第4話カップルの観察
まぁ、自宅近辺には高校が4つもある。
だから、朝の通学ラッシュに加えて、大学もあるので、最寄り駅の朝は最悪だ。
大学図書館は良く利用している。古い文献が置いてある。
信長公記やミッドウェー海戦を調べたり。ワイシャツ姿のデブのオッサンがまた来てるよ!と言われそうだ。
大学生が、
「あの先生、何学科?」
と、言われているのを知っている。
閑話休題
制服姿の高校生カップルが手を繋いで歩いている。夏なのに。
でも、そのカップルに好感を抱いた。
暑いけど、熱く恋愛している証拠だ。かつて、僕も高校生時代はそうであった。
文化や、環境は年々変わっていくが、爽やかなカップルの慎ましい行動を僕は許す。子供には、まだ彼女はいない。
ま、中学生だから、女の子よりゲームの方が興味あるらしい。
今は、オンラインでゲームしているから、ゲームも進化したよな。
話しを戻そう。
カップルを見ていると、自分の高校生時代を思い出したりする。夏で暑いのに、恋人繋ぎで歩いていると、
「何で、あんな変態に彼女がいるんだ?」
と、言われた事がある。そう、僕は青年期から変態だったのだ。
高校の図書館の歴史モノは制覇した。今でも覚えてるのは、浅野内匠頭が吉良上野介に切りかかった際の詳しい場所や原因を書いた、「梶原日記」。
浅野内匠頭を後ろから羽交い締めした人だ。
僕は、浅野内匠頭は勅使接待役に若くして担当になったので、心理的ストレスで心神耗弱状態であったと思っている。吉良上野介は高家としてトップに君臨し、領民からは慕われた人。そんな人が、イジメるか?
それは、討ち入りを正当化するでっち上げと僕は推察している。
それを読んでいたら、彼女がやって来て、
「何、読んでるの?」
「梶原日記」
「何それ?面白いの?」
「うん。ずんちゃんも読んでみる?」
「わたし、興味ない」
と、やり取りしたが、彼女は文系トップの頭脳の持ち主。学年1位を何回も取る女の子だ。
僕は最高、学年7位。
ある時、僕が1年時の特進クラスの選抜テストで7点足りなくて、普通クラスで腐っていたが、3年時には必ず特進クラスに入る事を狙い、2年時勉強に励んだ。
そして、2学期期末考査。
「今回の現代文、古典、漢文の1位はこのクラスでは無い。2組の、羽弦という男だ!何やってんだ!お前らは」
と、特進クラスの教師が説教したらしい。彼女は特進クラスなので、喜んだ。
昼休みに担当の国語教諭に呼ばれて、
「羽弦君。おめでとう。わたしは、とても嬉しいの。特進クラスに勝ったんだからね。次回も宜しくね」
「かしこまりました。次の模試は1位を取ります」
「心強いわね」
と、オバサン教諭は期待していたが、点数は79点でボロ負け。オバサン教諭は、少しやつれていた。
その時の1位は、彼女だった。
高校生とか、学生カップルは偏差値でパワーバランスが崩れる時がある。
すっごい頭いい片方と、バカの片方は均衡が取れるが、なまじっかいい勝負するとケンカになる。
この彼女とは、16歳から付き合って、26歳で別れた。
IT企業の男に、寝取られた。バカな女だったが、未だに勉強が嫌いじゃないのは彼女の存在があったからだ。
この暑い夏に、手を繋いで歩くカップルを見るたびに、高校生時代を昨日の事のように思い出す。
幸せにね。
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