第13話 尋問


 私の心理的抵抗感はともかく、断る理由もないのでシャペロンの話は受けるとして。ライヒさんたちが周辺の捜索を終えたというので私は馬車の外へ出た。そのまま縄で縛られた山賊の頭領の元へ向かう。


「り、リリーナ様。危険ですので……」


 ライヒさんが止めてくるけど構わず進む。


「ちょっと聞きたいことがあるだけなので、平気ですよ」


「聞きたいこととは?」


「アジトの場所を聞き出そうかと」


「アジト……? どうしてまた?」


「こいつらは山賊ですからね。もしかしたら誘拐された人がいるかもしれません」


「可能性はありますが……そのようなことは近くの街の騎士団にでも任せればいいのでは?」


「これから近くの街に行って、騎士団に説明し、準備を整えてから救出のためアジトに向かう……。どれだけの時間が掛かるでしょうか? その間に、被害者が亡くなってしまう可能性もあります」


 なにせ、誘拐された人というのはギリギリの食料で生かされている可能性が高いし、衛生的に劣悪な環境に置かれている場合が多い。


 偉そうに語る私でも、そういう状況・・・・・・を直接目にしたわけではない。


 ただ、公爵夫人として領地経営に関わっていたときに、何度か報告書を受け取ったことがあるだけ。被害者の数は知っていても、名前すら分からない。その程度のお話だ。


「…………」


 私の話を聞いて、ライヒさんが片膝をついた。


「……何という思慮深さ。感服いたしました。そういうことならば、私が尋問いたしましょう。リリーナ様はどうぞ馬車にお戻りください」


 迷いなく腰の剣を引き抜くライヒさん。……私よりは尋問方法にも詳しそうだし、ここは素直にお任せしましょうか。


 馬車に戻り、防音の魔法を展開し、ミアと楽しくお喋りしていると……ライヒさんはうまくやってくれたようだった。




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