vsハイオーク
昼食を食べ終えて、更に先へと進む俺。
今のところオーク以外の魔物が姿を現す事は無く、問題なくオーク達の対処を済ませていた。
慣れているというのも大きいが、やはり塔の世界と外の世界では魔物の強さが段違い。
多分ワンランク上の魔物が相手でもやり方さえ知っていれば、ある程度は戦えるだろう。
そんなこんなで8体目のオークを撃破すると同時に、スキルカード報酬が配られた。
「んお?(中)の効果を持ったスキルカードがあるな。こっちも倒す魔物の量が多くなったりしてたから、その分報酬も豪華になったってことか?」
第二の試練でもあまり見かけない(中)の効果を持ったスキルカード。
塔は不親切なので倍率や強化値が見れないのが痛いが、それでも明らかな強化の違いを感じるほどには(中)の効果は大きい。
スキル1のクールダウン減少(中)なんてものを見たら、取らざるを得ないのが俺という人間なのだ。
何気にクールダウン系のスキルカードが足りてないなと思っていたので、素晴らしいタイミングである。
しかも(中)のクールダウン減少。期待しないわけが無い。
もう少しクールダウンが引けていたら、無限刺突編が始まっていたな。
百裂突きとかできそう。
あ、いや、魔力の関係で無理か。
「クールダウン系のスキルカードってかなり有用だけど、スキルを使いすぎちゃうんだよなぁ。そこを管理するのが腕の見せどころなんだけどさ」
俺はそう言いながら、さらにトコトコと洞窟の中を進んでいく。
かなり洞窟の中を進んできたし、そろそろ終わりが見えても良さそうな気がする。
一応洞窟の調査なん出し、最深部まで見てから帰ろうと思っているのだが........まだかな?
一応、分かれ道がある度に右へと進む事を徹底しているため、帰り道に迷うことは無い。
エレノワールに耳にタコが出来るほど言われたからな。“分かれ道があったら、必ず決まった方へいけ”と。
本当に心配性なクランマスターだ。仲間思いと言えば聞こえはいいが、アレは完全にモンスターペアレントの類だぞ。
絶対家庭を持って子供が出来たら、毎日のように学校に電話をかけるよ。
その子供枠が俺やリリー、ニアと言った子供組な訳だ。
そうなるとムサシはお父さんかな?
現代日本で侍を目指すとかいう訳のわからないことをやっていたムサシだが、意外と面倒見はいいし父親適正高いよな。
リリーやニアもかなり心を許しているし、本当にお父さんかもしれん。
エレノワールと喧嘩をしているが、夫婦喧嘩として見れば確かに一つの家族のようにも思える。
国の英雄と呼ばれながらもその行動が問題児すぎて尊敬されない母親と、頭のネジがぶっ飛んだ父親か........ちょっと嫌だな。
「ハハッ、2人に言ったらマジで怒られそうだな」
そんなことを思いながら歩いていると、またしてもオークの影が見える。
またかよと思いつつ、槍を構えて俺はその違和感に気がついた。
あれ?なんかデカくね?と。
「グヲォォォォォ!!」
「槍投げ!!」
雄叫びを上げてこちらへ向かってくるオーク。俺はいつとのオークとは明らかに違う事を察すると、素早く槍をぶん投げる。
六槍の構えは現在展開中。弾の補充は十分だ。
飛んでいく槍がオーグの肩を貫く。
先程までのオークならば、これで動きを停められたが、このオークは槍を物ともせずに突っ込んできた。
「この明らかにデカイ図体と、オーク以上に高い耐久力........上位種のハイオークか!!」
街を出る前に教わった、ここら周辺に出てくる魔物の中でも警戒すべき相手ハイオーク。
オークの上位種とされており、見た目はそこまで変わらないが体格がとても大きい事で有名である。
その分力も強く、力自慢の攻略者が真正面から攻撃を受け止めてそのまま叩き潰されたなんて事例もあるらしい。
まぁ、それは塔の中の話だから、そいつはまだ生きているらしいが。
「刺突!!扇!!」
「グガッ!!」
俺はハイオークの一撃を避けると、カウンター気味に攻撃を繰り出す。
顔面を狙った突きは、さすがに危険だと思われたのか避けられてしまったが、その後繰り出した扇によってハイオークの腕を切りつけることに成功した。
「........ッ!!硬ぇ!!どんな筋肉してたらこんなに固くなれるんだよ!!ポヨンポヨンな腹をしている癖によぉ!!」
「グゴォォォ!!」
“この素晴らしい体型をバカにするんじゃねぇ!!”と言わんばかりに、こちらに突進を仕掛けてくるハイオーク。
だが、俺はその行動をちゃんと読んでいた。
毎回毎回初見殺しに引っかかると思うなよ。俺も多少は成長するんだよ!!
「刺突!!」
「グガァァァァァァ!!」
早速クールダウン減少のカードを取得した恩恵が生きてくる。
スキル1を素早く回せるお陰で、おれはハイオークの目に槍を突き刺してやる事が出来た。
流石のハイオークといえど、これには悶絶。
貫けなかったのは痛いが、それでも勝利の天秤は俺に傾いている。
「槍投げ槍投げ槍投げ、刺突!!槍投げ扇!!六槍の構え、槍投げぇ!!」
槍のスキルの強みである、スキル3槍投げによる盤面制圧。
クールダウンの存在しないこのスキルを主軸として、俺はとにかく槍を投げまくりつつその間にクールダウンが上がったスキルを乱発する。
体内にある魔力がごっそりと持っていかれる感覚があるが、ここで倒しきらなければ俺が死ぬ。
多少無理をしてでもここはハイオークを仕留めるべきであった。
「オラッ!!さっさと死ね!!」
「ゴピュ........」
最後は脳天に一撃。
頭が潰れたハイオークは一切抵抗できず、そのまま地面に倒れ込む。
念の為俺は槍でハイオークの後頭部に刺突をして反応がないのを確かめると、一息ついた。
「ふう。頑丈なだけでそれ以外は特に問題なさそうだな。クールダウン減少のスキルカードを引いてなくても割と何とかなったかも。使い勝手は良かったけども」
やはり手数。手数は正義。
一撃で相手を殺す火力も素晴らしいが、何かと小回りが効く手数武器も悪くないよな。
いや、槍は手数武器ではないんだけどさ。
槍投げとか言う便利スキルが悪い。こいつがあるから、俺の扱う槍は手数武器のようになってしまうのだ。
「念の為に展開した六槍の構えは要らなかったな........ここは経験不足って感じか。もっと効率よく魔力が使えるようにならないと」
今この瞬間、もう一体ハイオークが出てきたら大変なことになっている。
多分全力で逃げながら、牽制としてやり投げを打つだけの相手からしたらガチでウザイ敵となっていたはずだ。
「とりあえずちょっと休憩。魔力が戻らないことには始まらないな」
俺はそう言いつつ、血塗れのハイオークの上に座る。
そして討伐照明の部位として耳を切り落として回収しておいた。
確か牙とか骨も金になるらしいが、こんなでかいやつから取り出すのは面倒臭い。
塔の報酬システムって結構便利なんだなと感じた瞬間でもあった。
「魔石を取り出すのもいいや。めんどくさいし........金になるのは知ってるけど、やり方も知らなければ1人だしな。普通に危ないか」
ハイオークの魔石は大きく、かなりの金になる。が、自分の命を掛けてとるほどのものでは無い。
それよりも今は魔力回復である。
「これなら魔力ポーションをいくつか売らずに取っておくべきだったか。そしたら、金が浮いたのに」
俺はそう言いつつ、次塔の報酬で得た魔力ポーションや回復ポーションは取っておこうと思うのであった。
さて、魔力も半分以上回復したし少し先に進むか。
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