第19話 ここが変だよ中国料理

 皆様、ごきげんよう。


 皆様はどこの国の料理がお好きだろうか。

 私は中国料理が一番好きだ。 一度だけ出張で行ったことがあるのだが、本当に何を食べても美味しかったのだ。


 一週間美味しいものを食べ続け、最終日の朝に体の軽さに気付き、体重計に乗ったところ3キロも痩せていたのにも驚いた。 脂っこい料理が多いイメージだったが、実際にはそうではなく、栄養バランスが取れた良い食事だったと思う。

 あの衝撃は二度と忘れられない。


 そんな食事を堪能した出張だったが、唯一引っ掛かっていたことがあったのだ。

 2日目の夜に連れて行ってもらったお店で出てきた、黒い獣の肉料理のことだ。 一緒に行った中国人が注文をしてくれたのだが、やたらニヤニヤしながら勧めてきたのだ。

 私の他にもう一人、同僚も行っていたのだが、彼は何かを察知したようで拒否をしていた。

 私は別にゲテモノが嫌な訳ではないので、躊躇なく口に運んでみたのだが、歯ごたえのある豚肉のような味であった。 いや、豚肉より美味しかったかもしれない。


「これは何の肉?」


「知らない方がいいですよ……」


 私の問いに彼は真顔で答えた。 いや、本当に美味しかったから知りたかっただけなんだけどね。

 結局、分からずじまいのまま、モヤモヤしたものを抱えて帰国の途についたのだった。


 それから時が過ぎ、新型コロナが中国で発生し、猛威を振るった。

 テレビではコロナの原因がコウモリではないかと報道し始めて、コウモリ料理の映像が流れたのだ。


 あっ、これだ!

 私の中でずっと謎だった黒い獣の正体が判明した瞬間であった。

 そっかあ、もう二度と食べられなくなったか……美味しかったのになあ。



 今回は、そんな思い出のある中国料理について語っていこうと思う。


 その前に定義をきちんとしておくと、『中国料理』と『中華料理』は別物だということをご存知だろうか。

 『中国料理』とは主に中国で作られている料理のことで、『中華料理』とは日本で作られている中国風料理のことである。

 だから、町中華と言われる店で食べることができる、ラーメン、餃子(焼き餃子)、天津飯、麻婆豆腐などは日本で生まれた料理であることがよく知られている。

 私の大好物である『回鍋肉』も、中国のものとは食材がかなり異なっている。 これは手に入る食材が日本と中国とで違うためだ。


 ちなみに、日本は中国文化の影響を多く受けているので、同様の事例はいくつも存在している。

 私は『薬膳・漢方検定』という試験に合格しているのだが、テキストの最初に『漢方は中国起源ではあるが、日本で独自発展したものである』という趣旨の文が書かれていた。

 また『少林寺拳法』も日本発祥で、日本に総本山が存在する。 『カンフーハッスル』や『少林サッカー』で有名な『少林拳』とは、似て非なるものなのだ。


 日本は魔改造民族なので、日本に存在する中華風を中国と同じものだと認識しがちだが、これは非常に危険だ。

 なぜなら、中国人が作っているのだから。

 英国人の料理もひどいものばかりであったが、彼らはベクトルの異なる狂気を持っているのだ。


 なお、今回も★で独自評価を付けているが、これはヤバさのバロメータだと思っていただきたい。



【段ボール&ゴミ入り肉まん ★★☆☆☆】


 2007年頃に話題となった、禁断のメニューである。

 段ボールを水酸化ナトリウムでボロボロにしたものを煮込み、肉と混ぜて作ったとされる。

 当時の北京では出稼ぎ労働者が相当数いたのだが、彼らは貧しく、本場の肉まんをよく知らないため、露天で販売したら爆売れしたようだ。

 また、近くの店で残飯として出された生ゴミや、紙も食材として使用したとされている。


 後に『テレビ局のやらせだった』との報道がされたが、そこはお察し。


 段ボールは調理法次第では食べられなくもないので、★2つ。

 水酸化ナトリウムを使っているのだが、その後に煮込んでいるのでギリギリセーフかもしれない。

 インクの残渣がどれくらいなのかが気になるところ。



【プラスチック米 ★★★☆☆】


 2015年に東南アジアで問題となった食材である。

 製法はじゃがいもとサツマイモを溶かし、ポリ塩化ビニルで米の形になるように固めるというもの。


 炊いたら食べられないことが分かるので、★3つ。 惜しい。


 余談だが、日本では余った米からプラスチックを生み出す技術が存在している。

 セクシー担当大臣が『意外と知られていないのですが、プラスチックは石油からできているんです』と言ったことがあったが、正しくは『意外と知られていないのですが、プラスチックは石油の成分であるナフサや、余った米などのバイオ原料からできているんです』である。 ここまで言えば、笑われることは無かったであろう。 つくづく残念である。



【メラミン粉ミルク ★★★★☆】


 2008年に登場し、日本でも『コアラのマーチ』などが販売できなくなる問題を引き起こした。

 牛乳の量を不正に増量するため水で薄めていたのだが、これではタンパク質の相対量が減ってしまうため、メラミンを混入させてタンパク質を多く見せかけていたとのこと。


 メラミンは少量であれば健康を害するほどではないらしいが、粉ミルクにも使用されていたため、乳児が腎臓結石や急性腎不全になったとされている。

 小さい子供の命より自分の利益を優先するとは、とんでもない! ということで★4つ。



【地溝油 ★★★★★】


 中国の闇市場で流通している禁断の油。

 植物性? 動物性? いえいえ、下水道産だ。


 工場などの排水溝や、下水道に溜まっているクリーム状の油を再生成すると、あら不思議……地溝油の出来上がり!

 普通に流通している食用油の半値で手に入ることから、怪しい飲食店で使用されていたとされている。

 2011年の調査では、レストランの1割が地溝油を使用していたというのだから、驚きだ。 なんと高級レストランでの使用例もあった。


 食品だけでなく、石鹸やプラスチックの原料として、バイオディーゼルやガゾリンの代替としても使用されていた。

 どうやら、世界最大のSDGsを実現しているらしいということで、★5つ!



【コウモリ ★★★★★★★★★★】


 最後は、私が愛した食材を挙げねばならないだろう。


 ハッキリ言おう。グロい。明らかにヤバい見た目をしている。

 良く食べられていた食材らしいのだが、全て野生なので、若干……妙な匂いもする。


 だが、味が良いのとコリコリとした食感が、新鮮な味わいである。

 残念な点は、人間に感染するような病原体の宿主となる可能性が高いとされていることだ。 実際、新型コロナの原因との説がある。

 そういや、エボラ出血熱もコイツが原因であった。


 言うまでもなく、リスクが高い食材なので、★10!


 ――


 まだ色々な料理がありそうだが、今回もこのくらいにしておこうと思う。


 改めて感じるのは、中国人の偽造技術の高さに驚く。

 段ボールをじっくり溶かしてみたり、下水道から油を掬ってきて精製したりと、発想と労力のバランスが何かおかしいのだ。


 結論としては、やはり『日本の中華料理店が最高』である。

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