第3話「帰り道」
俺が神田さんみたいな美少女と2人で帰れるなんて人生というのは何が起こるか分からないものだ。俺はずっと気になっていた事をきいた。
「あ、あのか、神田さんはなんで俺の彼女に立候補してくれたわけ?」
「ん?好きだからだけど」
この人なんでこんな恥ずかしいことを澄ました顔で言えるんだ?
「好きになってもらえるのは嬉しいんだけど俺と神田さんってほとんど接点無いよね?」
「う〜ん、そうだね。でも実は2回話した事あるんだよ」
本当に一回も話した記憶が無い。
「ちなみにどんな会話を?」
「一回目は本屋さんでその日発売のライトノベルの新刊を買いにいったとき」
そう言われた瞬間なんだか思い出した。アニメやドラマのように同じ本を同時に手にとってそれがラスト一冊だったから譲ったんだ。
「その顔を見るに思い出した感じだね」
「ライトノベルの新刊発売日の事だよね」
「その時に優しい人なんだな〜って思ったんだ」
うん、こんな美少女を目の前にこれは俺のだと言ってとることができるか?いや、そんな事をできる男はこの世に存在しないだろう。
「もう一回の話した機会ってのは?」
「次に話したのは私が生徒会の仕事で体育館倉庫の道具の確認をしてたときにバスケ部のボールがとんできたときに私を守ってくれたんだよ」
えっと………まったく記憶に無いんだが
「もしかして覚えてないの!?」
「うん、覚えてない。本当にそれ俺?」
「あの人は絶対に修くんでした。その後私に(大丈夫か?)ってきいてくれたときに好きになりました!」
またもこの人は好きだなんて言葉を恥ずかしがらずに言えるもんだ。
「照れてる修くん可愛いですね。顔が赤いですよ」
俺は自分の顔が熱くなるのを感じた。
「ありがとう。俺を好きになってくれて」
「お付き合いはしてくれないのですか?」
「ごめん、もう少し考えさせてよ。ちゃんと話したのはこれが初めてでしょ」
「まぁ、そうでね。私が修くんをおとせばいいだけの話ですね。これから覚悟しててくださいね」
どうやら俺は大変な人に好かれてしまったらしい。
それでその日は連絡先を交換して解散した。
その日の夜に通知が来た。神田さんからだった。
「修くん今日はありがとうございました」
「こちらこそありがとう」
「修くん好きです」
俺はこのメッセージを既読無視した。
******
翌日の朝に俺はこの事を追求されることになった。席に座るやいなや神田さんが近づいてきた。
「なんで昨日既読無視したんですか?」
「いや、なんて返したらいいのかわかんなかったから」
「そこは俺も愛してるぜマイハニーでしょ」
その瞬間クラスメイトの同級生に向けてはいけない視線が一気に集まった。そして二葉さんが小声で俺達に
「2人は付き合ったの?」
そうきいてきた。神田さんがニコニコしながら
「そっ、それは〜」
そんな含みをもたせた言い方をするんじゃないよ。
「付き合ってない」
「あっ、ふ~んそうなんだ」
二葉さんのあきれたような………よくわからない表情をしていた。
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