3.イリスは、街を目指す。
イリスは今、森のど真ん中で鳥の精霊を頼りに、人里を目指している。普通の森じゃない魔の森と言われている魔境だ。
「それじゃ、ピーちゃんよろしく!」
「チュピ!」
イリスがそう言うと緑色の鳥の精霊が可愛らしく鳴き、空を飛んだ。ちなみにチュピと鳴くのに「ピーちゃん」と読んでる理由は、イリスが初めてあった時は雛の精霊でピーと鳴いていたからだ。イリス曰く、「昔安直に決めた名前のせいで今は違和感半端ない。改名しようかな?」だそうだ。
しばらくするとピーが帰って来る。イリスは、加護:鳥目を使い魔獣の場所と、行きたい方向の見直しが出来た。この先に魔獣がいるから迂回しようそう思った矢先に事件が起こった。
「チュピーィィィ!!」
どこからともなく何者かが、突然木を投げてきたのだ。イリスは、ピーの警告に即座に反応して攻撃を躱すことができた。この攻撃は、完全にイリスの警戒範囲を超えた位置からの投擲だった。
「ありがとう。ピーちゃん」 「チュピ!」
「突然で悪いけどピーちゃん、魔獣の位置を特定してくれない?」 「チュピ!」
イリスたちは事前に、「チュピ!」はYesで「チュピピィ!」はNoと決めていた。なのでこれは、「いいよ!任せて!!」と言っているのだ。ピーは空へと飛んでいった。
「よし!あとは時間を稼げば敵の位置は分かるはず。」
なぜイリスは、気軽に偵察を任せてるのか。それは、基本精霊は他種族とあまり仲良くならないためである。初見の相手から見ればピーはただの通りすがりの鳥の精霊だ。「珍しい」で基本終わる。
イリスは、加護:虹の道を周囲の木にから木に巻きつけるように自身の周りに展開した。イリスの周りは虹色のカーテンがかかったような幻想的な空間になっていた。そんな場所にまた木が投げ込まれた。魔獣さんは別に、芸術にどうやら興味がないらしい。木は虹を破壊すると同時にイリスめがけて飛んできた。
「上昇気流ウィンド・アップ!!」
破壊されたと同時に木は高く空を舞った。そしてその間に、イリスはその場を離れた。虹の破壊を魔法発動のタイミングとみなしたのだ。もちろんイリスが飛んでも良かったが、木の根っこが引っかかるリスクを考慮しわざわざ発動コストが魔術よりも重く詠唱が必要な魔法を使い木を飛ばした。そして、定期的に鳥目を使い視界を共有しているが、まだ魔獣の気配が感じられない。すでに1km近く離れたのにだ。それどころか投げられる木すら見つからない、、、、
「思ったより長期戦になりそうだなぁ〜、、、」
イリスはそう感じた。
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おかしい、、、、、
イリスはそう感じぜざる終えない。さっきからピーちゃんを使い索敵を繰り返しているはずなのに一向に其の気配を辿れない。
数十メートル先が見えない森の中とはいえ、木を飛ばしているはずなので魔獣に近づけば近くの木が根本ごと外れているので、気づけるはずだ。そうこう考えてる間にまた飛んできた。 環境破壊はんたーい、、、
数十キロ先からとは考えにくい。なぜなら、森の出口まで数キロだからだ。イリスは冷静に考える時間が欲しかった。だからスキルLV.4[隠密]を使い隠れることにした。しかし、あっさりと見つかり木を投げられる。水蒸気爆発を使い逃げなければ危なかった。
「戦い慣れしてる、、、」
隠密を見抜くには隠密をよく知らなければ見抜けない。相当な数の争いを生き抜いたのだろう、、、こっちの索敵にだって気づけてるかもしれない。これ以上は、ピーが危ない、、、
「だめ。ピーちゃんは、見つけられない。戻ってきて!!」「チュピィ、、、」
「よく頑張った!誰にでも無理なものはある。今できることをしてくれると嬉しいな!」「チュピ!!!」
イリスは、褒めた。もちろん苦手という言葉も使わない。なぜなら、自分が得意だと思ってるものを、苦手なものだ!と言われると傷つくからだ。ちなみにソピアは、その励ましで沢山の人の心を折ってきてしまった、、、その時の教訓でもある。
イリスは必死に考えた。もちろんその間にも、木は飛んでくる。このままでは拉致があかないと思ったイリスは、木を観察してみた。すると、リスが気絶してることと、大きな手形が見えるのでおそらく大きな人型の生物くらいしかわからなかった。
「大きな人型かがわかったって見えなきゃ意味がないんだよぉ!!」
イリスは、思わず愚痴をこぼした。そりゃあ、永遠と無差別に木を投げて来られ反撃の糸口も見つからなきゃイライラだってする。何かの罠に追い込むのではなく淡々と木を投げ続け、通じてないとわかってるはずなのに作戦を一項に変えない。いかにも”初心者”がやりそうなことだそれなのに隠密スキルを見抜くという上級者の腕前を見せた。すべてが無茶苦茶で、「何をしたいのかわからない、、、」それがイリスの思うことだった。
しかししばらく躱していると、急に攻撃が止まった。
「なんで?」
イリスは思わず声に出してつぶやいてしまった。いきなり攻撃を止めるなんて、明らかになにかありますよと言っているようなものだ。だが、少しすれば理解する。ここ全体は、極微小の幻覚系スキルがかかっていた。「隠密スキルを見破った理由は、隠密と同じ幻覚系統のスキルを持っていたからか、、、」そうイリスは理解した。
「これは幻覚これは幻覚、、、」
幻覚を作り出す魔法は、これが幻覚であると感じる必要がある。次の瞬間まるでゴリラのような見た目をした全身苔のような色をした緑色の大型の魔獣が姿を表した。あたり一面の木は根こそぎ抜かれていた。そして大型の魔獣は明らかに混乱していた。なぜなら、木を躱すことさえ本来不・可・能・に・近・い・からだ。理由は、いたってシンプル隠密系スキルを持っていなければ感知すら出来ないように木に隠密を付与した。イリスは、隠密スキルを持っていたから。ピーちゃんは、風の流れで逆探知したから。奇跡的に噛み合ってさえなければこの攻撃を交わすことさえできなかった。「鳥目バード・アイの思わぬ弱点が浮き彫りになった、、、」今回見つかった弱点は2つ、1つは、鳥目バード・アイで、視界を共有しているものはどちらも自分の目ではなく、お互い別々の目で見ているからスキルなどで見分けることは、出来ない点。2つ目は、目だけを共有し、会話は加護の持ち主の一方通行だということでなければピーちゃんが消えているということを報告しないはず。まあYesとNoしか会話できてないが、、、
「ねぇ?その動揺具合からして今まで一度も見つかったことのないんでしょ?」
「ボゥォォォォォッッ!?!?」
今までの事が通用しないそれは、死の伴う狩りに置いてとてつもない恐怖となる。すぐにゴリラ型の魔獣は、暴れ出した。どちらかと言えば、やけになっているという方が正しいかもしれない。
「そんな計画性のない攻撃じゃ当たるものも当たらないよ。」
イリスは、攻撃をひらりと躱し次々と魔術をぶち込む。
一方的だった。近距離戦の経験差がこの戦闘の決着に繋がった。
「私の勝ちだよ!」
そう言ってイリスは背中から弓を取り出し、スキルも何も無い弓を風魔術で無理やり補正し打ち込んだ。矢は魔獣の心臓を深く突き、次第に魔獣は動かなくなった。
「今日は、もう少しで暗くなるしここでキャンプでもするか、、、」
イリスは、まだ抜かれてない木の根に座り、キャンプ用のテントと大型魔獣の嫌がるお香そして簡易テーブルを置いた。そし後森を抜ける間に、採取した食べられるきのこや草を簡易テーブルの上に並べた。
「お肉どうしよう、、、」
ふと、ゴリラと争ったときに飛んできた木で気絶していたリスを思い出した。
「回収しに行こ、、、」
イリスは、疲れている自分の身体を奮い立たせ木が倒れているところに向かった。
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