サリアは仲間になりたい

「それで、お前はどこの誰で、何でこんなところにいるんだ?」


「ボクはサリアたのだ!見ての通りダークエルフなのだ!そこの女がここにある魔導書がどうとかと言う話しているのを聞いたから、金目になると思って先回りをしてきたのだっ!」


 見た目だけで言えば二十代くらいだろうか、左右の腰にダガーを差した黒髪のショートヘアのサリアという胸の小さなボクっ娘ダークエルフは、未だにロープで縛られているにも関わらず威勢だけはいいのか、声を喚き散らしていた。



 それにしても、魔導書狙いか……。以前レイナとゲレンが話している時にいたのは先に手に入れて売り払おうとしていたためか……。


「それで、罠にかかって吊るされていたと……」


「ふん……っ!あんな罠があるとは思わなかったのだっ!」


「それで、お前はどうするんだ?このまま街に帰るか?」


「冗談じゃないっ!ここまで来ておめおめと帰れるもんかっ!……なあ、あんた。ボクを仲間にしないか?ボクは盗賊シーフだ。罠の解除はお手の物なのだ。この通路に仕掛けられている罠も解除してみせるのだ?」


「……その罠にかかってたクセに大きな口を叩くヤツだな」


「あ、あれはたまたま油断していたのだっ!罠があると分かればこんなのに引っ掛からないのだっ!!」


 いや、あると分かればと言うが、そもそもバレないように仕掛けるのが罠が何だと思うが……。


 しかし、仲間か……。

 本当に罠が本当に解除出来るのだとすれば、この先に仕掛けられている罠を解除して行ってくれれば助かるが……。


「ふ〜む……。」


 俺は顎に手を当てて考えていると、サリアはなぜか身を捩らせていた。


「と……、兎に角早く決めて欲しいのだ……。さっきからこのロープがボクの敏感な所を擦ってきて……、ん……、ひう……、んく……!」


 よく見ればサリアを縛っているロープは未だ生きており、締め付けながらも意図せずに彼女の胸や股間を擦り上げていた。


 ……本当に誰が作ったんだ、こんなの?


「と、兎に角クロト、サリアを助けてあげようよ……っ!このままじゃ可愛そうだよ……っ!?」


「そ、そうだな……」


 さすがの俺も、このままにしておくのも可哀想だと思いナイフでロープを切ってサリアを解放してやることにした。


 このまま放置して行くのもそれはそれで一興かも知れないが、コイツが本当にトラップを解除出来るのならこの先は少しは安心できるかも知れない。


 まあ、最悪コイツを犠牲にして先に進むという手もある。


「あ、ありがとうなのだ……。お陰で助かったのだ……」


「では、サリア。早速罠を解除してもらおうか」


「ま、待ってくれなのだ……、その前に……」


 サリアが何かを言いかけると彼女の腹が盛大に鳴っていた……。

 どうやら腹が減っているようだ。


「……ハラが減ってるのか?」


「5日間何も食べてなくて……。あと、5日間ずっと敏感な所を責められていたが、変に焦らしてくるからロープでは達しそうで達せなかったのだ……。すまないが、こっちも鎮めて欲しいのだ……」


 サリアは半泣きになりがら自らの腹を押さえながら股間も弄っていた。


 どうやら5日間ずっとビミョーな責めで焦らされていたようで、性欲が溜まりに溜まっているらしい……。


 喜んでっ!!

 ……いやいや、これを作ったやつは何て卑猥なやつなんだっ!


 これを作ったやつはある意味天才なのかもしれない……。


「分かった」


 俺は頷くと、サリアに食事を振る舞ったあと、彼女に避妊魔法をかけた後、抱いたのだった……。



 ◆◆◆



 「いいか?迂闊に動いてはだめなのだ。こういう狭い通路は罠を仕掛けるには……」


 サリアが言い終わる前にレイナが脚を前へと踏み出すと、何かすいったのようなものを踏む音がした!


 すると天井からスライムが落ちてくるっ!


「きゃあぁぁぁぁーーー……っ!!スライムが……!スライムが鎧の隙間に入り込むで……っ!だめぇーー!そこ触っちゃだめぇぇーーっ!!」


「「お前は人の言うことを聞けっ!!」」


 スライムに襲われ身悶えるレイナに対し、俺とサリアは二人同時にツッコミを入れたのだった……。



「いいか?もう一度言うのだ!こういう狭い所は罠を仕掛けるには持って来いなのだ!だから迂闊に動いてはだめなのだ!特にそこのアホ獣人っ!」


「酷いよぉ……っ!あたしはアホ獣人なんかじゃないわよぉ〜……!」


 俺たちの手でスライムを取り除いてもらったレイナはサリアに睨まれ涙目になっていた。


 すまない……、さっきのをみる限り俺には否定できる要素がない……。


「兎に角じっとしているのだ!こう言う踏むと天井から罠が発動するタイプは壁に仕掛けがしてあるのだ」


「分かるのか……?」


「任せるのだ!よく見ないと分からないけど、この壁の石と石の間にあるわずかな隙間、ここをナイフでこじ開けると仕掛けが見えるのだっ!」


 サリアは僅かに出来ている隙間へとナイフを差し込むと、石が外れ、その奥には何かロープのようなものが見える。


 これが仕掛けということなのだろうか……?


「このロープがそうか……?」


「そうなのだ。このロープをナイフで切れば罠は発動しないのだ……。よし、切ったのだ。おい、アホ獣人。さっきの床を踏んでみるのだ」


「うぅ〜……!アホアホ言わないでよ〜……っ!」


 文句を言いながらもレイナは罠が発動した床を踏むが何も起こらなかった……。


「よし!解除成功なのだ!この調子でどんどん解除していくのだっ!」


 サリアは意気揚々と罠を次々と解除して行った。



 ◆◆◆



 ランタンの灯りで周囲を照らしながら罠が解除された通路を進んでいくと、今度は扉が現れた。


「サリア、この扉にも罠が仕掛けられてあるのか?」


「……大丈夫みたいなのだ。罠は仕掛けられてはいないのだ。」


 サリアに聞くと、罠は仕掛けられてはいないという事なので、扉を開けて先へと進むと、そこは広間となっており、その真ん中には鎧が数体立っていた。


 なぜあんな所に鎧が……?嫌な予感がする……。


「……索敵サーチ。」


 サーチを唱えると、あの鎧から魔力の反応がする……。


「二人共、気をつけろ……。あの鎧はリビングメイルだ……」

 

 俺の言葉に、レイナとサリアは武器を抜いて戦闘態勢へと入ると、リビングメイル達も動き出したのだった……っ!

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