増える金の使い道
使えないゴミのようなオーブを掴まされた俺は、半ギレしながらも何とかエリートステージを攻略した。
最初にアルマジロンが直角に曲がってきて一撃食らうと言う事態が発生したものの、当たり所が良かったのか即死するような事がなかったのは運が良かったと言えるだろう。
被弾=即死である俺の紙耐久でも、運が良ければ生き残ることが出来るそうだ。
回復ポーションを持ってなかったら間違いなく死んでいただろうが。
回復ポーションってやっぱり重要だよ。勝てない相手が出てきた時にゴリ押しで突破できるし、事故が起きた時もある程度のケアが出来る。
これがあるから、ポーションの類ってある程度は確保しておいた方がいいんだよな。
結果的に使わなかったとしても、持っておくだけで保険になるし。
だがしかし、金を出してまで買うかと言われるとだいぶ怪しい。
例えばスタン(混乱)系のポーションがあり、相手の攻撃を強引に止めなければならないとか言う必要が絶対にある場合でもなければ買おうとはあまり思わないのだ。
だって金払って自分を強化した方が絶対にいいし。
相手の攻撃を止める必要があり、その止める手段としてポーションが必要とかでなければ俺はポーションを買うようなことはしない主義であった。
なんか勿体なく感じてしまうんだよな。
ここはプレイヤーの性格が出るところとも言える。
できる限り事故を減らすためにポーションを買い込んでおくやつもいれば、事故った時は事故ったときで諦めようと言う事で自分の強化を優先する奴もいる。
ローグライクに正解はない。
クリアできるのであれば、その攻略法のどれもが正解なのだ。
この自由度の高さがローグライクの魅力の一つと言える。まぁ、ある程度やり込むと自分の中の定石が必ず生まれるのだが。
「フゥ。これで第六階層をクリア出来るな。まさか、三回も死ぬとは思ってなかった........」
報酬でゴールドやらスキルカードを獲得し、その内容を見ていく。
こんなに苦労したのに、得られたゴールドが下振れて11ゴールドしか貰えてないのは悲しいが、オーブはいい感じのものが手に入ったので良しとしよう。
「初めて(中)の効果を持ったオーブが来たな。攻略する階層が高くなったから開放されたのかな?」
今回得られたオーブは、消費魔力減少(中)のオーブ。
ここに来て、初めて(中)の効果をもったオーブが手に入った。
今まで(極小)やら(小)で戦っていただけに、(中)を見るととても強そうに感じる。
これ、数値がまるで分からないから、どのぐらい消費魔力が抑えられるのか全く分からないんだよな........おい、塔くん。頼むから数値を出してくれ。
塔は兎に角不親切だ。
スキルの効果やオーブの効果もだいぶ曖昧なものが多いし、強化の倍率(%)が分からないからどれだけ強くなっているのかも分からない。
ダメージ表記すらないのだから、不親切にも程がある。
ローグライクやってていちばん楽しいのは、頭のおかしいダメージを強引に叩き出す所だろうがよ。
「まぁ、あまり期待しすぎないようにするか」
少なくとも、今までのオーブよりも効果が高いのはわかっている。
俺は、それさえ分かっていれば十分だと言わんばかりにお楽しみの買い物タイムへと向かった。
第二の試練も第一の試練と同じく、最初の階層の最後のステージが商店となっている。
ここでできる限りスキルを整えておきたい。
何せ、次に商店ステージを踏めるのは何時になるのか分からないのだから。
確実に商店を踏めるのはここだけである。だから、序盤の金稼ぎが重要になるんだよな。
「お?商人の姿は変わらないんだな。やっほー元気にしてた?」
「........」
「無言かよ。ちょっとは話し相手になってくれてもいいのに」
第一の試練と見た目が変わらない商人。
黒いローブを身に纏い、フードを深く被っていて姿は見えない。
そんな商人に話しかけてみるが、やはりと言うべきかまるで返事をしてくれなかった。
話し相手になってくれてもいいじゃないか。唯一のお客さんだぞ?そんな釣れない態度をしていたら、売れるものも売れなくなっちゃうよ。
「期待するだけ無駄か。さて、品ぞろえを見せて頂戴な」
ウィンドウを開き、俺は早速買い物を始める。
現在の持ち金は28ゴールド。
オーブが15ゴールドで、スキルカードが6ゴールドなので、最大でオーブ一つとスキルカード二つを購入できる。
いい感じのオーブが出てくれると助かるなぁとか思いながら、商品を眺めていると俺の目がある一点で止まった。
........え、マジかよ。こんなにお金がカツカツなのに、さらに搾り取ろうとしてくるぞこの商人。
「武器だ........武器が売られてやがる」
ポーションの類の横に二つほど新たな項目が追加されており、そこには槍が売られていた。
一つは強靭な槍。もう一つは、軽い槍である。
えぇ........武器まで売ってんのこれ。金の使い道が増えたんだけど。
ローグライクゲームにおける武器は、ゲームによって扱いが異なる。
ゲームクリアまでずっと固定で使い続けるやつもあれば、自分で素材を集めたりした強化を繰り返し最強の武器を作るなんて事もあるのだ。
その中にはもちろん、武器の購入というのも含まれており、この第二の試練では武器の購入ができるようになっている。
つまり、武器を変えて強くなりましょうねと言っているのだ。
お値段なんと、20ゴールド。
あまりにも高い。オーブよりも高いやんけ。
「でもそれだけ高いって事は、もちろんオーブよりも強い効果が期待できるって事だよな?」
俺はそう言いながら、武器の情報を確認してみる。
流石に塔も武器の情報すら隠すような意地悪はしてこなかったようで、普通に武器の情報を見ることが出来た。
「ふむふむ。強靭な槍は自身の攻撃力を(極小)アップ。軽い槍は自身の素早さを(極小)アップさせるものなのか。相変わらず倍率やら数値が書かれてないせいで、オーブよりも効果的なのかどうかが分からんなぁ........」
槍の効果はほぼオーブと変わらないと考えていいだろう。
この槍の効果を見るに、多分レアリティが低いんじゃないかなこの武器達は。
今後、さらに強い武器が出てくるとなればオーブを買うよりも圧倒的に強くなれるだろう。
「ところで、自身の攻撃力アップの場合ってのはスキルにも適応されるのか?スキルの威力も上がるなら、オーブよりもこっち優先なんだけどな」
現在はとにかく火力が足りていない状態。
タイマンだから何とかなっているが、ここから先複数体を相手にしようとすると間違いなく俺が不利になって負ける。
二体三体を同時相手にした日には、速攻で死ねるだろう。
ホーンラビットの洞窟で嫌という程思い知ったからね。
「まぁ........今回も死ぬ気で来てるし、試しに1本買ってみるか。強靭な槍を買おうかな」
俺は悩んだ末に強靭な槍を購入。
すると、俺の持っていた槍が消えて少しだけ綺麗な装飾が施された槍がその手に納まっていた。
「ん?ウィンドウの中に俺が持ってた武器が追加されてんな。所持アイテムとして持っていた武器が残る仕様なのか」
消えたアイテムはロストかなとか思っていると、そんなことは無かったようで、ウィンドウのアイテム欄の所に持っていた槍が追加される。
予言しよう。これはどこかで絶対に強化素材として使う時が来るとみた。
武器が残る。つまり、武器の使い道がまだ残されている。
となれば、合成して武器を強化するぐらいしかやることは無い。
「これ、武器集めも重要になるかもしれんなぁ........」
金の使い道が増えた上に、新たな要素の追加。
俺は、自然と笑みを零しながら余ったお金でスキルカードを買うのであった。
後書き。
武器ガチャやってる時が一番楽しい。ちなみに、スキルカードやオーブよりも武器の方が大事なんてことはザラにある(もちろんスキルカードやオーブの方が大事な時もある)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます