野盗のお宝をいただきたい

 街道を外れ、森の中の獣道のようなところを進むこと暫く、なにやら洞穴のようなものが見えてきた。


「クロトあそこよ、あそこが盗賊達のアジトよ」


「なるほど……、それで、レイナはあのアジトに何の用があるんだ?」


「ある人の依頼でね……。頼まれていた物が野盗達の宝物庫にあるって聞いて、盗み出そうとしたんだけど見つかっちゃって追われていたのよ。クロトはあのアジトに何の用があるの?」


「俺は野盗達を倒したついでにお宝を丸ごと頂きにきたのさ」


 どうせやつらがたんまりと蓄えていたお宝も人から奪ったりしたものに違いない。


 なら俺が人々を代表して頂き、金を使って経済を回してやる事が世のため人のためと言うものだろう。


「なんか、クロトのほうが野盗に見えてきたわ……」


 俺の言葉にレイナが白い目を向けてくる……。


「おいおい、命の恩人に対して酷い言いようだな。そんな事よりも早く来ないとレイナの目的の品とやらも俺が頂くぞ」


「あ、待ちなさいよ……っ!」


 俺は中の様子を伺いながら洞穴へと入っていった。



 洞穴を進むこと少し、何やら厳重な扉があったため、威力を加減したシャドージャベリンで扉の鍵をぶっ壊すと、扉を開け中へと入っていった。


 すると、レイナから冷ややかな視線が俺へと突き刺さるが、細かい事は気にしない。


「おお……!これは凄い……っ!」


 レイナの視線を無視して中へと入ると、そこにはいくつかの宝箱が置かれており、それぞれ中を開けると金貨や銀貨に銅貨、さらにたくさんの宝石等が保管されていた!


 金貨は枚数にして三百枚ほどだろうか、銀貨に至っては千枚、銅貨は五百枚ほどがそれぞれ宝箱に収められていた。


 宝石も値打ちのないような物から高額で売れそうなものまで多くの数が宝箱に詰められている。


 冒険者を辞めて盗賊狩りにでも転職するか……?

 俺はそう思いながらどんなものでもいくらでも収納できるというマジックポーチへと宝箱ごとしまっていく。


 そんな俺をレイナは何か言いたげな目で見つめていた。


「なんだ、レイナ……?」


「人の物を平気で盗むのはどうかと思って……」


 ふむ……、なるほど。

 レイナの言う事も分からなくもない。


「だが、これらは全て野盗が他人から巻き上げたものだ。持ち主に返そうにもどれが誰のものか分からない。仮に街に持ち帰って持ち主を探したとしても"自称持ち主"が現れるだけで、これらの品が本当の持ち主の所に戻るとも限らん。なら、ここは取り返した俺が代表をして頂いておくのが筋と言うものだろう」


「そ、それはそうかもしれないけど……」


 こう言うときはまともに話し合いで解決を図ってはいけない。多少屁理屈をこねてでも強引にこちらのほうへと話を持っていくのだっ!


 それに、誰かが言っていたが、悪人に人権はないとっ!


 善良な一般市民から奪うのは流石に気が引けるが、悪人から奪った物ならそれをどう使おうがこちらの自由!逆にそれで経済が回るのならむしろ感謝してほしいくらいだ。


「そんな事よりも、レイナの目的のものとやらは見つかったのか?」


「ええ、お陰様ですぐに見つかったわ」


 レイナはやや棘のある言い方で、俺へと一つのアイテムを見せてきた。


 それは手のひらよりも少し大きめな黄色がかった宝珠オーブだった。


 見た所、何かの魔力が込められているようだが、あんな物を欲しがるやつって一体……。



 オーブは魔力が込められたマジックアイテムの一種で、使えば込められている魔法が発動する。


 込められる魔法はオーブの質によって違うが、街を吹っ飛ばせるものから、ちょっとした捜し物に使えるものまで多種多様な物があるため、どんな魔法が込められているかは一概には言えない。


 オーブの色によって魔法の属性くらいなら少しは分かるが、あれは黄色がかっているので、込められている魔法は地属性のようだ。


 あれをどんな奴が欲しがっているのか気にはなるが、面倒事に発展しそうなので下手に首を突っ込むのは止めておこう。



 さらに野盗のアジトを捜索していると、ベッドを見つけた。

 ふむ、丁度いい、ここで約束とやらを果たしてもらおうか……。


「さて、レイナ。お前を野盗から助ける条件として何でも言うことを聞くと言ったな。その対価としてお前を抱かせてもらう」


「ふえ……っ!?」


「お前はあの時"何でも言うことを聞く"と言ってだろ。だから、俺はお前を抱かせてもらう」


「うぐ……!わ、分かったわよ……。ならほら、好きにしなさいよ……」


 俺は顔を赤くしているレイナを脱がして裸にすると、自身も服を脱ぎ彼女を抱いたのだった。

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