リベンジマッチ


 サクサクと進み、やってきたは第5ステージ。


 以前も挑んで撲殺された、ゴブリンの群れ(エリート)ステージである。


 気を付けなければならないのは、後衛に陣取る弓持ちのゴブリン。下手に攻撃を許すと一方的に嬲られて、ダメージを負うので先に処理をしなければならない。


 スライムの群れ(エリート)の時もそうだったが、とにかくこちらの苦手な遠距離攻撃持ちから始末する。


 それさえ守れば、おそらくそこまで難しいステージでは無いはずだ。


「リベンジマッチだな。昨日はボコスカ殴ってくれたお礼参りをしてやるよ。まずは弓持ち。お前からだ」


 できる限り固まっていてくれると嬉しいなぁと思いつつ、俺は赤黒い空の元、一歩を踏み出す。


『第二階層第5ステージ。ゴブリンの群れ。クリア条件、全ての敵の殲滅』


 ステージが始まると同時に、俺は魔物の配置を確認。


 今回はやっぱり運がいい。ゴブリン達は全員同じ場所に固まっており、しかもそこそこの距離が空いている。


 後ろから回り込んで殴りに行きやすい配置だ。


「運がいいねぇ!!今回は割と上振れ引けてる気がするな!!」


 俺は体を低くしながら、ゴブリン達に感知されないように大きく回り込む。


 ゴブリンの索敵範囲はそこまで広くない。これがウルフとかだったら匂いで気付かれていただろう。


「ひぃ、ふぅ、みぃ........遠距離攻撃手段を持ってんのは三体だな。まずはあいつらから先に消すぞ」


 弓を持っているゴブリンは三体。回り込まれることを考えてないのか、愚直に隊列の1番後ろに陣取っている。


 真ん中に陣取られていたら厄介だったが、肉壁がないならやりやすい。しかも、今回はかなりいい感じに相手を殴れるだけの火力が集まっているのだ。


 負ける要素など微塵もない。


 俺は気付かれてもいいから全力でゴブリンの群れに突っ込む。接近手段はもちろんスキルだ。


(シールドバッシュ!!)

「グギャ!!」


 今回は声も上げずに本気で殴りに行く。反応が遅れた弓持ちのゴブリン一体が盾に殴られ、声を上げた。


 その声に釣られてそのほかのゴブリン達も俺の存在に気が付く。しかし、俺の方が圧倒的に有利。


 弓持ちだけは絶対に殺すという意志を持った俺を、止められるほどの力はない。


「焼けこげろ!!」

「グギギャァァァ!!」


 スキル2振り下ろしで最初に殴ったゴブリンを切り飛ばす。火力が十分足りていたのか、一撃でゴブリンを仕留めることが出来た。


 次いでに連撃(魔)の効果を起動。連続で同じ相手に攻撃をした時、魔力回復(小)が発生するのでそれを生かして魔力管理を少しでも楽にする。


 次、残りの二体。


 弓持ちは慌てて弓を構えようとするが、何もかもが遅すぎる。俺の剣は、既にお前らの首を射程圏内に収めているのだ。


「なぎ払い!!」

「「グギャ!!」」


 本来ならば剣が届かないギリギリの位置だろうが、俺の斬撃は漫画のように飛ぶ。


 やはり飛斬。飛斬は正義。


 今度からこのスキルカードが引けなかった時の絶望感がやばそう。まだ二階層なんですけど。


 それはそれとして、なんやかんかかなり強化をしていたスキル3。スキル強化のオーブとスキルカードによる威力上昇が合わさった結果、一撃でゴブリンを瀕死寸前にまで持ってくることが出来た。


 よし。トドメだ。


「大回転!!」


 1歩踏み込んで剣の射程に入ってから、大きく一回転を繰り出す。


 弓持ちのゴブリンは死に、周囲にいたゴブリン達もダメージを負う。


 これで弓持ちが全滅。となれば、あとはいつも通りにやればよし。


「逃げるんだよー!!」


 ダメージを与えたのならば、即逃げろ。スキルが再使用可能になるまでの間、俺はひたすら逃げ続けるのだ。


 すばやさのオーブはとるべきだったかな。正直、ちょっと後悔はしてる。


 ヒットアンドアウェイ戦法だと、割と必須級のオーブかも。


 そんなことを思いながら、ゴブリン達に背を向けて走りつつ、俺はスキルが上がると同時に後ろを振り向く。


 遠距離攻撃こそが正義。取り敢えず1発ぶった斬るから、死ねぇ!!


「オラァ!!」


 そこそこ距離が空いていたが、こちらに突っ込んでくるゴブリン達が射程外にいるなんてことは無い。


 剣の軌道に沿って描かれた斬撃は、ゴブリン達を的確に切り飛ばす。


 さらにスキル2で追撃。魔力回復をしながら、確実に数を減らしていくのだ。


 ハッハッハ!!これは頭を殴られた恨み!!これも頭を殴られた恨み!!これも頭を殴られた恨みぃ!!


 前回の攻略でボコられた鬱憤を晴らすかの如く、ゴブリン達を一方的に切り刻む俺。


 結果、以前のように負けるなんて事はなく、無事にゴブリンの群れ(エリート)を突破した。


 戦闘時間10分弱。流石に疲れた。


「あー........疲れた。だが、勝った!!勝ったぜ!!」


『ステージクリア。13ゴールド獲得。スキル強化(致)のオーブを獲得。スキルカード報酬をお選びください』


 エリート他の激戦を終えたら、お待ちかねの報酬タイム。


 お金はこれで35ゴールド。思ってたよりも溜まりやすいが、どうせ商店行ったら爆速で金が飛ぶので沢山持っておきたい。


 もっとケチケチせずに150ゴールドぐらいくれ。


 そして、また新しいスキルオーブが出てきたな。


 今回はスキル強化(致)のオーブ。説明を読むに、全てのスキルに対して致命打率上昇(極小)とか言う割と強めのスキルであった。


 クリティカルビルドは本当に作れそうだな。スキルカードにも致命打率上昇とかあればいいのに。


 まだ確認してないだけだから、あるのかもしれない。夢のパチンコビルドを組みたいよ。


 そしてスキルカードはスキル3の攻撃力強化(小)を選択しておいた。


 これからは、スキル1を移動とした、スキル2、3をメインとして戦うこととなるだろう。と言うか、スキル4以外のスキルが取り回しがいいから自然とこうなる。


 大回転、強いんだけど強化する価値があるかと言われたら微妙なんだよな。俺の使い方が下手なのか。それとも元々そういう調整なのか。


 そこら辺は、塔のみぞ知るということだろう。


「ちょっと休憩したら次に行くか........」


 かなり緊張した戦いだったため、肉体的にも精神的にもかなり疲れた。こういう時はちょっと休むべきである。


 喉が渇いたな。


「........あ、水とか持ってきてねぇ」


 そうか。水を持ってこないと行けなかったのか。


 昨日はそこまで疲れなかったし、割と早めに死んでたから気が付かなかったが、水も食料も無いのは困るな。


 今のところ、攻略を途中で中断して塔の外に出るという手段が見当たらない。


 だから、昼を跨ぐ時は飲み物や食べ物が必要である。


 昔のローグライクかな?食料とか水分ゲージがあるローグライクと言えば、伝説的ローグライクと呼ばれるジャンルによくあるけども。


 昔、何度かやったことがあったが、あれはかなり難しかった。と言うか、まだローグライクにハマり切る前で諦めちゃったな。


「塔の中に水と食料は持ち込めるのかな?せめて、昼飯分は用意したいんだが........」


 これで餓死とかになったら嫌すぎる。が、もう入ってしまったので出られない。


 俺は早めに死ぬか、塔から出られる手段を探そうと思うと休憩を終えて続きに挑むのであった。


 尚、その後はイベントステージが2連続来ただけだったので、楽々クリア。


 ひとつはお金配布イベントで、21ゴールド獲得。


 もう1つはスキルオーブを二つの内ひとつを選ぶものだった(デメリットなし)。


 ここではすばやさのオーブ(小)を選択。これでヒットアンドアウェイ戦法がさらにやりやすくなるだろう。


 こうして、俺は第二階層を突破し、第三階層へと足を踏み入れるのであった。






 後書き。

 先に言っておきますが、水と食料は持ち込み可能です。まぁ、攻略難易度にまるで関係ないんですがね‼︎だから許された面もある。

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