第2話
キリアン王子はここ、ドゥメルク王国に2人いる王子の長男。当時私と同じ20歳。
王様になる運命にあり、その教育を幼い頃から受けている彼は近い将来この国を治める男になるのは確実だ。
そんな彼に妃にしてもらえると言われて思わず舞い上がってしまった。
こんな力しか取り柄のない女でも妃になれるのだろうか?妃になるにあたっての教育とかは受けなくてもいいのだろうか?せめて知識だけでもまともになっておくべきなのだろうか?
この国を守る騎士として恥じない生活はしつつも、将来の事も考えて勉強をした。
この国のこと、王のこと、政治やお金のこと、そして妃のこと。ほぼ独学になってしまってかなり苦戦したが、それでも努力を続けた。
急に勉強を始めたり色気付き始めた私を馬鹿にする騎士の仲間は沢山いたが全く恥ずかしくはなかった。努力している私の姿を見て王子は美しいと言ってくださったのだから。
その甲斐あってか、努力を積み重ねる事約5年。いつしか『ドゥメルク王国の女騎士の誇り』『聡明で強く美しい女騎士』等と呼ばれるまでに成長した。
元は平民の、力だけが取り柄の普通の女騎士だった頃とは周りから見られる目がかなり変わった。
今の私なら、キリアン王子の隣に立っても恥ずかしくはないだろう。
散々馬鹿にしてきた仲間の騎士達だって手の平を返すように私を魅力的だと言ってくれるまでになった。
これまでの活躍を認められ、現国王にもかなり気に入ってもらえた。
『君のような素晴らしい女性が妃になるのは私も大歓迎だ。君程聡明で礼儀もしっかりとしている女性ならすぐに妃としての作法も身につくだろう。』とまで言ってもらえた。
ああ、ああ、あの時ほど努力が報われたと実感した日は無かった。私がやってきた事は全て無駄じゃ無かったのだ。
国王様に言われるがままキリアン王子との縁談の話が進む。この時はまるで夢を見ているかのようにふわふわと頭が軽く、顔も熱かった。
だが、その熱は久しぶりに見たキリアン王子の姿を見て__否、キリアン王子の部屋に居た“女性”の姿を見て一瞬で冷めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます