第5話

外を歩く僕、篝天雷とスフィアはあることに気づいた。


「スフィア。ちょっと高いところに登るよ」

「分かりました。ではお先に」

「ちょっ…ずるいよ!」


僕が提案するや直ぐにビルへ走り出したスフィア。

行動が早すぎる。


僕も慌ててスフィアを追いかけた。


異世界で3年過ごすうちに、身体能力は大幅に上がったと思うし、もちろん魔力についても十分に扱えるようになった。


地球に魔力があることに驚いたけど、そのおかげでスフィアについて行くことができる。


「む、さすが主。早いですね」

「まだまだスフィアには負けないよ」


僕は『ブースト』という魔法を使って、自分の身体能力を大きく上げた。


スフィアも同じく『ブースト』を使ってはいるけど、僕の方が『ブースト』に使った魔力量が大きかったみたいで、徐々にスフィアを追い付き、スフィアを抜かしてビルの屋上へ着いた。


「この勝負も僕の勝ちだね」

「むぅ……」

「スフィアも惜しかったね。僕も油断してたら負けていたよ」

「次は負けません」


こんなふうに、異世界あっちではいつも勝負していた。


そのおかげで鍛えることが出来たのかもしれない。


でも、楽しかっつ時間はここまでだった。


「ねぇ、スフィア。僕は夢でも見てるのかな?」

「私はこの場所に初めて来たので、一概には言えませんが、あの場所は以前からああだったのですか?」

「いや、あそこはこことおんなじで、たくさんの住宅やビルに囲まれてたんだよ……」


その光景は僕を愕然とさせるには十分だった。


そこには荒廃した国土が広がっていた。


「主、魔力感知……いえ、もう確認できますね」

「嘘だ……」


その場所を、荒廃させたと思わせる元凶が空中に浮かんでいた。


同時に、僕が帰ってくる前に見た物だった。


「どうしてここにクヴァリスがいるの……!?」


そこは、異世界の魔物であるはずの竜、クヴァリスがいたのだった。

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