第13話 高杉さんはいつでも上にいるよ
いつもありがとうございます。<m(__)m>
※説明が多い回です。
ストーリー重視など、設定に興味がない場合は次回にスキップをお願いします。
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「こちらが買取り素材と売却価格の一覧です。351万7千円になりますが、いかが致しますか? 」
「それで大丈夫です。ありがとうございます。素材の売却は、はじめてなのですが、現金じゃない受け取り方法もあるのでしょうか?」
「もちろんです。こちらでお預かりする事も出来ますよ。冒険者証は銀行カードなども兼ねております。全国のATMやクレジット機能では直接買い物なども出来ますよ。」
「じゃあ。それでお願いします。」
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
今までは運び屋だったので、素材を直接売却したのは、これがはじめてだった。
今回のダンジョンは魔物の量が特別に多かったので、かなりの金額になった。売却の数の方が多いが、アイテムは少しずつ残している。
「【インベントリ】」
『 保有アイテム
魔石(極小)×40
魔石(小)×30
魔石(中)×1
金晶石16個
金剛晶石2個
魔晶石10個
毒キノコ×5
毒粘液×3
毒核×2
猿鬼の小牙×10
猿鬼の毛皮×10
吸血植物の蔦×10
麻痺針×10
蜘蛛の毒小牙×10
蜘蛛の頭殻×20
蜘蛛の足×10
蜘蛛の糸×10
影狼の牙×2
影狼の爪×8
影狼の毛皮×4
炎蛇の麻痺牙×2
炎蛇皮×3 』
素材買取所から、冒険者本部の受付に移動した。
「どんな御用でしょうか?」
「高杉会長に呼ばれたのですが。ここで大丈夫ですか? 【F2】Fランク二類覚醒者、木元達也です。」
「はい。では待合……え? 高杉会長ですか? 聞き間違いかな……でっ……特……失礼しました。確認しますので、少々お待ちください。」
受付けの人と入れ替わりで、奥の部屋から、知らないスタッフが出てくる。
「木元様。会長室へ、ご案内致します。」
エレベーターで冒険者協会建物のボタンのない最上階に移動した。カードキーをみたいな物を使っている。
「フロアは区切られていますが、エレベーターを降りたら、全てが会長室です。」
到着しエレベーターから降りると、ソファに高杉会長が座っている。
「会長。用ってなんですか?」
高杉会長は、ソファから立ち上がると、訳の分からないポーズを取った。
「達也。ずいぶん他人行儀になったな。」
「用事は何でしょうか。」
「ふむ……鑑定からにしよう。」
「……お手数をお掛けします。」
会長が軽くヘッドロックしてくる。
「だから~。そう堅くならないでくれよ。見知った中だろ。」
「分かりましたよ。おじさん。けど緊張するなって方がおかしいですからね。ずっと会ってませんし有名人でしょ。」
少し緊張が解れた。
「会いに来ても良かったんだぞ。まあいい……確認しても良いか? すんなり承諾したって事は、アレを聞いたんだよな?」
「何をですか?」
「悪魔の声だ。昇格の確信があるんだろ。違うか?」
「知りません。」
「良いだろう……鑑定すれば分かる。」
鑑定を終えると高杉おじさんがソファーに戻り暗い顔をしていた。ランクは上がらなかったか。
「やっぱりだ。……お前体調悪くないか?」
「良好です。ランクは上がらなかったんですね。」
会長は立ち上がると身体を大きく仰け反り、ガッデムと叫んでいる。
「一人でダンジョン攻略しておいて、逆に上がらないわけないだろっ! スキルも
「5つなわけな……どうするとは何ですか?」
「まったく信じられんよ。私が融通を効かせ先回りして良かったな。Fランクが再覚醒したんだぞ。これはあの時以上の大騒ぎになる。低ランク覚醒者の希望という意味に於いて、もはや美玲をも上回る世界的な騒動になるだろう。」
「……それは困りますけど、誰ですかそれ?」
「お前な。まあ良い。今回も秘匿で良いんだよな? 」
「うーん。そういう訳にもいかないんですよね。運び屋ではなく、冒険者として、もっと強いダンジョンに潜りたいんです。秘匿にしても潜れませんよね?」
「お前なあ~。もともと【F2】Fランク二類覚醒者で何の問題もないんだよ。自分の事なのに、気づいていないのか? ………………それなら、まあ説明してやるか。」
変人扱いされてないか。相変わらず、ちょっと鼻につくな。悪い人じゃないんだけど、そういうところが変わってない。
おじさんは話始める。
「スキルには4種類のスートが存在する。
黒 攻撃性能特化 攻撃性有り
剣 [♠︎]身体能力特化
三葉[♣︎]魔法魔力特化
赤 技術性能特化 攻撃性無し
貨幣[♢]スキル能力特化
聖杯[♡]魔法能力特化 」
「
「1 三葉[♣︎] 2 剣[♠︎]
聖杯[♡]と貨幣[♢]はスキル能力により役立つ場面が違うため順番は付けられない。」
「そうだ。普通はそういう解釈をする。補足すると複数持っていても、覚醒値はメインスキルの
「二次進化をした再覚醒者を四類と呼びますが、三類は分かりません。」
「世間の常識と真実が違うのはそこだよ。覚醒者はある一定の状況下で更なる進化を遂げる。肉体的に超覚醒した者を三類と呼び、超覚醒に伴い新たなスキルを得た者を四類覚醒者と呼ぶ。再覚醒ではなく超覚醒は別名完全覚醒とも呼ばれる。なぜか分かるかい? 人類の覚醒者は進化の過程で必ず三類か四類に至る可能性があるからだ。」
「……覚醒者には、必ず次のステージがある。なぜ、公表しないのですか?」
「まだ仮説の段階だからだ。希望を持たせて、やっぱり違いましたはないだろ。慎重にならざるを得ないんだよ。」
「……確かに。」
「で、話はスートの強さ順に戻るが、完全覚醒をした場合、[♠︎]と[♣︎]は同列1位になる。完全覚醒状態での[♠︎]は[♣︎]の魔法優位を跳ね除ける程に身体能力を強化するんだ。結局は、相性や引いたカード自体の優劣になるな。」
「剣[♠︎]のスート持ちが聞いたら飛び上がって喜びますね。」
「だろうな。では、聖杯と貨幣は弱いと思うかい?」
「攻撃性がないのだから、戦闘時にはそうなりますよね?」
「では五類の話をしよう。君の騒ぎがあってから、我々は多くを秘匿にするようになった。表には出回っていない私を含める最強の五類覚醒者は、全てが聖杯と貨幣なんだ。ただし、赤ではなく黒だがね。[♥][♦︎]この場合、身体能力と魔力の両方が強化される。」
「規格外の攻撃性を持つスキルか魔法。そこに黒特有の身体強化と魔力の両方を併せ持つ。それが五類覚醒者だ。」
「……まさか。千尋も?」
「正解。彼女も五類だよ。昨日再鑑定をしたんだが【A5】A
「俺の規格外?」
「最初は驚いたよ。達也の場合は、スート自体が存在しないんだ。まさに規格外中の規格外と言える。だからこそ、俺達はそれをJOKERに例えた。ババ抜きではババだろ? 火消しのため、そう表現させて貰ったよ。」
「皮肉ですけどね。どれだけ、バカにされたか。」
「俺はそのありえない【F2】に【特2】特級二類覚醒者と名付ける事にした。鑑定所は別だが、君を冒険者協会側で認証すると職員側には【特2】特級二類覚醒者と表示される。ここまでは理解したかな?」
「えーと……はい。」
「じゃあ。本題に戻ろう。達也は、前からどんなダンジョンでもAランクとして参加する事が出来たんだぞ。」
「Aランクですって! Cランクダンジョンまでなら、俺は単独で潜れるんですか? それも……個人での抽選ではなく、優先的に。……そんな話は聞いてませんよ!」
「お前、秘匿の意味分かってんのか? 言ってないんだよ。 だから鑑定結果を変更する必要はどこにもないぞ。」
「本人にまで、言わかなったら、分からないでしょーがっ!」
「あほか。3年もあったんだぞ。自分で気づいた時、得した気分になると思うだろ。それとな……もしそれ以上を望むなら学園の理事長を頼ると良い。学園、通う事になったんだろう? 俺はあいつに全部渡してある。」
「……それも知ってるんですね。どこまでがグルなんだ。他に隠してる事ないですよね?」
「たくさんあるぞ。これでも冒険者協会の会長だからな。あははははは。言わんけど。」
「……っ。分かりました。今日はありがとうございました。」
「木元達也。最後にこれは忠告だ。絶対に悪魔の囁きに答えるなよ。あれは味方ではなく、お前を蝕むものだ。」
高杉会長は指を前に突き出し、ニヤリと笑う。悪い人じゃないんだけど、この人、ちょっとだけ、イラッとするんだよな。
ごめんなさい。嫌いとは違うんです。
それ以上に心が暖かくなるから。
「またね高杉おじさん。忠告、ありがとう。」
「おう。また、いつでも来るんだぞ。」
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