第5話 『ヒール4』
『ヒール4』
サリオスに苛立っても仕方ないから、俺は今よりも強くなるよう頑張っていきたい。
「あははは、いい猫人族を捕えたぜ」
「ひえ〜可愛い猫人だ!」
掲示板とは逆の方だった。
猫人がどうたらと。
振り返り見ると猫人族の女の子が床にグッタリしていた。
「うう……」
どうしたのか。
ひどい怪我をしている。
早く回復してあげないと、命に関わるよな。
助けてあげたいが、相手は何人もいる冒険者パーティーらしい。
一人で文句を言っても、勝ち目はないと思える。
スルーするのが得策だが、俺は我慢ならずに声をかける。
「あの、この猫人は怪我をしています。助けないと?」
「誰だお前は。この女は俺様が見つけた女だ。商人の乗っている馬車にいたんだよ。怪我は初めからだったがな」
商人の馬車に?
意味がまだわからないな。
「なぜ商人の馬車にいたのに、あなたが連れているのかな?」
「まだわからないか。俺は商人の馬車からこの女を助けてきたのさ。そして奴隷商人に売り飛ばす予定だ。それに文句があるのかよ」
奴隷商人に!
ひどいことをする。
助けたい気持ちがある一方、怒り気味で怖くなっていた。
「文句はないけど……」
「お前には関係ねえ」
「バーニング、いい金になるぜ!」
「あはははは」
俺と会話した男はバーニングと言うらしい。
仲間も武器を持つので、冒険者パーティーのようだ。
「うう……」
「ほら立て!」
「うう……」
猫人の子を無理矢理、歩かせようとしていたけど、怪我のため立ち上がるのも困難だった。
なぜ誰も止めないのか。
相手がパーティーだから、トラブルなりたくない空気だ。
黙って見過ごすことも出来るのもあるが、俺はバーニングを止める。
「待ってくれバーニング。この猫人の子を俺に預からしてくれないか」
「なんだと、この女は金になるんだ。お前に渡して金になるのかよ!」
「いくらですか?」
いきなり金の話になった。 金は少ししかないのに困った。
「100万バルだ、出せるか!」
「100万!」
100万バルは高額である。
俺の手持ちの金は5万バルで、なんとか生活していけそうだったからだ。
予想以上の額に俺は黙ってしまった。
「うう……」
「無理だよな?」
無理だよなと言われてこの女の子を見たら、やはり見逃すのは無理だった。
「わかった。100万を出す」
つい、言ってしまう。
「じゃあ出せよ」
「今はないんだ」
「ないだと! こいつはバーニングを騙すつもりだぜ」
仲間の男が強い口調で言ってきた。
「必ず払うから、後で……」
後日に何とか支払いを伸ばせないかな?
「本当だな。そしたらギルドで調書を作ってもらおう」
冒険者ギルドでは、お金の貸し借りの仲介もしていた。
ギルドが直接に間に入り、書類を作成して、貸し借りを認めるものだ。
その方が後で、トラブルにならない方法だった。
俺は金の貸し借りは興味ない堅実だったから、まさかギルドのお世話になるとは思いもしなかった。
バーニングと俺はギルドの受付嬢と話しあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます