第6話「誰が好き?」

 俺は素直にあった事を話すのか迷った。でも奈津美と買い物に来ていたのが浮気だなんて言ったら奈津美に気を遣わせてしまうかもしれない。それはなんだか良くない気がした。


 そう俺が悩んでいるとお手洗いから神田さんと渚さんが戻ってきた。


「おまたせ〜」


 ラッキーな事にこの場をなんとかやり過ごすことが出来た。


 ✴✴✴✴✴✴✴✴


 俺たちはラーメン屋に入ったが席が混んでいて2人席を2つにするしかなかった。少し席が離れていることもあって話しながら食べるなんて事は難しいだろう。


(渚)「私たち4人だけどどうやって座る?」

(彩華)「そこは私と修くんが一緒に食べるに決まってるじゃないですか」

(奈津美)「いいや、修とは幼馴染の私が一緒に食べるに決まってるでしょ」


 うん、一緒に食べたいと言われるのは嬉しいがこれでは全然決まらない。


(彩華)「私はただ好きな人と一緒に食べたいだけ」


 そう神田さんが言うと俺が恥ずかしいのはもちろん周りの人達がこっちを見ている。それは「こんな場所で告白!?」、「羨ましい」など色んな声が聞こえてる。もちろん「なんであんな普通のやつが」という声も、うん聞こえてるからな。せめて聞こえないところで言ってくれよ。


 (奈津美)な、なんでこの人はこんなにもストレートに気持ちを伝えれるわけ?私は保育園から高校まで一緒なのに未だに好きだなんて言えてないのに……


(渚)「まあまあ、君たちが争ってると進まないから修くんと一緒に食べるのは私で決定!って事ではやく行くよ」


 渚さん神かよ!まじで感謝すぎる。


 俺たちは席に着いた。1つ心配なのはあの2人だ。あの2人が気まずくなっていないかだ。だってあんまり話しているところを見ない。


「助けてくれてありがとうね」

「まぁ、あのままじゃ進まなくて後ろの人にも迷惑かけちゃうところだったしね」

「とはいえ感謝してるよ」

「感謝してるならさ私の質問に答えてよ」


 また奈津美の時みたいに神田さんを彩華さん呼びした事を聞かれるのか?まぁ、渚さんには言ってもいいかもな


「い、いいよ。俺に答えれる事なら」

「では、彩華とは付き合ってるの?」


 思っていた質問とは違った。これくらいなら大丈夫か


「じゃあ、彩華の事好き?」

「うーん、分からないかな。美人でいい人だとは思うけどまだ関わり始めたばかりだし」

「そっか、じゃあさ、奈津美ちゃんの事好き?」


 な、奈津美?奈津美の事をそんなふうに考えた事がなかった。


「恋愛的な好きではないけど好きだよ」

「じゃあ、どんな好きなのさ」

「家族みたいな」


 (渚)ふーん、そうなんだ。今のところは彩華が一歩リードなのかな。恋愛対象として見られてるだけ


「あの2人どんな話してるんでしょうね?」

「ほんとそれめっちゃ気になる。盗み聞きする?」

「フフ、それはさすがに良くないですよ」


 なんだか寒気がする。どこかで誰かが俺の話をしてるのだろうか?


 そう思っていると渚さんはゴクリと唾を飲み込んだ。


「私の事は好き?」

「え?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る