第45話 教習所と。。。EP追加
秋の始まり。。。
私は、自分の誕生日にあわせて、
自動車の運転免許を、取得するために、
教習所に通い始めた。
お姉ちゃん達と、
一緒にドライブ旅行に、行きたいから。
元々は、あんまり車とか、興味が、
無かったけど、お姉ちゃん達が、
買った、あの車を、私も運転したい。
それに、乗せて貰うばかりじゃ、
流石に、悪いなぁと思って。。
背の低い私には、車って、正直、
視界が悪くて、運転しずらいけど、
お尻の下に、座布団を敷けば、
何とか、カバー出来た。
教習所も、本当は、お姉ちゃん達と、
一緒に行けたら、
楽しかったんだけどなぁ。。。
そんな事を、考えながら、
学校が終わると、
二時間くらい、教習所に来ている。
運転免許は、欲しいけど、
お姉ちゃん達に、構って貰う時間が、
減るから、私は、ちょっと、
寂しくなる。
「しおり~。」
見慣れた、あの可愛い軽自動車から、
お姉ちゃん達が、降りて来る。
「お姉ちゃん達、どうしたの?
学校じゃないの?」
「今日はね、開校記念日で学校休み。
お店閉めてから、しおりの様子を、
見に来たら、偶然しおりが、
外にいたからさ。」
「え、私、お姉ちゃん達の休み、
聞いてないよ~。」
「言ってないもん。」
「あ、なんか、ずるい。」
「ごめん、ごめん。しおりが、
この前、お姉ちゃん達と、
教習所通いたかったって、
ぼやいてたから、一回くらい、
一緒にいようって、あけみが、
言ってさ。」
「わぁ。。じゃあ、今日は、
いてくれるの?」
「勿論だよ。」
教習所のフェンスに、手を掛けて、
しおりが、はしゃぐ。。
「ありがとう。お姉ちゃん。」
あたし達は、教習所の硝子越しに、
しおりの、教習を見守っていた。
「なんか、懐かしいね。」
「そうだね。あの時は、
バイトに、学校に、教習所。
時間を作るのに、あけみと、
毎日、調整してたもんね。」
「忙しかったなぁ。。」
と、呟くあたし。
「でもさ、忙しいって、
やることがあるって事じゃん。
あたしはさ、今思うと、
それは、それで、悪い事じゃなくて、
自分で決めて、やってる事なら、
むしろ、良い事だと、思ってるよ。
あけみも、一緒に、いてくれたし。」
「。。。りさも、たまには、
そう言う事、言うんだね。」
「なんだよ、あけみ。」
「いや、あたしも、同じだよ。
凄く、あの頃って、凄く充実してさ、
楽しかったよ。りさも、
一緒だったし。」
「ふふっ。なぁんだ。あけみも、
一緒だね。」
「しおり、
結構上手く出来てんじゃん。」
「うん。しおりは、覚え早いし、
結構、運動神経もいいからなぁ。」
「そうだね。あたしさ、
あんなに、可愛い妹が出来てさ、
お姉ちゃんなんて、呼ばれて、
もう、2年以上経ってるなんて、
未だに、不思議な気分だよ。
でもさ、不思議なんだけど、
しおりの事、本当、妹だって、
認識してるんだよなぁ。。」
「ん。あたしも、可愛い妹ですけど。」
「ふふっ。勿論、りさも、
あたしの、可愛い妹だよ。」
「ふふっ。ありがとう、あけみ。
でも、しおりが、妹なのは、
あたしも、一緒。あたしなんか、
結構、臆病だったから、
他人を、妹とかってさ、
認識なんて、あり得ないって、
思ってたけど。。。
今は、どう考えても、妹なんだよなぁ。
まぁ、多分だけど、あたしの場合、
あけみの事を、お姉ちゃんだと、
思った時に、そう言う気持ちが、
理解出来るように、
なったのかも知れない。。」
「本当に、不思議だよね。。
あたしはね、たまに、りさの事は、
自分の、子供見ないな、
感覚になったり、妹とか、思ったり、
まぁ、しおりの事もだけど、
守ってあげたくなっちゃうんだよ。
何だかさ、あたしは、ふたりの事、
家族だって、
本当に、思ってるんだろうね。」
「ありがとう。お姉ちゃん。
きっと、しおりも、それ聞いたら、
喜ぶよ。」
「まぁ、恥ずかしくて、
しおりは、あたしの家族だ~。なんて、
言いづらいけどね。」
「あけみ、後ろ。」
しおりが、教習を、終わって、
後ろに立っていて、髪を指で、
くるくる回して、照れていた。
「しおり、聞いてた?」
「うん。聞こえた。」
あたしは、少し照れてたけど、正直に、
しおりに伝えた。
「まぁ、そう思ってるって、話し。」
「うん。お姉ちゃんなんだから、
私も、家族だって思ってるもん。
でも、実際、お姉ちゃんの口から、
聞けると、嬉しいな。」
「そう。ありがと。」
しおりは、あたしに、そっと、
抱きついて。甘えるように。
「お姉ちゃん、大好き。」
って、言ってくれた。。
しおりの、教習が終わって、
あたし達は、りさの運転で、
りさが、行きたいって言う、
焼き肉屋さんに、向かった。
「ここは、来たこと無いね。
こんな所、りさ、知ってたんだ。」
「ん。雑誌で見たら、ここ、
個室あるから、来てみたかっただけ。
あたしも、今日初めてだよ。」
お店に入ると、店員さんが、
「ご予約の、リサ様で、
間違いないですか?」
って聞いてきた。。
「りさ、予約してたんだ。」
「まぁ、個室だからね。」
「なるほど。それもそうか。」
個室に案内されて、
扉を開けると、そこには、
何故か、ケーキが、置いてあった。
何故か、二人は、満面の笑み。
「お姉ちゃん、誕生日おめでとう。」
「へ。」
「あたしの誕生日、明後日だよ。」
「知ってるから、りさお姉ちゃんと、
わざと、今日にしたの。」
「。。。あ、じゃあ、しおり、
あたし達が、今日休みなの、
知ってたの?」
「勿論だよ。私が、お姉ちゃん達の、
予定を、知らないなんて事は、
ないもん。ちゃんと、調べてます。
でも、今日は、教習所に、
来てくれて、ホントに嬉しかった。」
「まぁ、しおりの、教習所、見たかったから。。でも、りさも、グルかぁ。。」
「この前、あけみが、たまには、
焼き肉行きたいって、言ってたから。」
「うん。でも、ホント、ありがと。
嬉しいよ。」
「えへへ。良かったぁ。お姉ちゃん、
嬉しそうで、早く、座ろ。」
取り合えず、ケーキを、
テーブルから、お座敷に下ろして。。
あたし達は、食べたいだけ、
お肉を注文した。
テーブルに、並ぶお肉。
そう言えば、焼き肉なんて、
バーベキュー以来してない。
「美味しそう。」
熱く焼けた編みの上に、
カルビと、ホルモンを乗せる。
ふわっと、タレの着いたお肉の、
焼ける匂いがして、
食欲を掻き立てた。。
「今日は、お姉ちゃんに焼いてって、
言わないんだね。」
二人を見ながら、
焼き肉を掴むトングで、
お肉を、並べながら二人を見る。
「だって、お姉ちゃんに、
いっぱい好きに、食べて欲しいから。」
「なるほど。ありがと。」
「お姉ちゃん、今日はいっぱい、
食べてね。」
「あけみ、あたし、焼くよ。」
「ふふっ。ありがと。」
「りさお姉ちゃん、ずるい。
私も焼く。」
「また、始まった。。。
二人とも、お姉ちゃん、そんなには、
いっぱい食べれないから、
焼いてくれるなら、ゆっくり、
焼いてね。」
「は~い。」
あたしは、二人が焼いてくれた、
お肉を、お腹いっぱいに、
食べさせてもらった。
「あ~、お腹いっぱい!」
元々あたしは、そんなには、
食べないので、三人前の、
カルビとか、ホルモンで、
満腹になってしまった。
「お姉ちゃん、ケーキ食べれる?」
しおりが、ケーキの箱を持って、
心配そうに、あたしを見る。。。
「う~ん。ごめん。家に、
帰ってから、食べちゃ駄目?。。
二人とも、ちゃんと、食べた?」
「うん。」
しおりが、満腹を、アピールして、
お腹を擦って見せる。
「あけみが、お腹いっぱいなら、
そうしようよ。美味しいものも、
無理したら、美味しくなくなるし。」
「うん。あけみお姉ちゃんの、
言う通りにする。」
「りさ、帰ったら、珈琲お願い。」
「OK!」
あたし達は、焼き肉屋さんを、
後にして、自宅に戻る。
自宅に戻り、二階に上がると、
りさが、上着を脱ぎ、
珈琲を、入れてくれる。。
珈琲の、いい匂いが、ふわりと香る。。
「いい匂い。」
あたしは、珈琲の香りを嗅ぎながら、
お風呂の、湯船を張りに、
お風呂場に向かう。。。
「あけみお姉ちゃん、私が、
お風呂の準備するね。」
しおりが、「ぱっ」と、あたしの、
前に、身体を入れてそう遮る。。
「ありがとう。じゃあ、お願いね。」
しおりが、
お風呂の準備をしてくれるのを、
横目に、して。
あたしは、また、自分の席に戻り、
珈琲が、出来るのを、
りさの、後ろ姿を見つめながら、
楽しみに待った。。
「はい、あけみ。」
「ありがとう、りさ。」
「ふぅ」と、息を吹き掛けて、
少しだけ、すする。
「また、この前と、違うブレンド?」
「わかる?少し、ケーキに合う様に、
調整してみたんだ。」
「へぇ。。そうなんだ。美味しいよ。」
タオルで、手足を拭きながら、
しおりが、戻ってきた。」
「お姉ちゃん、お風呂溜めてるよ。」
「しおり、珈琲飲んで。」
りさが、しおりに、マグカップを、
そっと、渡して、座らせる。。
そのまま、りさは、ケーキを、箱から、
出すと。。。
「あっ、クリーム溶けちゃってる。」
りさは、残念そうに、動きを止めてる。
あたしは、すかさず立ち上がり、
りさの所に。
それに、しおりも、覗き込む。。。
ケーキは、溶けて、あたしの名前も、
読めないくらいだった。
だけど、あたしは、二人の、
気持ちを、充分貰ってるから。。
二人の残念そうな顔を、見て。。。
「ごめんね、お姉ちゃんが、
お腹いっぱいに、なっちゃったから、
ケーキ崩れちゃって。。。
でもね、あたしさ、形より、
このケーキを、
二人が準備してくれた事がね、
とっても、嬉しかったんだ。
だから、ケーキは、溶けちゃったけど、
お姉ちゃんと、一緒に食べよ。」
ケーキを見ていたしおりが、
「ちょっと、冷やしてから、
食べようよ、お姉ちゃん。
私、このケーキ治せるから。」
「ケーキを治す?」
「うん。クリームが、固くなれば、
私、このケーキ治せるよ。」
「流石、お菓子は、しおりには、
かなわないなぁ。」
「あけみ、このケーキ、しおりが、
作ったんだよ。」
「えっ。そうだったんだ。。。
てっきり、買ったものだと、思った。 しおり、ごめんね。」
「ううん。大丈夫だよ、お姉ちゃん。」
しおりは、冷蔵庫に、
ケーキをしまうと、
「あけみお姉ちゃんは、
先に、お風呂に入っててね。」
って、あたしに、言った。
なんか、
申し訳ない気持ちになったけど、
この場合、しおりの、
言うことを聞いて、先に、お風呂に、
向かう。
あたしは、久しぶりに、
広いお風呂で、足を伸ばして、
入浴。。。
いつも、一緒に入ってるから、
少し、広くて寂しい。。
「まだ、入ってこないのかなぁ。。」
そう呟くと、「ガチャ」っと、
扉が開いて、りさが、入ってきた。
「りさ、しおりは?」
「ん。もうすぐ来るよ。」
りさが、頭と、身体を、洗って、
お風呂に浸かる。。
「しおりね、あのケーキ、
昨日、学校から、帰ってきて、
厨房で、作ってたんだよ。」
「だから、昨日、
帰りが遅かったんだね。」
「うん。」
「もう。全く、あの、メールの、
用事って、
そう言う事だったんだね。」
「あ、と言うことは、りさも、
知ってたんだ。」
「うん。しおりが、お姉ちゃんに、
ケーキ作りたいって、言うから。
お店に運ぶ所まで、協力した。」
「そうだったんだね。。。
先に、ケーキ食べれば良かった。。」
「サプライズだから、あけみが、
気にしたら、逆に、しおりに、
悪いよ。」
「そう言うものなのかなぁ。。
流石に、あたしも、へこむよ。」
「しおりが、来たら、そんな顔、
しちゃ駄目だよ、あけみ。」
「うん。そうだね。ごめん。
ありがと。」
あたしが、
りさと、くっついて、
お風呂に入ってると。。
「ガチャ」っと、音がして、
しおりが、ニコニコして、
入って来た。。
きっと、満足行く様に、
ケーキを、治せたんだろう。。
「お姉ちゃん達、なんか、ずるい。」
あたし達を見て、いつもの、
しおりの、ずるい。発言。。。
「ふふっ。しおり、早く、
入っておいで。」
「うん。」
あたしは、お風呂から、出ると、
しおりの、頭と、背中を、
洗ってあげた。。。
「えへへ。あけみお姉ちゃんが、
洗ってくれるの、気持ちいいなぁ。」
それを見ていた、りさは、
とても、幸せそう。
いつもなら、りさも、ずるい。って、
言うのに。。今日は、お姉ちゃん、
なんだね。。。
しおりと、一緒に、お風呂に入り、
しおりを、抱っこする。
「ふわふわ。」
しおりは、とても、嬉しそう。。
一足先に、りさが、お風呂から上がり、
あたしと、しおりも、その後、
少ししてから、お風呂を上がった。。
「あけみ、珈琲入れてあるよ。」
「うん。ありがと。」
しおりが、冷蔵庫から、
ケーキを出す。。
箱から出したケーキは、
クリームのつのが立った、
とても、綺麗なデコレーション。
「わぁ。」
あたしは、声が出た。。。
クリームで、作った薔薇が、
とても、綺麗だったから。。。
あたしは、こんな、力作を、
駄目にしちゃったと、思ったのと、
しおりの、頑張りに。。。
「ありがと、しおり。」
そう、言うのと同時に、
悪い事したと、思う気持ちと、
感動が、混じって、
泣いてしまった。
「あけみお姉ちゃん、泣かないで。」
しおりが、抱き締めてくれて、
余計に、ポロポロ涙が出て。。。
「あらら、あけみ。。
しおり、あけみ、嬉しすぎて、
泣いちゃったね。」
「お姉ちゃん、ほら、ろうそく、
立てるから、ちゃんと、吹き消して。」
しおりが、立てたろうそくを、
涙目のまま、吹き消す。。
「誕生日おめでとう、お姉ちゃん。」
二人の声が、ハモって、あたしの、
誕生日は、妹達の、気持ちが、
籠った、あたしの、記念日には、
勿体ないくらいだった。。
あたしも、20歳。。。
素敵な妹達と、過ごす最高の、
1日だった。。。
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