第五章 好きな女の為に俺なりに頑張ったけれど、熱中症が邪魔をするんだが




それから二日後。

俺は、勇気を出して、有美を海に誘った。

……が、何故か優子までついて来た。

優子曰く、夏の暑さでおかしくなった俺から、有美を守る為だと。


どういう意味だ!!


バスや電車を乗り継いで、海へ辿り着いた俺達は、海に配置してある、シャワー兼更衣室みたいな狭苦しい場所に入り、水着に着替えてた。

俺が海パンに着替え出て来ると、優子が先に水着に着替え、待っていた。

その優子の水着姿に、俺は、声を上げる。

「お、お前……!?」

ピンクのビキニ姿の優子は、色っぽいポーズを決め、片目を閉じて、ウインクをする。

「どう?可愛いっしょ♡」

「ピンクのビキニって、お前じゃん!」

「そーだよ。お兄ちゃん、また鼻血出さないでね〜。」

「出すかっ!!」

腕を組み少し怒った口調で言った俺を優子は、クスクスと笑う。


「有美ちゃん、まだ〜?」

なかなか更衣室から出て来ない有美に、優子は、声を掛ける。……が返事がない。

「有美ちゃん?……有美ちゃん?」

優子が何度か声を掛けたが返事がない。

「……もしかして、熱中症で倒れてたりして……。」

優子の呟きに、俺は、慌てて更衣室のドアを開けた。

「きゃあぁぁぁー!!」

中で着替えてた有美は、水着で前を隠し、悲鳴を上げた。

「わっ!!ごめん!!」

俺は、慌ててドアを閉めた。

それを見て、優子は、俺を横目でチラリと見た。

「いきなり、ドアを開けるか〜?お兄ちゃんのエッチ。」

「あのなー……!俺はなー!」

その時、バンッと更衣室のドアが開き、有美が真っ赤な顔で出てきた。

「まーこーとー!」

両手を振り上げた有美から、俺は、素早く離れた。

「だって、遅いから、熱中症になったかと思って……。」

そう言いながら、俺は、有美を見て、ドキッとなった。

ビキニではなかったが(残念)、白いワンピースの水着姿の有美は、夏の太陽に眩しく輝きとても可愛かった。



可愛い♡



「な、何よ!」

じっと見つめる俺に、有美は、唇を尖らせ、そう言った。

「いや……そのう……。」

呟きながら、俺は、視線を有美の胸元に落とした。


で……でかい!

有美って、巨乳だったんだ!!


俺は、激しく頭を振った。

「また、いやらしい事を想像して〜。鼻血で、海を染めないでよ〜。」

「鼻血……?」

優子の言葉に、訳が分からず、首を傾げる有美。

「こ、こらっ!優子!」

俺が怒って言うと、優子は、舌をペロッと出して、あははと笑い、海に駆けて行った。

「どういう事?」

眉を寄せ、首を傾げる有美に、俺は、ブンブンと首を横に振った。

「い、いや〜。なんでもないんだ。気にしないで。」

「ふぅ~ん……。」

納得いかないように鼻を鳴らしたが、それ以上は、何も言わず、有美は、砂浜を歩いて行った。


しかし……。

有美って、スタイルいいし、ほんと、可愛いな。

しかも、巨乳だし…………。


いかんいかん!

変な想像をするな!


鼻血よりも先に、身体が反応してしまう……!

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