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病名にも同じようなものがあります。
首にある「甲状腺」という臓器の中に埋もれている小さな「副甲状腺」という組織があります。副甲状腺はカルシウム、リンの代謝に関与し、骨の維持などに関係している「副甲状腺ホルモン(Parathyroid Hormone:PTH)」を分泌しています。何らかの原因で副甲状腺ホルモンの分泌が低下した状態を「副甲状腺機能低下症」と呼びます。この疾患は血液中のカルシウムやリン、副甲状腺ホルモンの値を調べることで診断できます。
ホルモンにはそれぞれ、作用する細胞には「受容体」と呼ばれる、ホルモンを受け取り、その信号を細胞内に伝えるものが存在します。受容体の遺伝子異常で、PTHを受け取ることができなくなると、血液中のPTHが正常値でも、カルシウム、リンの代謝がおかしくなります。副甲状腺はしっかり働いているのに、「副甲状腺機能低下症」の症状を呈するので、「偽性副甲状腺機能低下症」という病名がついています。
副甲状腺ホルモンは、カルシウム、リンの調整のために骨にも作用するため、偽性副甲状腺機能低下症の中には、「オルブライト遺伝性骨異栄養症(Albright's Hereditary Osteodystrophy:AHO)」という骨形成異常のため、特有の体型(AHO体型)を取る人がいます。
さらに、これまた遺伝子異常で、上述のAHO体型をしているにもかかわらず、カルシウム、リンの代謝は正常(副甲状腺ホルモンは正しく働いている)疾患があります。この疾患は「偽性副甲状腺機能低下症」に似ているが、異なる疾患なので、「偽性偽性副甲状腺機能低下症」という病名がついています。
英語にすると"Pseudopseudohypoparathyroidism"というずいぶん長くて読みにくい病名になります。
医学生泣かせです。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
なるほど、そっくりですね!
偽性偽性って……。
ちょっとくすっと笑いながら、知識が増えていくのは嬉しいです。
舌噛みましたwww
作者からの返信
コメントありがとうございます。
こんな名前を付けてしまった学者の罪は重いですね。