女騎士が王子に酷くフられた途端、エリート騎士が溺愛してきました
栗木百幸
第1話
私は彼を好いてなどいなかった。
だけど彼の『ニ番目の男として今度は僕がお前さんの側に居させてくれないか』という、少し捻くれた言葉だけは好きだった。
【女騎士が王子に酷くフられた途端、エリート騎士が溺愛してきました】
まるで昔読んだロマンス小説のようだ。
王子と平民女性との甘いラブストーリー__あまりにも現実離れし過ぎだし、あまりにも幼稚な内容だった。それでも幼少期は同じ年代の女の子たちに囲まれてキャーキャー言いながら読み合ったものだった。
そんな私、セシル・ニールもいつの間にか大人になり、騎士の才能があった私はその道へと進み、いつしかそんな小説を読んで騒ぐ事も無くなった。
邪魔だからと乱雑に切られた髪。柔らかさを感じさせない身体。傷だらけの手足。
こんな姿の自分が恋愛どころか女性として扱われる事すら無いだろう。
白馬に乗った王子様どころが、世の男性誰からも相手にされないだろう。
そう思っていたし、そうなってしまってもいいとすら思っていた。
だが、ロマンスは本当にあったのだ。
こんな男女なんて呼ばれた私に、この国の王子__キリアン・ドゥメルク第一王子が声をかけてくださった上に、私を見初めてくださったのだ。
『セシル・ニール。貴様のように努力をし、力のある強い女は美しい。俺様が王となった暁には貴様を俺様の妃にしてやってもいい。』
それがプロポーズの言葉だった。
今となってはなんて身勝手で横暴な発言だろうと思う。しかし当時の私は男らしい彼の言葉に一気に幼い頃に抱いた憧れを思い出し、恋心を抱いてしまったのだ。
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