いけいけ勇者様86

最上司叉

第1話

【キンッ】


【キンッ】


「最初に比べだいぶ良くなってきたのじゃ」


「ハァハァッ」


「これなら思っていたよりも早くアヤツを倒せるのじゃ」


【グイッ】


勇者は頬を流れる汗を拭い剣を構える。


「あぁ、時間が無いからな!」


「どれ、仕上げにかかるとするぞ!」


そうおじいちゃんは言い目を閉じ剣を構えて集中する。


「ゴクリッ…」


勇者は思わず息を飲む。


おじいちゃんの目が開いた瞬間勇者は地面に倒れ空を見ていた。


勇者は何が起きたか分からない。


「ッ…!」


勇者は慌てて起き上がろうとした瞬間痛みが走る。


「なに、峰打ちじゃ」


「…」


「今の技をお主に会得してもらうぞ」


「…」


勇者は自分に出来るだろうか?と不安になる。


「なに、お主なら大丈夫じゃ」


「…」


「大切な人を守るんじゃろ?」


「!!」


「その意気じゃ」


勇者は魔王を思い出し技の会得に全力を注いだ。




その頃某城にて。


「勇者はまだ見つからないのか?」


「はっ、すみませんまだです」


「何をやっている!」


「申し訳ございません!」


【ザシュッ】


「ひぃっ」


「使えん奴め」


「…」


「おいお前」


「…私で御座いますか?」


「あぁ、お前だ」


「何か?」


「勇者の仲間はどうしてる?」


「…それが…」




その頃の勇者は


【キィィィンッ】


「だいぶ出来てきたのじゃ」


「ハァハァッ」


「あと少しじゃ…あと少しで…」


「…ハアッ!」


【ぐぉぉぉぉー!】


「…で…きた?」


「…あぁ…凄いぞ!思った以上じゃ!」


「…これで…やっと…あい…つ…を…」


勇者は全力で出したため疲れ切りその場に倒れた。


おじいちゃんは勇者を寝床まで運んでいく。


「これで良しじゃ」


おじいちゃんは勇者を寝床におろして胸のペンダントを開けて見た。


「姫様…これでようやく長い戦いが終わりますじゃ」


【パチン】


ペンダントを閉じて服の下にしまう。


「もう少しでまたお会いできますのじゃ…待っててくだされ…」


そしておじいちゃんも眠りについた。


そして数日後勇者とおじいちゃんは屈強な男との戦いに向かうのである。


勇者は大切な人を守るために。


おじいちゃんは奪われたものを取り返しに。


今戦いの火蓋が切って落とされた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いけいけ勇者様86 最上司叉 @moemee

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

同じコレクションの次の小説