第48話 懐かしいね。 After...
卒業式が、終わり。
記念に、何処か行こうかって、
話しになって。。。
三人で、卒業旅行の計画を立てた。
「お姉ーちゃん。」
「ふふっ。なに?なに?」
「ばっ」と走ってきて、子供の様に、
あたしに抱きつく、しおり。
「お姉ちゃん。明日だね。」
「ふふっ。そうだよ。だから、
ちゃんと、寝ないと駄目だよ。」
りさが、あたしを見て、苦笑い。
「あけみもな。」
「そうだね。今日は、早く寝ようね。」
灯りを、小さな灯りにして、
あたし達は、夜の10時には、
布団に入った。。。
ふと、目が覚めると、朝の5時。
久々に、まとまった時間を眠って、
あたしは、「スッ」と起きる。
上半身だけ起こして、左右を見ると、
二人とも、真ん中のあたしの方を、
向いて寝ている。
何時もなら、あたしにくっついて、
寝てるのに、
今日は、気を遣ったのかな。。。
と、感じて、苦笑い。
「しおり、朝だよ。」
もぞもぞっと、動くと、「ぱっ」と、
しおりは、起き上がり、
そのまま、りさを起こす。
「お姉ちゃん、起きて。朝だよ。
出掛けるよ。」
その言葉に、「ぱちっ」と目を開けて、
起き上がる、りさ。
「おはよ。しおり。」
「ふふっ。りさ、今日は、とびきり、
寝起きいいね。」
「ん。おはよ。あけみ。」
「うん。おはよ。りさ。」
「スッ」と立ち上がると、あたしは、
少し前に買った、珈琲メーカーの、
スイッチを押す。
その間に、着替えを済ませて、
軽く、お化粧。
出来立ての、珈琲を、人数分、
マグカップに注いでから、
一口すする。
「二人とも、支度出来た?」
「うん。出来たよ。」
「私も、大丈夫。」
三人で、珈琲を、飲むと、
使った、マグカップを洗ってから、
玄関を出た。。。
行き先は、箱根のログハウス。
今回は、特に、観光と言うより、
ログハウスに行くことが、
目的だった。
朝食は、近くのコンビニ。
適当に、パンと、飲み物を買って、
高速道路へ。
「ねぇ、りさ、
あの時は、電車だったから、
何だか、車で行くのって、新鮮だね。」
「そうだね。それに、自分達の車って、
めんどくさくなくて、いいね。」
「お姉ちゃん、あたしも、運転、
代わるからね。疲れたら言ってね。」
「は~い。」
ゆっくりと、高速道路を、静岡方面へ。
途中、サービスエリアで、
トイレと、飲み物を補充して、
運転は、しおりと、交代した。
「お姉ちゃん、ログハウス着いたら、
お風呂入ろうね。」
「ふふっ。いきなり、お風呂なの?」
「うん。」
横の席の、りさも、
「あたしも、お風呂はいりたいなぁ。」
と、賛成する。
「じゃあ、着いたら、お風呂だね。
でも、チェックインまで、
少し、時間を潰さないとね。」
「あ、じゃあ、湖、見に行こうよ。」
と、りさが、提案する。
「うん。それいいね。」
運転している、しおりも頷くと、
高速道路を降りて、下道で、
芦ノ湖を目指した。。。
「わぁ、芦ノ湖見えた。」
と、しおり。
「懐かしいね。二年ぶり!」
と、あたし。
「船も見えるね。」
と、りさ。
みんなで、はしゃぎながら、
駐車場から、湖の方へ歩く。。。
「また、船乗る?」
あたしが、そう言うと、
りさが、
「今日は、ゆっくりしようよ。」
って、苦笑い。
しおりが、
「お姉ちゃん、だったら、
お買い物して、
みんなでご飯作ろうよ。」
って、笑顔で言うから、
船に乗るのは、辞めにした。
暫く、三人で、湖を眺めて、あたしは、あの時の事を、思い出して。。。
「何だか、懐かしいね。」
と、ぽつり。
それを、横目でチラリと見ていた、
りさも、
「そうだねぇ。この景色って、
みんなで、初めて旅行した景色。。。
頭に、焼き付いてる。。。」
ふたりで、湖を眺めてると。。。
「お姉ちゃん達、何か、また、
二人の世界に入ってない?
何か、ずるい。」
ちょっと、むくれた、しおりが、
可愛く、そう言うと、
あたしと、りさの間に、割り込んだ。
「ふふっ。そんな事ないよ、
だって、しおりも一緒に来たじゃん。」
と、しおりの肩に、手を回す。
「二人の世界なんて、ないよ、
しおりも、一緒だろ。」
と、りさも、しおりの頭を、
優しく撫でると、微笑んだ。
「えへへ。うん。
でも、絶対、今のは、二人の空気が、
漂ってて、入りずらかったよ。」
「ふふっ。ごめん、ごめん。じゃあ、
しおりも、一緒に、眺めようよ。」
「うん。」
暫く、ボーッと三人で、湖を渡る、
船を眺めてから、ログハウスに、
行く途中にある、スーパーを目指して、
車を走らせた。。。
「う~ん。このスーパーですら、
懐かしいね。あの時、みんなで、
ハンバーグと、
唐揚げ作ったんだよね。」
「ふふっ。作ったのは、あけみだよ。」
「そうだよ。あの時、私と、
りさお姉ちゃんで、
あけみお姉ちゃんに、
リクエストして、
作って貰ったんだもん。」
「そうだったっけ?」
「ふふっ。まぁ、少しだけ、
あたし達も、
手伝ったから、あけみの中じゃ、
みんなで、作った事に、
なっているんだね。」
「そうかも。」
スーパーの中を、ゆっくりと、
材料を見て歩く。。。
「そろそろ、鍋も、食べ納めだから、
鍋にしようか?」
「うん。それ、いいかも。
こっち、少し寒いし。」
「うん。私も、お鍋でいいよ。
海鮮にする? お肉にする?」
しおりが、楽しそうに聞いてくる。
「う~ん。すき焼きとかも、
捨てがたいけど、今回は、
海鮮にしようか?
朝一番って、事もあって、
結構色々、売ってるからさ。」
「じゃあ、好きな魚とか、貝を、
みんなで、選ぼうよ。」
りさの、提案に、何だか、楽しくなる。
「ふふっ。いいね。そうしよう。」
「私も、賛成!」
各々、魚と、貝を選んで、
野菜、茸、お豆腐と、カゴに入れて、
レジに通す。
結構、贅沢な金額になったけど、
あたし達が、楽しければ、
それでいい。
いっぱいの、食材と、少しだけ、
ビールを買って、ログハウスに、
向けて、あたしは、車を走らせた。
「あ、見えた。」
「変わってないね。」
「うん。」
久しぶりの、ログハウスに、
高まる気持ち。
車を止めて、中に入ると、
あの時の、記憶が、鮮明になって、
キッチンや、テーブルを、
触って歩く。。。
取り敢えず、備え付けの、
冷蔵庫に、食材をしまって。。。
お風呂を三人で見に行った。
「お風呂~。お姉ちゃん、
どうする?ご飯の、
準備してからにする?すぐ、入る?」
しおりが、嬉しそうに、聞いてくる。
「う~ん。悩ましいね。。。
でも、お風呂したら、ゆっくり、
したいから、先に、ご飯の支度を、
しちゃおうかな。」
「あけみが、言うんじゃ、
そうしよ。あたしも、お風呂したら、
ゆっくりしたいから。」
「じゃあ、ご飯の支度が、
先だね。お姉ちゃん達、
みんなで、「ぱっ」と、支度しよ。」
みんなで、「ぱたぱた」と、
キッチンに、移動して、
みんな、手慣れた手付きで、
野菜や、魚などを、
食べやすい大きさに、切り分けた。
支度と言っても、切るだけなので、
あたし達にしてみたら、
ほんの、15分程度で、
支度が終わって、大皿に、
海鮮と野菜を、それぞれ、
分けて、ラップをかけて、
冷蔵庫に閉まって、
待ちに待った、お風呂の時間。。。
しおりが、一番乗りで、服を脱ぎ捨て、
りさが、二番、あたしは、
二人の、服を、苦笑いしながら、
拾ってから、お風呂に入った。
ひんやりとした、お風呂場。。。
身体に、お湯を掛けて、
取り敢えず、湯船に、
みんなで、入る。
「あったか~い。」
自然に、みんなで、笑顔になる。
「お姉ちゃん、やっぱり、
ここのお風呂、私、大好き。」
「ふふっ。ほんと、広いもんね。」
あたしは、お風呂の真ん中で、
足を伸ばす。
車の移動で、ちょっとだるくなった、
身体に、とても、心地よい。
洗い場に、しおりが、
出て行くと、りさが、しおりの、
頭を、洗ってあげていた。
「お姉ちゃん、ありがとう。」
「ふふっ。」
優しく、笑顔で、わしゃわしゃと、
しおりの、髪を、泡立てている。
そんな姿に、あたしの心は、
とても、癒される。。。
とても、穏やかな時間。
二人の、洗いっこを、
お風呂の縁に、頬杖をついて、
眺めていると、
「ほら、お姉ちゃんの番だよ。」
って、二人に呼ばれて、
あたしは、二人に、洗われた。。。
頭も、身体も、泡だらけ。
目をつぶって、二人に、好きに、
洗われた。
「終わったから、流すね~。」
しおりが、声を掛けると、
シャワーで、流されて、
綺麗な、あたしの出来上がり。
お風呂に入ると、抱っこタイム。
あたしの、前に、りさ。
りさの前に、しおり。
「落ち着くなぁ。。。
あけみの、ふかふか。」
「りさお姉ちゃんの、
ふかふかも、落ち着くよ。」
「ふふっ。」と、みんなで、
笑って。
暫く、浸かっていると、
ポジションチェンジ。
りさが、あたしを、あたしが、りさを、
抱えて、座る。。。
「うん。りさのふかふか。」
「あけみお姉ちゃんの、ふかふか。
気持ちいい。」
そこで、また、みんなで、笑って。
暫く、そのまま。
「ご飯食べて、休憩したら、
また、みんなで、入ろうよ。」
しおりが、嬉しそうに言う。。。
「うん。今回は、いっぱい、
お風呂に入ろうね。」
と、あたしも、返した。
「そうだね、温泉だからね、ここ。
勿体ないから、いっぱい、
入ろうよ。前に来た時は、
じっくり、入って無い様な、
気がする。。。」
休憩しながら、一時間程、
お風呂で過ごして。。。
お風呂から出ると、
みんなで、鍋を囲んで、
最初だけ、ビールで、乾杯。
「卒業、おめでとう。」
あたしが、音頭を取ると、
ビールを、一口。。。
「美味しい。」
「うん。ビールは、最初の、
一口が、一番美味しい感じがする。」
「うん。美味しいね。私は、
ちょっとしか、飲めないから、
半分、りさお姉ちゃんに、
あげる。」
お鍋を、つつきながら、
仲良く、三人で、卒業を祝った。
今回は、ログハウスに行く事以外は、
ノープランの、旅行。
行ってみて、ログハウスだけで、
良いなら、そうしよう見たいな、
感じだし。
現地に、着いてから決めるのも、
楽しいかもって、発想で、来てる。
忙しく、動かないのが、目的だから。
三人で、何処に行くのかを、
話し合った時に、
りさが、
「別に、色々決めない方が、
楽しいんじゃない?」
って、
言ったのが、始まりだった。
確かに、来てみると、
全く、予定を決めてないので、
明日は、何時とか、無いって言うのも、
とっても、気楽だった。
普段は、何時から、何時って、
時間に、追われているから、
何だか、新鮮で、それが良かった。
あれだけ、切った、魚も、
野菜も、半分以上食べて、
少し、アルコールの入った、
あたし達は、時間は、まだ、
3時過ぎだったけど、
ほろ酔い気分で、
みんなで、ベットに潜って、
ゆっくりと、眠りについた。。。
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