第2話 竜族




自分が髪を切ってしまったことに何か問題があることに気づくまで長い時間がかからなかった.


この銀林で3日間さまよっているのに、黒竜は影さえ見えなかったから…


「ちぇっ!」


3日間迷っている李銀林は「ロード·オブ·ザ·リング」や「王座のゲーム」で見たファンタジー的風景を圧倒するほどの森だった。


森を埋め尽くしている木は初めて見る珍しいものだった。 銀の月の光を浴びると葉が銀色に光を放つ奇妙な木だった。


多分、だから銀林なんじゃないかと思った。


この奇妙な美しい森には食べるものがないというのが問題だった。 最悪だ。


「逃げてきても、こんな森の中に逃げたのか。 この体の主は何をする人だったんだろう。」


食べるものと推定される実があるが、毒性の有無は分からなかった。 このままでは餓死するに違いない。


ここの気候は夏ぐらいだと感じられた。 昼は暖かく、夜はかえって寒く感じた。 私がいるところが山だから、そう感じられるのではないかと思った。


「私が皇帝なら、いや、少なくとも皇位継承権者なら支持する勢力があるのではないか。 反乱軍に対抗する勢力がどこかにはあるだろう。 彼らとの接線をしなければならないのに。」


この数日間悩んだ末に下した結論は、情報を集めなければならないということだ。


唯一の情報源である黒竜が消えたのだから、自分で解決するしかない。


「あれは王宮のようだけど」


私はどこからでも見える最も大きな建物をじっと眺めた.


私がいるこの山の古都は分からないが、空の二つの月の次に一番目につくのは、ものすごく大きくて華麗な建物だった。


「王宮でなくても、最低限意味のある建物だろう。 そうでなければあんなに大きく見えるはずがない」。


この世界の技術力は分からなかったが,少なくとも私の常識外れのことが当たり前のようにあった. 髪の毛が銀色に発光するとか。 木の葉が銀色に光ったりするとは、奇異なことだ。


「このままでは飢え死にする。 村に下りはしなければならないのに。」


道しるべにしているのは大きな建物と渓谷だった。 少なくとも渓谷の水流に沿って下っていくと山を下ることになるだろう。 そもそもここで北極星だの何だのというのは意味がなかった。 北極星と思われる星もなかった。


水腹を満たしながら耐えてきたが、限界に達した。 谷間の水はとてもきれいだったが、魚は妙になかった。


「もう歩く力が出なかった。 この体は体力がゴミだ。 生きている時は、あの重い防弾服を着て重武装をして作戦を遂行しても何の問題もなかったが、このか細い体は少し歩いただけで筋肉痛が炸裂する。


「完全にお姫様だったみたい。」


私はあたりの木の枝をかき集めてたき火にしようとした. 3日間もやっていることだが、本当に火を起こすのは難しかった。


本当に原始部族のように摩擦熱を起こしてこそ火種を起こすことができた。


「ああ、とてもやってられないよ。 むかつく!」

文明の利器が懐かしくなった。


私はかき集めた枝を指さして叫んだ。


「このようにパッと火が点いたら、どんなにいいんだ!パッ!パッ!パッ!」


何度か手で木の枝を指さすと急に自分で火がついた。


「うわぁ!なんだ? 急にどうして火が点いたの?」


私は手とたき火を交互に見た。


「まさか…」

不審に思いながらも,疑いを晴らすために枝を取り上げた。


木の枝先に集中しながら、指差しながら火を思い浮かべた。


「火!」

- がぁー! -


私が火だと叫ぶと木の枝に火がついた。


「あきれた。 魔法使いにでもなったの?何? おい、黒竜!出ないのか? 説明をしてあげないといけないんじゃないの?」


いくら剣に向かって大声を出しても、何の反応もなかった。


私は火のついた枝をたき火に投げた。


燃え上がる木の枝を見ながら考え込んだ. いったい死んでいくその瞬間、黒竜が私に何と言っただろうか。


いくら思い出しても思い出せない。 死にたくないと神に祈ったのが最後の記憶だった。


「火を扱うことができれば、ほかにもなるんじゃないか。」


私はとてもお腹がすいていたのでピザを思い出しながら叫んだがピザが出なかった。 ハンバーガーやパスタなど、あらゆることを経験したが、結果はむなしいものだった。


「ますますおなかがすいてきた」


焚き火の温もりは体を温めてくれたが、冷たい谷の水だけを飲むと体の中に寒さが漂った。 不思議なことに,あの谷間は冬の谷間のように氷のようだった。


「はあ、お湯でも飲んだら」


すると、水の塊が私の手の上に現れた。


「何?これはできるの?」

私の原理が気になる前に食欲が最初に支配された。 その水の塊は奇妙な膜に囲まれて飲みやすくなっていた。


水の固まりの温度は私が考えていた温度であった.


「火、水。ひょっとして。」


私は地、水、火、風を思い出した。


試しにできないことはなかった。 まず木の葉に向かって手を伸ばして、風が振るのを想像した。

すると、想像通りに望む木の葉だけが風に揺れた。


「もしかすると、食べ物も出てくるんじゃないの?」


土地は食べ物を育てているので、もしかしたらと思って、地面を睨みながらイチゴを想像したが、全くできなかった。


「本当に大事なことがいけないんじゃないの!」


イチゴ、スイカ、ブドウが思い浮かぶ食用植物は 全て思い浮かんだけど、出来なかった。


グーグー。


もっとお腹が空いてきた。 食べることを想像するととても大変だった。

私はもしかして食べられるかと思って採集しておいた実を袖から取り出した。


どうせ飢え死にしても毒のために死んでも同じだろう。 どうせ死んだんだから、また死ぬことも怖くなかった。 どうせ両親に会えず、愛する友人を見ることもできなかった。 私の肉体はもうなくなっているだろう。


私は昨日採集しておいた青い実をぎゅっと目を閉じて食べた. 思いのほか甘ったるいのがおいしかった。


夢中になって食べたら私は急に眠くなってきた。


やっぱり毒があったんだ。 こうやって終わるのかな? むなしいな。


意識は遠のき、私はついに倒れた。


***


「追撃隊がもうここまで入ってくるとは、主君よ! 逃げなければなりません。」


ハンサムな男がひざまずいて言った。 青黒い髪の毛は光を受けると、青紫色に見えたりもした。


「私は…。」


か細い女の声。

直感的にこの体の主人だと分かった。


「私が黒竜国の主であるはずがない。」

「主君です。」

「でも。」

「主君が最後に残った竜族ですから。」


弱々しい女は悲痛な瞳で男を見下ろした。 今にも泣き出しそうな顔をして唇をかみしめた。 本当に小説や映画で見るようなお姫様だった。


はぁ…どこに逃げるんですか? 安徽将軍。」

「銀林を過ぎて昇洲に行くと私の同僚がいます。 そこに隠れていて勢力を整備し、時を見計らって宮殿に向かいます。」

「私はまだ、黒竜と契約をしていないのですが、本当に私が皇帝なのでしょうか? 今、黒竜城にいるあの方かもしれません。」

「鳳凰族ですか? まだ武帝との契約が切れたのではありません! 主君、時間がありません。 急がなければならないです。 無礼をお許しください!」


安徽と呼ばれた青黒い髪の毛の男は、か細い女性の手首をつかんで荒く出て行った。


「安徽将軍!」

「時間がありません。」


安徽は女性をさっと持ち上げて馬に乗せて一緒に乗り込んだ。


相変わらず、ためらいながら涙を流す女の言葉を無視したまま、拍車をかけながら走っていった。


「安徽!」

「主君、私は命を捧げて主君を守ります。」


悲壮な安徽の面持ちに女はためらう 結局、短くため息をついた。


「銀林までは3時間ほど走れば到着です。 銀林の地形は複雑で追撃隊をかわすことができるでしょう。」

「安徽、僕は黒竜国の主人になるつもりはありません。 その方が簒奪したのではなく、正当な継承者である可能性もあります。」

「それならなぜすべての竜族を皆殺しにしようと思うんですか? 武帝と戀姬の契約でこの国は建国された国です! 弱気にならないでください。 主君がこの国の真の皇帝です。」


***


「はぁ…。」


私は荒く息を吐いて目が覚めた。 その夢は何だったのだろうか。


空を仰ぎ見るとほんのりと夜が明けていた。 銀月の光が弱まったせいか、短い髪はだんだん漆黒に染まっていった。


「その夢は、このからだの主人のようだ。」


安徽。

軍人の目つきだった。

SACには将校出身も多くいた。 死んだ仲間が思い浮かんだ。

作戦を遂行する仲間たちの目つきに似ていた。


夢が事実なら、安徽将軍という人を早く探さないと。


確かにその将軍もこの銀林にいるだろう。

そのようにこの女を生かそうとしたが…。 作戦を遂行する軍人があきらめて逃走するわけではなかった。


しかし、この銀林は「夢」で安徽が言ったように地形が複雑だった。


「おそらく彼はこの銀林をよく知っていたのでこちらに追撃隊を誘引したのだろう。 このウンリムにどこにいるかも知らない安徽将軍を探しに行ったら私が死ぬ。」


他の糸口が必要だった。 安徽将軍が生きていたらいつか必ずこの女性を探しに来るだろう。 地形も分からない私が探しに行くより、探しに来ることを信じなければならない。


銀林を過ぎて昇洲に行くと私の同僚がいます。 そこに隠れていて勢力を整備し、時を見計らって宮殿に向かいます。

「昇洲?」


スンジュがどこにいるか分からないが、糸口はそれしかなかった。 黒竜は消え、いつまた追撃隊がやってくるか分からないこの銀林に、何もなくさ迷うことはできなかった。


「まあ、いざとなったら、この剣で戦わなければならない。 魔法なのか不思議な能力は使いこなせないから、ひたすら私の剣術しか頼れる所がないじゃないか。」


不幸か幸いか真剣を扱うことができた。 大きく殺傷力のある戦闘をしたことがないが、素手で飛びつくよりは感謝すべきことだ。


「正直、刀よりは銃の方が慣れてるけど、しょうがないよ」


作戦は銃器であって、21世紀にこのような剣を振り回して戦わない。 剣術を習ったとしても実際の戦闘で使ったことがない。 どれほど自分にできるか、この弱い体力の体でできるかわからない。


「これ以上怖いこともないじゃないか。 もう死んでみたから、死ぬことも何もないよ。」


山を下りるときに巻きつくスカートにいらいらしていて,結局破れた。 引き裂いた布で頭を覆った。


目立つ竜族の頭は隠すのが得策だ。


「そういえば安徽将軍という人の髪色もすごく変わっていた。 染めで出せる色ではなかった。」


もう何を見ても正直驚かなかった。 最初から月が2つもあるのに。 髪の色に虹色があると言っても驚かないかもしれない。

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