08 シオン

目覚めると、お姉さんの肩に寄りかかっていた。

窓から、太陽の光が差し込んでいる。


お姉さんの肩に寄りかかって、

眠っていたみたいだ。


「おはよう〜てんりちゃん。

今日は、珍しく良い天気に見えるね〜」

「おはようございます、お姉さん

確かに、珍しく良い天気に見えます」

「きっと、てんりちゃんと一緒にいるから

そう思えたのかも。」


私の頬を優しく触れた。

お姉さんは、どこか寂しそうな顔をしている。


この人が思っていることを全部知りたい。

全ての部分が共通じゃないからそう思うんだ。


「‥らしくないこと、言いますね!」

「そこはさ、お姉さんの雰囲気に合わせてよ〜」

「だって、違和感しかなかったから」

「まぁ、いいけどさ〜!」


お姉さんは、そんなことを言いながら

私の頭を撫でた。


「ただ触れたくなっちゃった。

嫌なら、やめるから‥」

「このまま、がいいです」

「そっか。」


「ねぇ、君はさ、

私についてもっと知りたいことないの?」

「強いて言うなら、名前です」

「名前か〜」

「やっぱ、ダメですか?」

「ダメじゃないよ、知ってほしかったから」


お姉さんはふっと微笑んだ。

この微笑みが何よりも暖かくて落ち着く。


「私の名前はね、"シオン"って言うんだ。

家に飾ってた花からつけたらしいよ」

「あの、淡い紫色の花?」

「うん、そうみたい〜」


「名前を呼んでもいいですか、シオンさん」

「あはは、もう呼んでるじゃん〜」

「すいません」

「いいよ〜」


机に置いてある二つの鍵のもう一つを手に取り、

私の手のひらに置いた。


「合鍵、あげる」

「いいんですか?」

「‥私がいない日、あると思うから。」

「なるほど!」

「うん」


シオンさんは悲しそうな表情をする。

なんだか、今にも死にそうだ。


人の心情って本当に読めない。

読めたら、後悔なんてしないし、苦労しないし、悲しい事なんて多分ないだろう。


そんなこと、叶わないだろうけど。

シオンさんの傍にいられるならなんでもいい。

ただ、それだけだった。


















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