第5話 これは俺の野生へのリベンジだ
『ポイント5を振り分けられます。
HP2/9 MP6/6 SP6/6
聖力11 筋力2 知力2 操作2 硬度2
視力2 聴覚2 嗅覚2 触覚2 味覚2 』
「レベルアップで回復もしたのか。」
……ポイントは魔力に振ろう。
「嘘だろ。魔力がない。覚醒者は魔力が重要なんだぞ。」
魔力だけ別枠で増えそうにない。
「【
傷が消えた。
「消費MPは2。今でも3回は使えるな。」
悩んだ末に、HP1MP1聖力2筋力1に振った。
良い意味での誤算があった。
HPは6 MPは5 聖力20 筋力は1上昇したのだ。
レベルアップで獲得する分と同じみたいだ。
『 HP11/15 MP9/11 SP6/6
聖力31 筋力3 知力2 操作2 硬度2
視力2 聴覚2 嗅覚2 触覚2 味覚2 』
「【
『 HP15/15 』
「武器無しで野生との命がけは危険すぎる。」
「【インベントリ】」
『魔石 猿鬼の小牙 ナイフ』
解体もしてないのに、ドロップアイテムの自動収拾もするのか。
「まてよ? 顕在化でスキルに統合された。なら他の人のスキルもインベントリに……。」
『インベントリ
亜空間収納/銀行/自動解体on/自動収拾on/合成/錬金』
あった
これなら
「【鑑定】」
『 ナイフ:攻撃力0.01 』
魔石は魔力があるがそのままでは役に立たない。
ナイフは武器だがダンジョンでは無価値。
牙は素材だが、メインを強化する方が効果が高い。
錬金は創造で、合成は強化に近い。
まずはダンジョンの魔石と現実世界のナイフを錬金する。
『 マジックダガー(攻撃力65)を獲得しました 』
成功した。
次にマジックダガーをベースに猿鬼の小牙を合成する。
『 猿鬼
よし。
……敵を探そう。
森の中に、先程の毒沼とは違う別の毒も複数確認した。
澄んだ水が湧き出ていたが、飲むと体内に毒が広がり、身体が麻痺する。俺は喉が渇いていたので、泉で体を休めた。
『 【麻痺無効】を獲得しました 』
澄んだ泉というのは、周りに咲いている花の幻覚で、実際はおぞましい色をした毒の泉だった。
『 【幻覚無効】を獲得しました 』
また、この森にあるキノコを【鑑定】してみた。
踏むと胞子を放出し、吸い込むと呼吸困難を引き起こす。万が一食べてしまったらお陀仏するような猛毒だ。
一口食べてみたが【毒無効】と【猛毒無効】が活躍した。
一番興味深い毒はスライムだった。
叩くと毒霧を放出し、斬ると猛毒が飛び散る。なんとも近接殺しのモンスターだった。
しかし、俺には【猛毒無効】があるので、あの猿よりも簡単に倒す事が出来た。
たくさんのスライムを倒した。
『
こうなると、さっきの
あいつを討伐するのは命がけだが、1体倒しただけで、レベルアップした。
今のステータスなら、あの時の屈辱を晴らせるかもしれない。
そうして、最初に
「やっぱりいた。我が
「キキッーキッ――!」
「――
走り出した猿。お前の飢え。直線的な動きはもう知っている。あの時ですら、最初の攻撃はヒットした。
だから、俺は今度は意識的にあの時と同じ行動を取る。
「
猿のこめかみに猿鬼
猿は、俺に掴みかかろうと、両腕を伸ばす。
それも知ってる。この程度ではお前の『殺意』は止まらない。
「だからなんだ。俺の
剣を抜くと、猿の首を掴み地面に叩きつける。
馬乗りで、何度も何度も猿に剣を突き刺した。
『
倒せた。
ステータスの数値が低い事に着目していたが
1が2になっただけでも単純に倍だ。
覚醒者の強さの源。魔力が増えないのは痛いが、聖気の上昇は1回で10を超える。
だが今はそんな事を考えている場合じゃない。
「……これだけ必死だったのに、お前の殺意がまだ一枚上手か。今回も無事では済みそうにないんだな。」
決闘前に檄を飛ばしたのは人間らしさ。猿の雄叫びは、仲間を呼び寄せるという生き残る為の意志だった。
頭を上げると
既に1匹は、目の前で爪を振り下ろした。
俺は立ち上がり、横に避け爪の軌道から外れた。
同時に猿の右手を切断する。
猿達は、次々と
一体ずつ相手にしていたら、絶対に勝てない。
ギリギリまで敵を集め「
敵に弱点を生み出し「
一気に叩き斬る「
『
狙い通りだ。先頭集団が一気に片付いた。
「……ハァハァハァ。」
ポイントを全て聖気につぎ込む。
レベルは4まで上がった。猿のスピードがゆっくり感じる。
それからは、簡単だった。
さっきまでよりも、明らかに討伐が楽になる。やっと、ステータスが猿よりも格上になった。
あとは一体ずつ確実に仕留めていけば良い。
何匹倒しただろう。
とにかく最後の1匹を討伐した。
『
「反省点は、集団戦になった時に、この毒沼を活用しなかった事だな。」
「【インベントリ】」
『魔石×14
毒キノコ×10
毒核×1
毒粘液×26
猿鬼の小牙×15
猿鬼の毛皮×18 』
これだけアイテムがあるなら防具も必要だな。
武器を作った時のように、防具は錬金出来ない。
直接洋服に合成するしかないので、武器のような大幅強化は難しい。
武器の方は、使っていない素材ならあと何回か合成出来る。
まずは、猿鬼
『 毒鬼
攻撃力が上がっただけでなく、毒鬼
次は防具だ。
現実世界の上着と靴。
安い魔物素材で出来た冒険者装備、胸当てとズボン。
それぞれに、猿鬼の毛皮を合成した。
『 黒猿ジャケット(防御力 15)を獲得しました。 』
『 黒皮の胸当て(防御力 48)を獲得しました。 』
『 黒皮カーゴパンツ(防御力 43)を獲得しました。 』
『 猿靴(防御力 11)を獲得しました。 』
「戦いで出来た服の傷も塞がったし。今までちゃんとした防具を着けていなかったから安心する。」
武器程ではないが防御力が格段に上がったなどと考えていると
どこからか、声が聞こえてくる。
「キャーーー。」
リーダーの木村春奈さんが、
近づいてくる。
木村さんは俺を確認すると逃げる方向を少しずらした。
「達也君。逃げてっ! 普通じゃない。ゴブリンの希少種よ。」
ゴブリン + 猿 = ゴブリン希少種 だったのか。
そりゃ。Fランクじゃ敵わないわけだ。
「木村さん。ここまで、走ってきてください。」
俺は真剣に訴える。だが木村さんも真剣だった。
「早くっ! あなたも、早く逃げなさいっ!!」
一人の時とは違う。だから確実にやらなきゃいけない。
「僕を信じてくださいっ。」
彼女は目に見えて疲弊している。
最善策は、駆けつけ対処することより、一発で確実に仕留める事だ。
俺はまっすぐに彼女を見つめた。
「分かったわ。」
決心したように俺のいる方に走る。
もうすぐだ。
俺は木村さんを受け止め、そのまま抱き抱えた。
「……何を。」
木村さんの顔が赤い。
やはり、そうとう疲れているようだ。
「ゴブリンをもう少しだけ引き付けます。」
ゴブリンが迫ってきた所で、俺は走り出す。
泥濘に足が取られ、少し失速した。
だが、ゴブリンはもっと
「何? なんなの?」
「今は聞かない方が良いと思いますよ。」
ゴブリンは、体をブルブルと震わせている。
「【
シュパッ
反省点を活かして動いたが、毒は必要なかったかもしれない。
完全に
『
「ありえない…………そんな……一撃で…………。」
「うーん。ちょっと待ってくださいね。」
すぐに毒沼を出た。木村さんを降ろす。
毒沼を指さした。
「あそこ。綺麗な花がたくさんあるでしょ。けど猛毒の沼なんですよ。俺は毒対策がバッチリで、あの猿は足を剥き出しでしたからね。弱った所をシュパッと。」
「なるほど。希少種が簡単に弱る程の毒を対策出来ていたと。」
「はい。そうなりますね。」
「弱らせたからシュパッと、一刀両断出来たわけね。」
「はい。弱らせてシュパッと。」
「なるほど。評判とは違って達也くんはとっても優秀な運び屋なのね。………………納得出来るかっー!」
大声を出した木村さんは、身体中の痛みを思い出す。強ばっていた肩はほぐれ、ゆっくりと座り自身を癒す。
「【
痛みが和らぐと木村さんから、険しい表情が消える。
雪解けの季節、春風が頬を撫でる。
彼女の笑顔の中にそんな美しさを見た。
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