中ボス戦(第三階層)
商店でお買い物を済ませた俺は、その後戦闘ステージを1つ攻略してボス戦へとやってきた。
商店で強くなった俺を、ただのエリートでもなんでもない奴らが止められるはずもなく。スキル2とスキル3を連打するだけで割とあっさり勝ててしまう。
スキルを主体として戦う場合は、二つほど強化するスキルを搾った方が良さそうだな。
全部のスキルに強化を割り振れるほどのリソースが無い。
今後もこの塔の試練に挑むのだから、攻略の仕方はちゃんと考えておいた方がいい。
俺はそう思いながら、ボス戦へと足を踏み入れた。
『第三階層ボスステージ。緑に染まる始まりの試練。クリア条件、全ての敵の殲滅』
今までのステージとは違い、このステージは名前だけでどんな魔物が出てくるのか分からない。
今までは分かりやすい名前のステージだったのに、急にカッコイイ名前に変わる。こういうの結構好きなんだけど、塔君もしかして俺の趣味分かっててやってる?
そんなことを思いながら、俺は片手剣を握りしめ盾を構えながらボスの配置を確かめる。
「ゴブリンか。俺にはまだ気がついてないようだな」
今回現れたのは、ゴブリン達。
しかし、今までのステージにでてきたゴブリン達とは違って、その装備があまりにもしっかりとしていた。
防具をつけているようには見えないが、持っている武器が棍棒では無い。
巨大な盾を持ったゴブリンが5体。そして、その後ろに弓持ちが三体。鉄の剣らしきものを持ったのが5体、そしてほかのゴブリン達と明らかに見た目が違うゴブリンが一体である。
あの見た目が違うゴブリンがおそらくはボスだ。
子供ぐらいの大きさであったはずのゴブリンの中に、大人のゴブリンが混ざっている。
なんという名前のゴブリンなのかは知らないが、とにかく強そうであった。
「とりあえず遠距離攻撃持ちを潰すところから始めないとな。話はそれからだ」
俺はそう言いながら、ゴブリン達に知覚されないように距離を取りつつ裏へと回り込む。
ちなみに、バリアのオーブの効果で一度は攻撃を無効化できる。どうやら、“その戦闘”と言うのはステージ毎にという意味だったらしい。助かる。
場合によっては、バリアを犠牲にした戦い方も考えないとな。
そう思いつつ俺が大きく回り込んでいると、一際大きなゴブリンが何やらこっちに指を指していた。
「マジか。この距離を探知されるのか」
声が聞こえないほどに遠くから移動していたの言うのに、もうバレたのか。ステージが平原だったとは言えど、ほかのゴブリン達よりも索敵能力が高いのは言うまでもない。
しかも、厄介なことにちゃんと纏まって統率の取れた動きをしている。
司令塔としての役割も持っていそうだ。
「弓持ちを優先的に排除したかったけど、それは無理か?いや、回り込みながら攻撃すればワンチャンあるかもな」
俺はそう言いながら、ゴブリン達の攻撃が届かない場所まで近づくと背中を取るようにグルっと大きく回り込む。
「グガァ!!」
「グギャ!!」
が、しかし、奴は頭がかなり回るらしい。俺がいちばん警戒しているゴブリンの弓持ちを守るように、盾持ちに指示を出して俺の動きに合わせて盾を動かしていた。
こうなると、先に弓持ちを討伐するという手段が取れない。
俺はこれ以上の駆け引きは無理があると判断し、小手調べとして相手の攻撃範囲内に入りつつもスキルを使用した。
「振り下ろし!!」
「グギッ!!」
剣が描くは斬撃の炎。
炎を纏った斬撃だったが、その一撃は盾によって防がれる。
「チッ、あの盾邪魔すぎるな。何とかして盾を剥がさないと勝てないぞ」
「グガガ!!」
俺が苦虫を噛み潰したかのような顔をしていると、ボスゴブリンがなにやら指示を出す。
そして、上から矢が降ってきた。
距離はまだ遠い。ならば、逃げるのみ。
「よっと」
俺は落ちてくる矢を避けつつ、再び射程の範囲外に出て作戦を立てることとした。
相手は盾を必ず構えており、こちらが攻め込んでこない限り警戒を続ける。
奴らは分かっているのだ。俺が攻めてこない限り負けは無いと。
そして、攻めてきたら弓矢で迎撃、さらに近づけば剣を持ったゴブリンとボスが対処してくるだろう。
ほかのステージと比べて、あまりにも難易度が高い。
こういうステージは倒し方の確立ができるようになると楽なんだよなぁ。初見は苦戦しまくるタイプだ。
なお、いちばん厄介なのは単純に強いやつ。
ステータスのゴリ押しとか対策のたてようがない奴ほど、運ゲーとなる。後、ギミックがそもそも運ゲーのやつとか。
ほんまいい加減にしろよ。初動で瀕死レベルの攻撃を叩き込んでくるんじゃねぇ。
俺はそう思いながらも、攻略方法を探る。
今回のボスはそこまで難しくは無いはずだ。ギミックへの対処が分かるか、明確な攻略法を見つければそこまで苦戦しない。
それを見つけるまでの辛抱だ。隙を探れ。
「........チッ、遠くから眺めているだけじゃダメか。バリアを消費する覚悟で突っ込んだ方がいいな」
右へ左へ、盾を揺さぶって相手のミスを待つが一向に崩れる気配がない。となれば、突っ込んで見る以外の方法が無くなる。
次はとにかく攻撃しまくって、相手の弱点を見つけるのだ。
「射程距離上昇系のカードをもっと取っておくべきだった。威力を優先しちゃったのは失敗だったかなぁ........」
もう少し飛斬の射程があれば、一方的に殴れたのに。
俺は自分の選択を反省しつつ、弓の射程距離に入る。
そして、スキル連打vs矢の勝負が始まった。
「オラァ!!」
「グガガ!!」
俺はスキル2と3を連打し、クールタイムが上がる度に連発。
魔力切れの心配もあったが、ここで生きてくるのが連撃(魔)のオーブ。
盾で防がれていたとしても、攻撃判定にはなっているらしく同じ敵を殴り続けることさえ出来れば魔力がどんどん回復していくのだ。
やはり連撃系のオーブは対単体系の魔物に対して有効的っぽいな。今度からボス戦を見据えた場合は取っておいた方がいいかも。
空から飛んでくる矢はとにかく気合いで避けるしかない。俺の移動先に落ちてくる矢もいくつかあったが、全部気合いで避け続けた。
素早さのオーブもここで生きている。足がもう少し遅かっただけで、間違いなく矢を食らっていた場面がいくつかあったはずだ。
そうして、スキル連打をまくっていると、遂に均衡が破れる。
「グギャ!!」
徹底的に狙っていた真ん中のゴブリンの盾が、弾け飛んだのだ。
おそらくは、俺の攻撃を喰らいすぎて盾自体がダメになってしまったのだろう。
チャンスだ。丁度スキル2のクールタイムが上がる。クールタイム減少のオーブはやはり強い。
無強化状態なら間違いなくここでスキルは打てなかっただろうからな。
「振り下ろしぃぃぃ!!」
渾身の一撃。ここで崩すと言う意志を宿した一撃は、
悲鳴をあげる間も無く一撃で真っ二つに切り裂かれた盾持ち(破壊済み)ゴブリンが、炎と共に地面に横たわる。
「グガッ........」
「はっ!!なるほどな!!盾には防げる限界があるのか!!殴り続ければ勝てるじゃねぇか!!」
盾の攻略法見つけたり。
まぁ、大抵“盾”やら“バリア”を持っている敵ってのは殴れば、盾が割れて、バリアが剥がれるものだ。
最初から気づけよ俺。盾があるなら殴ればヨシって脳筋思考を忘れたのか。
「後はこれを4回繰り返すだけだな?そしたら、なんかでかいヤツとちょっと装備が豪華になった奴らと追いかけっこするだけだもんなぁ?!」
多分、この時の俺の顔はとてつもなく笑顔であっただろう。
さぁ、覚悟しろよゴブリン共。殴り合いじゃぁ!!
後書き。
めんどくさいだけの敵。めんどくせぇとは思うものの、他の害悪と比べるとマシだからまだ許せる。と言うか、むしろ良心まである。
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