第六章 好きな女と海に来て嬉しいけれど、夏の海は誘惑が多過ぎるんだが



青と赤と白のカラフルなビーチパラソルを立て、ブルーシートを敷いた俺は、もう既に汗だく。

まぁ、海に来たのだから、汗だくになっても別に、構わないんだが。


優子と有美は、パラソルの日陰の中、日焼け止めクリームを塗りあっている。

「わぁー!有美ちゃん、ボインちゃんね〜!ボヨヨ〜ン♡」

有美の身体に、日焼け止めクリームを塗りながら、はしゃぐ優子。

お前は、どこぞのおばはんか!




うーん……。確かに、ボヨヨ〜ン……。

アホか、俺は!!



「誠も、日焼け止めクリーム塗った方がいいよ。」

有美が俺の方を見て、そう言った。

「俺は、いいよ。男だし。もう既に焼けてるから。」

そう言って、二人の前に立つ俺をパラソルの中に引っ張る有美。

「海はプールと違うんだから。塩水で濡れた身体が焼けると痛いんだよ。」

有美は、そう言いながら、俺をシートの上に座らせ、背中に日焼け止めクリームを塗ってくれた。

「あ、ありがとう……。」

俺は、少し頬を染める。


夏の海。

今年の夏は、狂ったように暑い。

少しでも涼しさを求める為、海は、人が沢山だ。


しかし……。

いろんな水着を着て、はしゃぐ女達。

なんて……なんて…………。


夏の海は、最高なんだー!!


だけど、もっと最高なのは、こうして、有美と一緒に過ごせる事。

まぁ、お邪魔虫(優子)がいるが……。


そんな事を俺が考えていると、優子が立ち上がり、こう言った。

「お兄ちゃん。私、本当は、彼氏と待ち合わせしてるんだ。今、連絡入って、彼氏も、ここに着いたらしいから、そっちに行って来るね。」

「えっ?そうなのか?」(内心喜ぶ)

「えー!優子ちゃん、行っちゃうの〜?」

寂しそうに呟く有美に、優子は、両手を合わせた。

「ごめんね、有美ちゃん。あっ、帰りも彼氏と帰るから。」

そこまで言うと、優子は、自分の荷物を持って、砂浜を駆けて行った。

しょんぼりとしている有美に、俺は、声を掛けた。

「俺と二人きりじゃ、退屈かな?」

「えっ?」

俺の言葉に、有美は、顔を上げた。

俺は、有美に優しく微笑む。

「俺は、お前と二人きりになれて、嬉しい。」

「誠……。」

有美は、頬を染めると、そっと、俺の身体に身体を寄せてきた。

「私だって……。すごく嬉しい。」




海って、最高ーーー!!



プニュ……。


んっ?こ……これは……!!

この感触は……!!


背中に有美の胸が…………!!




マジ……海って、最高ーーー!!



「ねぇ、誠。」

「えっ?」

俺が変な事を考えていると、有美が声を掛けてきた。

「私……泳げないの。泳ぎ教えてくれる?」

「うん、いいよ。」

「嬉しい!」

有美は、背中から俺に、ギュッと抱きつく。


有美が笑っている。

太陽に負けないぐらい、眩しい笑顔。


海に来て、良かった。

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