今度の七夕、再会しよう!

崔 梨遙(再)

1話完結:900字

「なあ、ほんまにええんか? 僕が短期留学に行っても」

「1年くらい、あっという間やわ」

「ほな、次の七夕に再会しようや」

「何それ?織り姫と彦星の話?」

「あの2人は、1年に1回しか会えなくても付き合い続けてるんやで」

「そんな話を信じてるん? お互いに愛人がいてるに決まってるやんか」

「え! そうなん? なんで、そう思うの?」

「年に1度しか会われへんかったら、干からびてしまうわ。どうせ、お互い他に相手がいてるねん」

「ほな、僕が留学に行ったら、佳織はスグに男つくるんか?」

「作るかもなぁ、先のことはわからへんから」

「僕は、佳織がそんなことを言うなんて思わなかった」

「修次こそ、どうやのん? 留学先でスグに彼女作るかもしれへんやんか」

「僕は、そんなことはしない」

「ほな、アメリカでもどこでも、行ってきたらええやんか」



 飛び去る旅客機が、見えなくなるまで佳織は窓の外を見ていた。


“寂しいよ、もう修次に会いたいよ。七夕までなんて待てっこないよ。


 でも、修次以外と付き合うつもりは無いからね。


  私、おとなしく待ってるよ、だから、早く帰って来て!”


「佳織」


 聴き慣れた声に、涙ぐんで俯いていた佳織は顔を上げた。そこには、頭をかきながら立っている修次の姿があった。


「あんた、何してんの?」

「いやぁ、やっぱり、何ヶ月も佳織に会えないと思うと寂しくなって」

「ほな、どうすんの? 飛行機、行ってしもたで」

「留学は、佳織と一緒に行くことにするわ」

「私が留学に行かれへんかったらどないするのん?」

「じゃあ、留学は来世や」

「なんやのん、来世って」

「僕は先を見据える男やからなぁ」

「ほな、あんたはずっと私の側におるんやな?」

「他に愛人、作りたかった?」

「ああ、そうやった、愛人を作り損なったなぁ」

「愛人、作りたい?」

「作りたいで、修次がおらんようになってしもたら」

「マジ?」

「でも、ずっと修次と一緒にいられるなら、愛人は一生いらん!」

「七夕まで、待ってられへんよな」

「うん、待たれへん」



 修次と佳織は、抱き締め合って長い長いキスをした。







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