第20話「ルールは破るためにある」


 俺の誘いに対して彩華はコクッと頷いた。俺は少しホッとした。どう話していいか分からなかった。だからシンプルに話そうと思った。


(修)「彩華、ごめん」

(彩華)「え?どうしたの?」

(修)「彩華が昨日の夜から俺の事避けてるから俺彩華に何かしちゃったのかなって思って色々考えてみたんだけど分からなかった」

(彩華)「ぷっ、ふふふ」



 なんか彩華がいきなり笑いはじめてしまった。どうしてしまったのだろうか?壊れた?


(彩華)「あ〜あ、なんかどうでもよくなっちゃった。」

(修)「許してくれたってこと?」

(彩華)「う〜ん、どうだろう?結婚してくれたら許してあげるよ」

(修)「無理でしょ」

(彩華)「えー、修くんのケチ」

(修)「だって、まだ俺たち17歳だし」

(彩華)「じゃあさ、18歳になったら結婚してくれるの?」

(修)「う〜ん、どうだろうね」

(彩華)「うわ〜、ずるい」


 それから俺たちは時間になるまで色々まわってめいっぱい楽しんだ。本当に楽しかった。やっぱりいつも通りの彩華といるのは最高だ。最高の時間がたつのはあっという間だった。


(修)「もう少しだけ時間あるけどどうする?」

(彩華)「行きたいところあるからついてきて」


 彩華の行きたい場所に着いていった。そこは海だった。


(修)「ここ風が気持ちいいね」

(彩華)「そうだね。最高だよね」

(修)「でも、何しに来たの?」

(彩華)「よくぞ聞いてくれました。海に入ろうよ」

(修)「いや、水着持ってきてないよ」

(彩華)「ズボンの裾あげれば少しくらい大丈夫だよ」

(修)「それより、2日目以外は海に入るの禁止ってしおりに書いてあったよ」

(彩華)「ルールはね破るためにあるの」


 そう言って彩華は俺の手を引いて海に入っていった。夕陽に照らされる彩華は綺麗だった。


(修)「綺麗」


 その時だ。彩華が目の前の段差に気付かずこけてしまった。そのまま海へダイブ。そしてもちろん手を繋いでいた俺も海へダイブ。


(彩華)「ごめん」

(修)「は、ハハハ」

(彩華)「ふふふ」


 俺たちはそのまま海に浸かったまましばらく笑っていた。



 ✴✴✴✴✴✴



 そしてホテルに戻った時に幹也と渚さんはものすごい驚いた顔をしていた。当然だろう。俺と彩華が全身びしょ濡れで帰ってきたのだから。その後担任の先生、学年主任の先生からみっちり叱られた。でもそれ以上にビッグニュースがあった。そのビッグニュースはもちろん悪いほうだった。


(幹也)「先生!全然奈津美が帰ってこないし連絡も通じません」

 

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