婚礼
ルークはそわそわして「いよいよだな」と皇太子にささやいた。皇太子もちょっと緊張した様子で頷いた。
特にこだわりもなく城の近くの
実りのない行為は禁じられているが、ここで定められているのは相手がいること、二人の間に情愛があることであり、禁じられているのはその定めに叛いたものであるのだという。直前に実りがないのを子が宿らないことだと癪に障るいい方をされたルークは救われた心地がした。子が宿る行為はすべて徳で子の宿らない行為はすべて罪だなんて、そんなばかげた話はなかったのだ。ルークは彼のようなひとにこそ聖職に就いてほしいと切に思った。
扉を開ける準備がされて、ルークは皇太子と腕を絡めた。ルークはこの上ない幸福に浸った。
扉が開けられて、皇太子と二人、拍手の音に満ちた祝福の道をゆっくりと進む。
いよいよ台にあがると、祝福は拍手から静寂に変わった。
「新郎メイナード。あなたはここにいるルークを夫として、いつ
「はい——誓います」
「新郎ルーク。あなたはここにいるメイナードを夫として、いつ何時も彼を尊び、慈しみ、愛すると誓いますか」
ルークは幸せな笑みを隠さずに頷いた。「誓います」
「それでは、新郎から新郎へ誓いのくちづけを」
皇太子と向かい合って、ルークは思わず笑った。どっちからするんだ?
二人で近づいて、同時に恥じらって、また同時に距離をちぢめた。もう知っているはずのやわらかなぬくもりに、どうにかなってしまいそうなほどどきどきして、体が熱くなる。ルークは照れくさくなって笑っていたが、皇太子も似たような笑みを浮かべていた。
ルークの部屋が近づいてくると、どちらからともなく、くちびるに噛みついた。深くくちづけを交わしながら、ルークは皇太子の体に腕を絡め、皇太子はルークの体に手を這わせた。すこしづつ足を進め、皇太子がルークの部屋のドアを開けた。部屋に入ると皇太子が後ろ手にドアを閉めた。
ルークはくちづけを交わしながら皇太子に迫られるまま、足を繰り返し後ろについた。足元でベッドを探すと、皇太子の首に腕をまわして座りこんだ。そして彼に押されるまま体を倒した。
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