第25話「いつか1人になるから」
定期試験が終わって1週間がたった。今日は今回の定期試験の成績上位者トップ30が掲示板に貼られる。掲示板に貼り出されるのは帰りのホームルーム後だ。トップ30に入りたくて頑張ってきたやつや1位を取るために必死に勉強してきたやつの緊張感が伝わってくる。彩華と渚のピリついている。お互いいつも通りを装っている。まぁ、俺は載るわけがないのでそこまで気にしていない。と表向きには言っているが今回頑張ったし載ってないかな〜、と少し期待している。
(奈津美)「おはよう!」
(修)「おは〜」
(奈津美)「私この空気嫌いなんだよね〜」
(修)「まぁ、みんなこのために頑張ってきたわけだし仕方ないよ」
もちろん奈津美も入るわけがない。なぜなら俺と同様に欠点常習犯だからだ。
✴✴✴✴✴✴✴✴✴
それから時間が経って放課後になった。ホームルームの先生の話しなんてまったく聞いていない人がたくさんいる。
キンコンカンコーン
ホームルーム終了のチャイムがなった。クラスの人達が一斉に掲示板が向かった。それは他のクラスも同じだ。いつもより椅子の音がガタガタ聞こえる。彩華が1位になってたらなんかお願いを聞くことになっているし一応見に行く事にした。でも人が多すぎてまったく見えない。こんなのんびり来るんじゃなかった。
(奈津美)「相変わらず人多いね」
(修)「だな」
(幹也)「今回俺載ったわ」
(奈津美)「はぁー!」
(幹也)「わるいな雑魚ども」
(修、奈津美)「うっさいバーカ」
そうしていると人混みの中から渚さんが出てきた。
(幹也)「二葉さんどうだったの?」
(渚)「1位だったよ!」
(幹也)「おお〜、すげぇー」
(奈津美)「さすがだね」
(渚)「2人ともありがとう。でも修くんは祝ってくれないんだ」
(修)「いやいや、おめでとう」
(渚)「うん、ありがとう」
渚さん1位の割には嬉しそうじゃない。まぁ、あれくらいになると何も感じないのかな?ま、いっか。みんな順位を見て用がすんだようで人はどんどん減っていった。俺も順位が見れるようになった。本当に渚さんが1位だった。その1個下に彩華の名前があった。しかし彩華の名前の横に書いてある順位は1位だった。そう彩華と渚さんの同率1位だった。そして掲示板の目の前で彩華がポツンと立っていた。
(修)「彩華、1位おめでとう」
(彩華)「うん、ありがとう。でも同率1位か〜」
(修)「でも1位は1位だよ。すごいよ。お願いって何?」
(彩華)本当は付き合ってって言うつもりだった。修くんの言った通り1位は1位だけど………
(彩華)「まぁ、やっぱいいかな」
(修)「そ、そうなの?」
(彩華)「うん、最後に1位になるのは1人だから」
(修)「ならいいけど」
(彩華)「あ、でもやっぱりお願いするよ」
(修)「うん」
(彩華)「今日一緒に帰ろうよ!」
(修)「そんなんでいいの?」
(彩華)「今はそれくらいが丁度いい」
今日は部活がなかったのでそのまま一緒に帰った。
✴✴✴✴✴✴✴✴
帰り道では他愛もない話をした。彩華とこんな話をするのはやっぱり楽しかった。でももうわかれ道だ。
(彩華)「また明日」
(修)「また明日」
(彩華)「あと一つ」
(修)「なに?」
(彩華)「修くん大好きー」
そう言って彩華は走っていった。その気持ちは嬉しい。でもまだ君たちの想いに応える事はできないんだ。
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