第4話 正体不明の有名人①
皆様、ごきげんよう。
私たちの住む日本国は2600年の歴史を持つ世界で最も長い国としてギネスブックにも登録されている。
そんな長い歴史を持つ国であるが故に、歴史上の有名人も多いのだが、『あれっ、この人何をした人なんだっけ?』という人もいたりする。
今回はそんな、『誰でも知ってる有名人なのに、実はよく分からない人』を挙げてみようと思う。
有名人なのに知らないとか、そんな矛盾した話ってある?
そう思うかもしれないが、意外とそんな適当なものなのだ。
まず紹介したいのは『神武天皇』だ。
言うまでもなく、日本国の初代天皇とされている人物だが、昔すぎて実在が確認できてもない。
考古学的に実在が確認できている最古の天皇は第21代の雄略天皇なので、そこからさらに20代も昔の人物となってしまうのだ。
ここでは、あえて実在した体で紹介するのでご理解いただきたい。
天皇陛下は『神武天皇』の子孫にあたり、父を遡っていくと『神武天皇』に行き着くとされている。
科学的な表現をするならば、男性はXYの性遺伝子を持つが、そのY遺伝子は父からしか受け継ぐことができない。
つまり、今上陛下のY遺伝子は『神武天皇』のY遺伝子であると言える。
皇室を語るうえで『男系』が重視されているのは男女差別ではなく、こういった科学的な理由が実は大きい。
そんな『神武天皇』の解説に移ろうと思う。
古事記の終盤、天照大御神(あまてらすおおみかみ:最上位の女神)に命じられ、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)という神は地上に降りて統治することになる。
その瓊瓊杵尊の孫にあたる4兄弟が日向の地(現在の宮崎県と言われている)におりまして、大和の地(奈良盆地)を目指す。
これを『神武東征』と言い、最終的に成功はするのだが、4兄弟の末の子以外は戦いで命を落としてしまう。
残った末の子が『神武天皇』となり、ここから日本国の歴史が始まるのだ。
『神武東征』は大和の地に入ってからは戦続きとなるのだが、大和に至る他の地では極めて平和的に振る舞っていた。
稲作を伝えたり、その土地の有力者と婚姻関係を結ぶなどで味方を増やしたようだ。
魏志倭人伝には『日本には100の国がある』と書かれていたが、それを短期間で統一したのは婚姻を利用した平和的な統合だったのだ。
さらに、古事記によれば、天照大御神より『民の声をよく聞くように』と申し付けられており、合議制で決めた内容を天皇が決裁するという仕組みが古来から存在していたことが伺える。
これは現在の天皇の役割とほぼ同じであり、建武の新政などいくつかの例外もあるが、天皇が直接を政治を行わないというルールが徹底されていた。
他国の王室といえば絶対王政だが、似ているようで全然違う。
ちなみに、院政というものもあるが、これは『天皇は直接政治を行えないから、譲位して天皇ではなくなった後に権力を振るう』というルールの抜け穴を利用した方法だったりする。
ということで、『神武天皇』の偉業を説明したのだが、困ったことにイジるポイントが見つからなかった。
さすがに天皇でイジるのは不敬だと思うので、どうか容赦してほしい。
次に紹介したいのは『二宮尊徳』だ。
幼名は『二宮金次郎』であり、こちらの方が有名だろうか。
薪を背負った像で有名だ。
近年では歩きスマホに繋がるとして、撤去されたり、座らせられたりしている不憫な扱いを受けていることでも知られている。
ちなみに『二宮金次郎』は勤勉で有名だが、薪を背負って勉強した話はないようだ。
『二宮金次郎』の生まれ育った小田原では薪を運ぶ際に竿で吊るして運んだとされていて、そもそも背負ってすらいなかった可能性もあるらしい。
そんな適当な像が作られたのは明治に入ってから。
勤勉の象徴として適当に想像して作ったところ、学校教育に熱心だった明治天皇が気に入って購入したため、その噂を聞いた全国の学校が導入したとされている。
私は、像といえば『ハナ肇』なのだが、これは完全におっさんホイホイなので、知らないあなたはきっと若者なのだろう。
その若さを是非大切にしてほしいと切に願うばかりだ。
『二宮尊徳』の解説に入る。
実はこの読み方、本当は『たかのり』なのだ。
みんなうっかりしすぎではないだろうか。
まさに『うっかり タカノリの 期待の楽園』といったところだ。
おっと、またおっさんホイホイを仕掛けてしまったようだ。
話を戻そう……。
『二宮尊徳』は小田原の農家に生まれる。
父が早くに亡くなってしまったため、一気に貧乏となって家も失うが、数年で失った物を全て取り戻すほどの才能を見せる。
その才能を評価した重臣に取り立てられ、武士として藩主に仕えることとなる。
尊徳の仕事は農政改革で、最終的に600以上の村を復興させることに成功する。
ナスの味で飢饉が来ることを察知し、作物を変えさせるなど、その知識と判断力が素晴らしい。
だが、農民出身故に妬まれ、邪魔ばかりされてしまう。
特に『豊田正作』という稀に見るレベルのクソ野郎が、あらゆる嫌がらせを行い、改革の邪魔を行った。
あまりにひどい嫌がらせに、現場を放棄して成田山に引きこもったりもする。
いつの時代にも妬みというものがあるものです……。
そして、晩年……。
ピンチの尊徳の前に救いの手を差し伸べる者が現れる。
そう、あの『豊田正作』というクソ野郎だ。
まさかの改心をして、ここから完全に味方になるのだ。
敵が味方になるのは少年ジャンプでありがちな展開だが、ここまでのクソ野郎が味方になるのはなかなか想像できないレベルじゃないだろうか。
実際、私は同姓同名の別人かと思うほどの変貌ぶりに、大いに戸惑った。
これが小説だったら、コメント欄は大炎上間違いなしだ。
さすがに、少年ジャンプでもここまでの豹変はないだろうが、事実は小説より奇なりということなのだろう。
結論となるが、『二宮尊徳』とは、そんなクソ野郎を改心させるほどの徳を持っていた人物と覚えればよいだろう。
このテーマは長くなりそうなので、続きは次回としたい。
次回、『99%以上が名前を知っていそうだけど、99%以上が何をしたのか知らない』であろう、子供でも知っているあの有名人を取り上げるつもりだ。
是非、その有名人を予想してコメント欄に書いて欲しい。
当たった方がいれば、次回の本文中で褒め称えさせていただくつもりだ。
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