その6
~~9年目~~
あははははははははははははははははは!
もぅ、私はダメだ!なぜか本能で今私は年記を書いている!なぜだ!日々バイトに明け暮れる私が!貴重な時間を使ってまで!!!
私は馬鹿だ大馬鹿だそうさ馬鹿さ!!!
ホームレスというのはとても辛いことなんだなぁとようやく知ったよ。なぁ、そうだろ???毎日毎日毎日毎日、バイトするか寝るか。
別に金が無いわけじゃないんだよ。それはわかるよね?でもさ、違うんだよ。心に安らぎが一向に来ない。なぜだろうか!?常に心がフル稼働している!!!
それに娯楽は禁止。禁止されなくても出来ないけどやっぱり暇なんだ!だからさ、そんな暇な時間を消すためにもバイトしてバイトしてバイトしてバイトしてバイトしてバイトして……。
そんなんだからだんだんおかしくなって、結局疲れが無限に溜まっていく。
家が欲しい。布団の中で寝たい。安心したい。でも安心できない。あいつを信仰している限り!
あぁもうなんで私はまた来たんだよ教会!!!
「どうしました?」と声をかけてくる女は無視して中に入る。
自分の足音にもむしゃくしゃする。あんなに疲れてるのに、こんなに大きな音が出るのかよ!
もう、私は全てにいらついている。
この世の中全てに。
それでも、おかしいのが、私はまだ無意識のうちに『ティタァヌス様の仰せのままに』を定期的に復唱していること。
客間に入ると、そこはいつもと雰囲気が違った。
「お疲れ様です」と書かれた紙、湯のみに入ったお茶。
どうしたんだ!?私がそれ以上に気になった点。ちゃぶ台に、何かが書かれている。
大きな文字で書かれたそれを見て、私は唖然とした。
これは、過去一キツイご命令だ
【金銭を持つべからず】
~~10年目~~
おなかすいた。
このいちねん、わたしはすごくがんばった。どうしていきてるのか、まだわからないほど、がんばった。
おかねがないってことは、つまりたべものがないってこと。おふろにも、はいれないから、くさいってこと。
くさいわたしが、まちをあるいたら、おこられる。だからたとえば、よなかにごみばこをあさったり、たとえば、はえてるくさを、たべたり、たとえば、じぶんのかみのけを、たべたり。
つらいし、きついし、おいしくないし。
なんかいも、しのうとしたんだ。でもね、にんげんって、じぶんで、ふみとどまれるなら、ふみとどまっちゃうんだ。
べろをつよくかんだ。さいごのさいごでかむちからがよわまった。
もりのおくで、はちとか、どくをもったいきものに、ころされようとした。へびをみて、こわくてにげだして。
そして、おもった。こんなつらいはなし、もうやめよ?
わたしがこれをかくたび、だんだんわたしもつかれていく。むかしの、ねんきをみてると、じぶんのへんかを、つきつけられるようで、こころがいたい。
だからね、わたしはこれをさいごのねんきにする。
いま、これをよんでるきみへ。ぜったいに、ぜったいに。ティタァヌス教はしんじないでね。
やくそくだよ?それでは。
(ついき)
ねんのため、きょうかいのこともかいておく。
いま、これをかきながら、きょうかいをあるいている。きょうは、いつもとちがうところにいくみたい。
それと、いつものおんなにへんなことをいわれた。「おめでとう」。
なんだろう、おめでとうって。それに、きょうはいろんなひとが、きょうかいにいる。いままで、あのおんなぐらいしか、みたことはなかった、というのに。
そして、みちゆくひとにいわれる。「おめでとうございます」。
なに?おめでとうって?なんだよ!?
やっと、へやについた。それでは、と、あんないしていたおんなが、どこかへいった。
おそるおそる、へやをあける。
え、なにこれ?
かべいちめんに、くろいもじでびっしり。
おめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとうおめでとう
おめでとう?おめでとうってなに?こわい、こわいこわいこわい。
それに、もうひとつこわいのが。
てんじょうからぶらさがる、まるくむすばれたひも。
そして、いす。
いすのうえに、なにかおかれてる。かみ?
【おめでとう】
いやだ!もうおめでとうは、い……い……。
幸せに……?地獄から、天国へ行く時、人はどれだけ幸せだろう……。私がいま、死ぬ事が出来たら……?
おめでとう?おめでとう?おめでとう?
なるほど。これは、きっと今から私は幸せになれるのだろう。これが終われば……きっと幸せに……。
ドン
以上が、発見された信仰者のデータです。ティタァヌス様。
ティタァヌス教 ツチノコのお口 @tsutinokodayo
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