第43話 過去との絶縁。

百日だけの、お母さん。

加奈子さんには、

あたしの事を、

全部話した。


お母さんは、

私の話しを聞いて、

とても、辛そう。


あたしは、加奈子さんが、

あたしを、自分の娘の様に、

思ってくれてるけど、

やっぱり、何処かで、

ただ、重ねてるだけだと、

思っていた。


でも、違うって知った。


お母さんは、

自分の娘としての、

あけみと言うあたしを、

ちゃんと、見てくれてた。


二人きりの時、

お母さんと、いっぱい、

話しをして、

あたしも、お母さんに、

いっぱい、甘えた。

夢の様な、時間。


お母さんが、

ずっと、長生き出来たら、

本当に良かったのに。


最初は、年内と聞いて。


実際は、生きてるのが奇跡。

そのくらい、お母さんの、

ろうそくは、

消えかかっていた。


あたしの過去の話しをして。

お母さんは、

「生まれ変わりと言うのが、

あるなら、

あけみちゃんが、

理由が、わからなくても、

そこまでしたのなら、

もしかしたら、

りさちゃんは、

前世で、あけみちゃんの、

子供だったのかも、

知れないわね」って。


そう、お母さんに、

言われた時に、

あたしも、何だか、

不思議に、

納得したような気がした。



お母さんが、

「もしも、同じ立場なら、

私だったら、

子供の命と引き換えとか、

そう言う事じゃなければ、

無理だもの」って。


そう言われて、

あたしも、

そんな事を、

少し、信じたりもした。


あたし、お母さんに、

話して、救われた様な、

気持ちになったんだ。

この話しは、

本当は、誰にもしないって、

決めた事だから。

特に、りさには。


でも、お母さんは、

あたしに、


「りさちゃんも、

しおりちゃんも、

絶対、あけみちゃんを、

支えたいって、

思ってるから、

苦しいものを、

胸に閉まったりしないで、

ちゃんと、気持ちに、

整理がついたら、

話しなさい」って。


「ちゃんと、話して、

向き合って、

そうじゃないと、

本当に、

あけみちゃんの幸せは、

掴めない」って。


あんなに、

良い、妹に、

苦しいことを、

隠すなんて、

絶対に駄目だって、

そう言われた。。。


お母さんが、

いなくなる前、

あたしは、呼ばれて、

お母さんの所に、

行った。


お母さんに、洋食屋の、

権利書を、生きてるうちに、

譲渡したいって。

そして、

一緒に、住まないかって、

誘われた。


お母さんが、

アパートを引き払って、

過去との、絶縁を、

望んだから。


お母さんの、誘いは、

あたしも、嬉しかった。

アパートも、

あの場所との、

最後の繋がりだから、

返したいって言うのも、

あたしも、思っていたし。


書類を書いて、

お母さんと、

一緒に暮らす話しを、

してた矢先、

お母さんは、倒れた。。。


その後、あたしは、

あの先生に、

連絡して、

何処に、鍵を送ればいいか、

確認した。


まぁ、鍵は、送らなくて、

いいから、

処分して欲しいと

言われたけどね。


最後に、社交辞令的に、

挨拶して、

先生の、電話番号を、

着信拒否した。


東京の生活と、

完全に、関係が切れて、

あたしは、

とても、自由な気持ちに、

なれた。


お母さんとの、もう一つの、

約束。

あたしの、

胸のつかえてるもの。。。

もう少し、ちゃんと、

気持ちに整理をつけて、

正直に、妹に、

話そう。

あたしも、妹達と、

ちゃんと、

幸せになるために。


今日、お母さんの見てた、

景色を眺めながら、

そんな事を、

考えてた。。。




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