青磁は深海の世界で暮らす青年だ。


 同じ世界で過ごす竜の言葉を翻訳しながら、人と竜の架け橋を構築している。


 青磁たちが生きている世界は、放っておくとどんどん深海に沈んでいってしまう。


 だから竜たちの力を借りて支えてもらわなければならなかった。


 借りがあるものの、人は竜と対等でいられた。


 竜が望む光というエネルギーを、与えることができたからだ。


 しかしある時、竜は人の上であると主張した。


 竜は「人を脅して光を作らせることができるからだ」と言う。


 しかし人は竜を脅せない。


 その後、竜たちは、人を支配するようになってしまう。


 青磁は精一杯言葉を尽くして、彼等と対等であろうとした。


 しかし竜たちは会話すら拒絶したので、何も語れなかった。


 言葉が一つもないなら、何もできない。


 今まで誰かの役に立っていると思っていた青磁は絶望し、暗い深海の底に身を投げた。


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