第14話 アジト制圧


 山賊からは誘拐された人がいるという情報と、アジトの場所を聞き出すことができた。なので、さっそく被害者救出に向かうこととなった。


 もちろん私も同行しようとしたのだけど、


「危険すぎます」


 と、ライヒさんに止められてしまった。私も一応は貴族で、元とはいえ公爵夫人だからね。止めようとするライヒさんの気持ちもよく分かる。


「しかし、探知魔法が使える私も行った方がいいでしょう? それに私なら自分の身を自分で守れますし」


 と、私。

 先ほど雷魔法で山賊を制圧したばかりだから説得力抜群でしょう。


「お姉様なら平気でしょう。殺しても死ななそうですし」


 と、ミア。

 妹分からの厚い信頼に泣きそうな私である。


 ともかく。山賊の頭領を引きずりながら、聞き出したアジトへと移動する。ライヒさんは止めようとしたけれど、公爵家の血筋である私に触れることは憚られたのか結果としては黙認してくれた。


 ちなみにミアも同行した。当然のように自前の剣を持って。普通の貴族令嬢ならば付いてこようとすらしないはずだし、自前の剣なんて持っていないし、私も全力で止めたことだろう。


 でも、この子は普通じゃないんだよなぁ。


 なにせアイルセル公爵家は建国以来の武の名門。代々近衛騎士団長を輩出してきた家柄。そのおかげかだいぶ脳筋――ごほん、実力主義であり、男だろうが女だろうが能力さえあれば当主に据えてしまうのだ。


 つまりミアは『当主候補』として、幼い頃から騎士になるための訓練をさせられてきたと。


 そんな彼女であるからたぶん私が助けに入らなくてもさっきの山賊を撃退できていただろうし、今から山賊のアジトに向かっても問題はない。


 いや、公爵家令嬢二人が山賊のアジトに向かっている現状に、ライヒさんが痛そうに胃を押さえていたので問題はあるかもしれない。味方の精神衛生面という意味で。


 そんなライヒさんや騎士の皆さんと一緒に森を進んでいると――いかにも怪しげな洞窟が見えてきた。


 探知魔法で中を探索。……山賊は見張り役以外はいないみたいね。ミアの馬車を襲うためにほとんどの戦力を割いたのか。これならすぐに制圧できるでしょう。


 その他には子供らしき反応が二人分。さすがに探知魔法だけでは健康状態までは分からない。


 人質もいることだし、さっさと終わりにしましょう。ミアと目線で確認し合ってから、戦闘開始。


 まぁ魔法使いもいなかったし、ミアもいたので制圧自体はすぐに終了した。




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